死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

給食番長

『給食番長』を読みました。

 

給食番長 (給食番長シリーズ)

給食番長 (給食番長シリーズ)

 

 

あらすじ

 

わんぱく小学校の給食の時間が始まりました。

 

1年2組は、いつも大騒ぎです。

 

なんと、入学以来まだ一度も給食をちゃんと食べていません。

 

そして、みんながお昼休みで遊びに行った頃、給食室では……。

 

給食のありがたみがわかる一冊です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、給食のありがたみです。

 

わんぱく小学校の給食の時間が始まりました。

 

1年2組では、今日も子どもたちがお騒ぎです。

 

給食番長をはじめ、他の生徒たちも、嫌いな給食を残してしまうのです。

 

1年2組の生徒たちは、入学以来まだ一度も、給食をちゃんと食べていません。

 

一方の給食室では、おばちゃんたちが泣いていました。

 

1年2組の子どもたちが、たくさん給食を残しているからです。

 

次の日の給食の時間、怒った給食のおばちゃんたちは、1年2組の教室に乗り込みます。

 

しかし、番長は全然言うことを聞きません。

 

その日も、1年2組はたくさん給食を残し、おばちゃんたちは悲しみのあまり大粒の涙を流します。

 

そして、またいつものように給食の時間がやってくると……。

 

給食室の前で、みんなが騒いでいます。

 

それもそのはず、なんと給食のおばちゃんたちが家出してしまったのです。

 

そこで、番長は自分たちで給食を作ることにします。

 

番長は、すさまじい勢いで、材料を切ります。

 

そして、なんとか給食を作り上げ、みんなは大喜びです。

 

しかし、みんなが席を立ち始めます……。

 

みんなは、番長の作った給食をまずいと言います。

 

下校時間を過ぎ、辺りはすっかり暗くなります。

 

番長たちは食器を洗いながら、今にも泣き出しそうです。

 

そのとき、おばちゃんたちがやってきます。

 

番長たちは、ようやく給食のおばちゃんたちのありがたみを知り、おばちゃんたちに謝ります。

 

次の日、1年2組のみんなは、一緒に残さず給食を食べます。

 

この絵本では、給食をたくさん残す生徒たちが、給食のありがたみや大切さを知り、給食をちゃんと食べるようになるまでが描かれています。

 

小学生の頃は、給食は当たり前のように出てくるものだと思いがちですが、そこには給食を作ってくれている人たちの存在があります。

 

この絵本では、給食のおばちゃんと呼ばれている人たちがそうです。

 

給食のおばちゃんは、身体にいいメニューを考えて、栄養満点の給食を作ってくれる、頼もしい存在です。

 

普段は給食室にいるので、なかなか接する機会がありませんが、学校に欠かせない存在なのです。

 

給食番長や他の生徒たちは、給食のおばちゃんたちがいなくなり、自分たちで給食を作ることになってはじめて、給食のおばちゃんのありがたみや給食の素晴らしさを知ります。

 

この絵本を読むと、給食や給食以外の食事でも、作ってくれた人に感謝して、残さず食べようという気持ちになります。

 

給食や食事の大切さが面白おかしくわかる一冊です。

 

印象的なことば

 

おばちゃん いままでごめんよ。ほんとうにありがとう

 

給食番長の言葉です。

 

給食のおばちゃんのありがたみにやっと気が付き、こう言います。

 

番長の素直な気持ちが伝わってきます。

 

感想

 

給食のありがたみがしみじみわかる傑作絵本です。

 

表紙のユーモラスなイラストと奇抜なタイトルに興味を惹かれて読んでみましたが、期待を裏切らない面白さでした。

 

絵本の全編を通して、遊び心に溢れていて、読んでいると思わず笑ってしまいます。

 

食べ物のイラストが少し毒々しいのですが、それもまたこの絵本の味になっています。

 

また、この絵本の文章が、標準語と博多弁のふたつで構成されているのも、他の絵本とは異なる点です。

 

この博多弁は、作者のよしながこうたくさんが生まれ育った地域で使われているものだそうです。

 

さらに、絵本の前と後ろの方に、すごろくやとんとん相撲まで付いています。

 

まさに、遊び心溢れる一冊です。

 

 

給食番長 (給食番長シリーズ)

給食番長 (給食番長シリーズ)

 

 

 

 

 

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ゼロ年代+の絵本【2006年】

最近、暖かくなってきて、桜も綺麗に咲いていて、なんだか春を感じます。

 

今回は、ゼロ年代+の絵本の第7回目「2006年版」です。

 

ゼロ年代+の絵本の企画概要などは、こちらです。

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

それでは、2006年版スタートです。

 

 

 

①アンジェロ

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

アンジェロとハトのシルビアが織り成す、心温まる物語です。

 

 

②えんふねにのって

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

まきちゃんの一風変わった通園風景が描かれたユニークな絵本です。

 

 

③おへそのあな

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

お母さんのおへその穴から見た世界が描かれた、温かな家族の物語です。

 

 

④ここが家だ ベン・シャーン第五福竜丸

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

第五福竜丸を襲ったできごとが描かれた一冊です。

 

⑤たからもの

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

宝物を探し当てる男の不思議な物語です。

 

 

⑥ねこのせんちょう

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

ねこのせんちょうの素敵な暮らしが描かれた絵本です。

 

⑦ねこのなまえ

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

さっちゃんとねこの心温まる一冊です。名前の大切さが改めてわかる絵本です。

 

⑧バスラの図書館員

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

バスラの図書館で実際に起きたできごとが描かれた絵本です。

 

 

⑨ホームランを打ったことのない君に

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

諦めないことの大切さが描かれた一冊です。

 

ルリユールおじさん

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

ソフィーとルリユールおじさんの交流を通じて、ルリユールの仕事の素晴らしさが描かれた一冊です。

 

 

ベスト作品発表

 

2006年も、個性豊かな絵本が揃っています。

 

海外絵本と国内絵本のそれぞれで、ベスト作品を決めたいと思います。

 

海外絵本では、『アンジェロ』がベスト1です。

 

アンジェロの仕事への情熱や、動物への思いやりに、感動しました。

 

また、国内絵本では『ルリユールおじさん』が1位です。

 

海外絵本のようなおしゃれなイラストと、ルリユールの仕事の素晴らしさが詰まった、素敵な絵本です。

 

手元に置いて、何度も読みたくなるような絵本です。

 

2006年の傾向

 

2006年の絵本は、『ここが家だ』や『バスラの図書館員』など、実話をもとにした作品が登場しました。

 

どちらもシリアスな内容で、読み応えがあります。

 

また、ねこの絵本も相変わらず人気で、『ねこのなまえ』や『ねこのせんちょう』など、良作揃いです。

 

そして、絵本で仕事への情熱や誇りが描かれている作品も多く見受けられました。

 

大人も楽しめる作品が多い印象でした。

 

以上が、ゼロ年代+の絵本の2006年版でした。

 

気になった絵本がありましたら、ぜひ読んでみてください。

 

あなたの心の一冊が見つかれば幸いです。

 

 

 

 

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ぼくがラーメンたべてるとき

『ぼくがラーメンたべてるとき』を読みました。

 

ぼくがラーメンたべてるとき

ぼくがラーメンたべてるとき

 

 

あらすじ

 

ぼくがラーメン食べてるとき、隣でミケがあくびした。

 

隣でミケがあくびしたとき……。

 

隣のみっちゃんが、チャンネル変えた。

 

隣のみっちゃんが、チャンネル変えたとき……。

 

同じときを生きる子どもたちの暮らしが描かれた絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、同じときを生きる様々な子どもたちです。

 

この絵本では、同じ時代を生きる様々な国の子どもたちが登場します。

 

穏やかな部屋でラーメンを食べるぼくから始まり、近所の友達や隣町の子どもが登場し、やがて違う国の子どもたちが登場します。

 

彼らは、みんな同じときを生きていますが、環境や状況はそれぞれ違います。

 

ぼくをはじめとする日本の子どもたちは平和に暮らしていますが、どんどんページをめくるごとに、子どもたちの置かれている環境は貧しいものになっていきます。

 

そこでは、子どもが水を汲んだり、パンを売ったりしています。

 

普段は、日本で平和に暮らしていると、違う国の子どもたちのことまではあまり考える機会がありません。

 

しかし、この絵本を読むと、同じときを生きていても、それぞれ状況がちがうことがわかります。

 

自分とは違う人、違う国の人のことを考えるきっかけになる絵本です。

 

印象的なことば

 

その また やまの むこうの くにで おとこのこが たおれていた。

 

ぼくが部屋でラーメンを食べているときに、違う国では男の子が倒れています。

 

これは絵本の表現ではありますが、実際にそういうことはあり得ます。

 

平和な日本では想像できない暮らしをしている人たちがいるのです。

 

なんとも胸にささる言葉です。

 

感想

 

同じ時代を生きる子どもたちが描かれた絵本です。

 

日本の子どもたちは平和に暮らしているのに対して、違う国の子どもたちは貧しい暮らしをしている様子が見受けられます。

 

いま、この時代を生きているというと、みんなが日本のような豊かな暮らしをしていると思ってしまいますが、現実は違うのだということを改めて感じました。

 

シンプルな中にも、強いメッセージを感じました。

 

他の国の人のことを考えたり、想像力を働かせるきっかけになるような一冊です。

 

 

ぼくがラーメンたべてるとき

ぼくがラーメンたべてるとき

 

 

 

 

 

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ちょっとだけ

『ちょっとだけ』を読みました。

 

ちょっとだけ (こどものとも絵本)

ちょっとだけ (こどものとも絵本)

 

 

あらすじ

 

なっちゃんのおうちに、赤ちゃんがやってきました。

 

なっちゃんは、お姉ちゃんになりました。

 

お買い物に行くとき、なっちゃんはママと手を繋ごうとしますが……。

 

お姉ちゃんになったなっちゃんの日常が描かれた一冊です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、なっちゃんのちょっとの我慢です。

 

買い物に行くとき、なっちゃんはママと手を繋ごうとします。

 

でも、ママは赤ちゃんを抱っこしているので、手を繋げません。

 

なっちゃんは、ママのスカートをちょっとだけつかんで、歩きます。

 

買い物から帰ると、なっちゃんは喉が渇きます。

 

ママに牛乳を注いでもらおうと思ったら、赤ちゃんが泣き始めました。

 

なっちゃんは、初めて自分で牛乳をコップに入れようとします。

 

とても重くて、難しかったけど、やっとのことでちょっとだけ入れることができます。

 

次の日、なっちゃんは近所の公園に行きます。

 

公園のそばで、仲良しのふみちゃんとふみちゃんのママと会います。

 

ふみちゃんのママに、「赤ちゃんってかわいいでしょう?」と聞かれ、なっちゃんはちょっとだけうなずきます。

 

なっちゃんは、ブランコに乗ります。

 

いつもママに背中を押してもらっていたので、うまくこげません。

 

つまさきで、ちょんちょんと蹴ったら、ちょっとだけブランコが揺れます。

 

公園から帰ると、なっちゃんは眠たくなってきました。

 

なっちゃんは、ママに「ちょっとだけ抱っこして」と言います。

 

すると、ママは「ちょっとだけじゃなくて、いっぱい抱っこしたい」と言います。

 

ママが、なっちゃんに優しく笑って、もう一度聞くと……。

 

なっちゃんは、「いいですよ!」とにっこり笑って答えます。

 

なっちゃんは、ママの匂いをいっぱいかぎながら、いっぱい抱っこしてもらいます。

 

その間、赤ちゃんには、ちょっとだけ我慢してもらいました。

 

この絵本では、赤ちゃんが生まれて、お姉ちゃんになったなっちゃんの日常が描かれています。

 

なっちゃんは、赤ちゃんのために我慢して、ちょっとだけ自分で自分のことをやろうとします。

 

なっちゃんもまだ小さいので、なかなか完璧にはできません。

 

しかしながら、自分のことは自分でやろうと、なっちゃんは努力します。

 

本当なら、お母さんにやってもらいたいのですが、お母さんは赤ちゃんのお世話で忙しいので、そのことを理解した上で、我慢して頑張ります。

 

最後は、なっちゃんのちょっとの我慢が実を結び、なっちゃんはお母さんにいっぱい抱っこしてもらいます。

 

なっちゃんの健気な姿に、ちょっとだけ涙してしまう一冊です。

 

印象的なことば

 

“ちょっとだけ”じゃなくて いっぱい だっこしたいんですけど いいですか?

 

お母さんの言葉です。

 

なっちゃんが「ちょっとだけ抱っこして」と言うと、お母さんはこう言います。

 

お母さんも、なっちゃんが赤ちゃんのために我慢していることを知っていたのですね。

 

お母さんのなっちゃんに対する愛情が込められた言葉です。

 

感想

 

赤ちゃんが生まれて、お姉さんになったなっちゃんのお話です。

 

文章や絵が優しくて、なっちゃんの健気な姿と相まって、涙を誘います。

 

全国の下に兄弟がいる、お兄ちゃんやお姉ちゃんが共感できる絵本だと思います。

 

ひとりっこでも、下に兄弟がいたらこんな感じかなと想像して、なんだか涙してしまいます。

 

最後は、お母さんになっちゃんがいっぱい抱っこしてもらって、心からよかったねと思いました。

 

特に、小さなお姉ちゃんやお兄ちゃんに読んでほしい一冊です。

 

 

ちょっとだけ (こどものとも絵本)

ちょっとだけ (こどものとも絵本)

 

 

 

 

 

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ビロードのうさぎ

『ビロードのうさぎ』を読みました。

 

ビロードのうさぎ

ビロードのうさぎ

 

 

あらすじ

 

ぼうやは、クリスマスにビロードのうさぎをもらい、大喜びします。

 

しかし、そこへ新しいおもちゃを持った親戚のおじさんがやってきます。

 

ぼうやは、そちらに夢中になり、うさぎのことをすっかり忘れてしまいます。

 

うさぎは、子ども部屋の隅っこで暮らすようになり……。

 

ビロードのうさぎが本物になるまでのお話です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、本当のおもちゃの価値です。

 

はじめ、このビロードでできたおもちゃのうさぎは、とても立派なおもちゃでした。

 

うさぎをもらったぼうやは、大喜びで遊びました。

 

しかし、そこに新しいプレゼントを持った、親戚のおじさんたちがやってくると、ぼうやはそちらに夢中になって、ビロードのうさぎのことは忘れてしまいました。

 

小さなうさぎは、おもちゃの棚や子ども部屋の隅で暮らすようになりました。

 

子ども部屋にはたくさんのおもちゃが住んでいて、特に値段の高いおもちゃたちは自分たちの自慢をして、ビロードのうさぎのことを馬鹿にしました。

 

うさぎは、恥ずかしくて、いつも隅っこで小さくなっていました。

 

しかし、たったひとり、ウマのおもちゃだけは、うさぎに優しくしてくれました。

 

ウマは、本物のおもちゃについて、うさぎに教えてくれました。

 

ある晩、お手伝いさんのナナは、いつもぼうやと一緒に寝るイヌのおもちゃが見当たらないことに気付きました。

 

そこで、棚からうさぎを掴み、ぼうやの腕に抱かせました。

 

その日から、毎晩うさぎはぼうやと寝るようになりました。

 

はじめのうちは慣れなかったうさぎも、すぐにぼうやと眠るのが好きになりました。

 

春になると、ふたりは庭に出て遊びました。

 

うさぎは段々と汚れて、汚くなってきましたが、毎日幸せだったので、気にしませんでした。

 

あるとき、ぼうやは急に出かけることになり、うさぎが庭においてけぼりになりました。

 

そのときは、夜にナナがうさぎを探しにきました。

 

ナナは、うさぎのことを汚いおもちゃと馬鹿にします。

 

すると、ぼうやが大きな声で、ナナに反論します。

 

ぼうやにとって、うさぎはおもちゃではなく、本当のうさぎなのでした。

 

その晩、うさぎは嬉しくて、眠れませんでした。

 

夏になり、ぼうやは家の裏にある森で、うさぎと長い時間遊ぶようになりました。

 

ある日、いつものようにうさぎが座っていると、2匹の野うさぎが現れます。

 

野うさぎたちは、ビロードのうさぎが本当のうさぎではないことに気付き、その場を去ります。

 

ときが過ぎ、ビロードのうさぎは、ますます古くなりました。

 

しかし、ぼうやにとっては、いつまでも素晴らしいうさぎでした。

 

うさぎも、それで幸せでした。

 

そんなある日、ぼうやが病気になりました。

 

ぼうやは高い熱が出て、ずっと眠り続けています。

 

ビロードのうさぎは、誰かが自分を連れて行かないように、布団の中で隠れるようにして、ぼうやにくっついていました。

 

長いときが過ぎて、やっとぼうやの熱は下がりました。

 

明るく晴れた朝、部屋の窓は大きく開けられ、ぼうやはバルコニーへ連れ出されました。

 

明日から、ぼうやは静養のため、海辺の家で暮らすのです。

 

そのとき、お医者さんとナナの声が聞こえました。

 

お医者さんは、部屋を全部消毒して、ぼうやの本やおもちゃを焼くよう、ナナに言います。

 

うさぎは、明日になれば燃やされてしまいます。

 

ぼうやは、海に行くことに夢中で、うさぎのことを忘れてしまっています。

 

そのとき、本当の涙が、うさぎの頬を伝い、地面に落ちました。

 

すると、子どもの部屋の妖精が現れます。

 

妖精は、ビロードのうさぎを本物のうさぎにします。

 

季節が巡って、あるときぼうやは、森でこちらをじっと見つめる不思議な野うさぎと出会います。

 

ぼうやは、なくしてしまったあのうさぎにそっくりだと感じます……。

 

この絵本では、ビロードのうさぎが、ぼうやに可愛がられて、やがてお別れがきて、本物のうさぎになるまでが描かれています。

 

この絵本を読んで、本当のおもちゃの価値を考えさせられました。

 

ビロードのうさぎは、ぼうやとずっと一緒に遊んできたことによって、ボロボロに汚れてしまいます。

 

お手伝いのナナは、うさぎのことを汚いおもちゃとしか考えていません。

 

しかし、ぼうやは違います。

 

ぼうやは、うさぎと一緒にたくさんのときを過ごしたことで、うさぎを単なるおもちゃではなく、本当の友達だと思っています。

 

ぼうやは、うさぎのことを、心から大事に思っていたのです。

 

このように、本当のおもちゃの価値は、新しいか古いか、値段が高いか安いかで決まるものではないのです。

 

その持ち主が、心から大切にしていることが、本当のおもちゃの価値に繋がるのです。

 

おもちゃを心から大切にしたくなる一冊です。

 

印象的なことば

 

ただ あそぶだけではなく、こころから たいせつに だいじにおもわれた おもちゃは ほんとうのものになる。

 

ウマのおもちゃの言葉です。

 

うさぎがウマに、「本物」について尋ねると、ウマはこう答えます。

 

本当のおもちゃの価値がわかる、深い言葉です。

 

感想

 

ビロードのうさぎが、本物のうさぎになるまでが描かれた絵本です。

 

名作絵本で、多くの方がこの絵本のことを知っていると思います。

 

よく書店の絵本コーナーに行くと、この絵本を見かけます。

 

普遍的な物語に、酒井駒子さんの素敵な絵が溶け込んで、完璧な一冊になっています。

 

うさぎが好きなこともあり、私にとっても特別な絵本です。

 

おもちゃの価値を改めて考えさせられます。

 

また、この絵本を読むと、心からおもちゃを大切にしたくなります。

 

大人が子どもに読んであげたい、名作です。

 

ビロードのうさぎ

ビロードのうさぎ

 

 

 

 

 

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としょかんライオン

『としょかんライオン』を読みました。

 

としょかんライオン (海外秀作絵本 17)

としょかんライオン (海外秀作絵本 17)

 

 

あらすじ

 

ある日、図書館にライオンが入ってきました。

 

図書館員のマクビーさんは慌てて、奥にある図書館長の部屋へ駆け込みます。

 

マクビーさんが部屋に着くと、メリウェザーさんが顔も上げずに「走ってはいけません」と言います。

 

マクビーさんは、ライオンが図書館に入ってきたことをメリウェザーさんに訴えますが……。

 

図書館にやってきたライオンをめぐる物語です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、決まりを守ることよりも大切なことです。

 

ある日、図書館にライオンが入ってきます。

 

図書館員のマクビーさんは、慌てて図書館長の部屋へ行き、叫びます。

 

すると、館長のメリウェザーさんは「走ってはいけません」と、顔も上げずに言います。

 

マクビーさんは、ライオンが図書館にきたことを訴えますが、メリウェザーさんは動じない様子です。

 

メリウェザーさんは、「決まりを守るなら、そのままにしておきなさい」と言います。

 

ライオンは、図書館の中を歩き回り、絵本の部屋で気持ちよさそうに寝てしまいます。

 

やがて、お話の時間が始まり、図書館のお姉さんが、本を読み始めます。

 

ライオンは起き上がり、お話をじっと聞いています。

 

お話の時間が終わったことを、小さな女の子がライオンに告げ、それからライオンは大きな声で吠えます。

 

そこに、メリウェザーさんがやってきて、ライオンに図書館の決まりを告げます。

 

ライオンは、悲しそうにうなります。

 

小さな女の子が、メリウェザーさんに「静かにする約束を守れば、明日もきていいんでしょ?」と尋ねます。

 

メリウェザーさんは、約束を守ればいいと言います。

 

子どもたちは、喜びます。

 

次の日、ライオンはお話の時間よりも早くやってきて、メリウェザーさんのお手伝いをすることになります。

 

やがてライオンは、言われなくても、色々なお手伝いをするようになります。

 

図書館にくる人たちは、段々とライオンに慣れていきます。

 

ライオンは、図書館の人気者になります。

 

ある日、ライオンがメリウェザーさんの部屋に行くと、メリウェザーさんはある頼みごとをします。

 

メリウェザーさんが、踏み台に乗り、本を取ろうとして、背伸びをして手を伸ばすと、台から倒れてしまいます。

 

メリウェザーさんは、起き上がることもできずに、マクビーさんのことを呼びます。

 

しかし、マクビーさんは貸出カウンターにいるので、聞こえません。

 

メリウェザーさんは、ライオンにマクビーさんを呼んでくるよう頼みます。

 

ライオンは、廊下を走って、マクビーさんのもとへ行きます。

 

ライオンが貸出カウンターに行くと、マクビーさんは忙しくて、ライオンに取り合ってくれません。

 

そこで、ライオンは決まりを破り、大きな声で吠えます。

 

マクビーさんはびっくりして、メリウェザーさんのもとへ、ライオンのことを報告しに行きます。

 

ライオンは、決まりを守れなかったので、うなだれて出口へ向かいます。

 

マクビーさんは、メリウェザーさんの部屋に飛び込みますが、メリウェザーさんの姿が見えません。

 

マクビーさんが声をかけると、机の向こうで床に倒れているメリウェザーさんを見つけます。

 

マクビーさんは、慌ててお医者さんを呼びに急ぎます。

 

次の日の図書館は、いつもとどこか違っています。

 

メリウェザーさんは、左手にギプスをはめています。

 

ライオンの姿は、ありません。

 

そして、次の日も、その次の日も、ライオンは図書館にやってきません。

 

ある日の夕方、仕事を終えたマクビーさんは、メリウェザーさんにお手伝いを申し出ますが、メリウェザーさんは静かに断ります。

 

その後、マクビーさんはまっすぐ家には帰らずに、図書館のまわりを歩き回ります。

 

マクビーさんがまた図書館に戻ると、なんと図書館の前にライオンが座っています。

 

マクビーさんはライオンに、ちゃんとした理由があるときは決まりを守れなくてもいいのだと言って、歩いて帰ります。

 

次の朝、マクビーさんは、メリウェザーさんの部屋へ行き、ライオンが図書館にいることを告げます。

 

すると、メリウェザーさんは飛び上がり、廊下へ駆け出します。

 

図書館のみんなは大喜びで、ライオンを迎え入れます。

 

この絵本では、図書館にライオンがいるという非日常的な風景が描かれています。

 

ライオンは、段々と図書館の人気者になっていきます。

 

最初は、ライオンに対してあまりいい思いを抱いていなかったマクビーさんまで、最後にはライオンを受け入れています。

 

そして、ライオンは図書館になくてはならない存在にまでなります。

 

図書館では、静かにすることや走らないことなど、決まりがあります。

 

最初は、メリウェザーさんやマクビーさんは、図書館の決まりを重んじています。

 

しかし、ライオンが図書館にきたことによって、例外もあるのだということを実感していきます。

 

決まりを守ることよりも大切なことがあるのだと気付きます。

 

それは、怪我をした友達を助けようとするときに、人に知らせるために大声で吠えることなどです。

 

決まりよりも、友達の健康の方が大切なのです。

 

素敵な図書館の姿が描かれた絵本です。

 

印象的なことば

 

たまには、ちゃんとしたわけがあって、きまりをまもれないことだって あるんです。

いくら としょかんのきまりでもね。

 

 

最後のページの言葉です。

 

決まりを守ることよりも、大切なことがあることを教えてくれます。

 

感想

 

図書館にライオンがやってくる物語です。

 

以前から、この絵本が書店に並んでいるのを見ることが多く、有名な作品だという認識はありましたが、実際に読むのは今回が初めてでした。

 

読む前は、図書館とライオンという組み合わせが結びつかなかったのですが、読んでみると納得できました。

 

図書館は静かにするものというのがマナーではあるけれど、例外もあるのだということに気付く、そんな素敵な絵本でした。

 

こんなライオンが図書館にいたら、いいかもと思いました。

 

心優しいライオンと図書館の人々の心温まる絵本です。

 

としょかんライオン (海外秀作絵本 17)

としょかんライオン (海外秀作絵本 17)

 

 

 

 

 

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セーラーとペッカ、町へいく

『セーラーとペッカ、町へいく』を読みました。

 

セーラーとペッカ、町へいく

セーラーとペッカ、町へいく

 

 

あらすじ

 

ある朝、セーラーが服を着ようとすると、セーターがなくなっていました。

 

セーラーが部屋を探し回りますが、どうしても見つかりません。

 

セーラーは、犬のペッカにセーターのことを聞きますが、ペッカも知らないと言います。

 

そこで、セーラーは新しい服を買いに、ペッカと町へ行きますが……。

 

セーラーとペッカの何気ない日常が描かれた一冊です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、ふたりの自由な日常です。

 

ある朝、セーラーが服を着ようとすると、セーターがなくなっています。

 

セーラーは部屋中探しますが、見つかりません。

 

セーラーは、犬のペッカを呼びます。

 

セーラーは、ペッカにセーターのことを聞きます。

 

ペッカは、知らないと言います。

 

そこで、セーラーは、町へ行って新しい服を買いにいくことにします。

 

髪を切りたかったペッカも、ついていくことにします。

 

ふたりは、さっそく車で出かけます。

 

しかし、途中で車が故障してしまいます。

 

仕方なく、ふたりは歩いて町まで行くことにします。

 

しばらく行くと、泣いているピエロに出会います。

 

ピエロは、公園でトランペットをなくして、泣いています。

 

ペッカは、ピエロを励まし、トランペットを見つけたら教えると約束します。

 

また、セーラーは、ジャクソン夫人に会い、世間話をします。

 

町が段々と近づいてきます。

 

歩き疲れたセーラーがベンチで一休みしていると、ペッカが隣同士の洋服屋と床屋を見つけます。

 

セーラーは洋服屋へ、ペッカは床屋へ入って行きます。

 

ペッカは、床屋で髪をカットしてもらい、すっきりします。

 

セーラーは、セーターをいくつか試して、自分に合ったシャツとセーターを買います。

 

ふたりは店の外で、満足そうに顔を見合わせます。

 

セーラーは、タトゥーを入れようと言います。

 

ふたりは、タトゥーの店に行き、セーラーは腕に鳥の絵を彫ってもらいます。

 

店でトランペットを吹いているサルを見つけたペッカは、そのトランペットはピエロのものだと言い、トランペットを持って帰ろうとします。

 

セーラーはタトゥーを入れ終わり、ふたりは店を後にします。

 

その後、セーラーはレッカー屋に電話して、車を家まで運んでもらいます。

 

その途中、ピエロに会い、さっきのトランペットを差し出すと、ピエロは大喜びします。

 

ピエロは、ふたりを見送りながら、きれいなバラードを吹きます。

 

無事に家に着き、セーラーがご飯の支度をしていると、ジャクソン夫人が訪ねてきます。

 

そして、みんなでご飯を食べます。

 

この絵本では、引退した船乗りのセーラーと人生の友である犬のペッカの何気ない日常が描かれています。

 

そこには、自由な空気が流れていて、実に楽しそうです。

 

人間と動物が対等に付き合い、気ままに楽しく暮らす姿は、とても素敵です。

 

こんな町があったらいいなと思います。

 

ふたりの自由な日常がクセになる、遊び心溢れる一冊です。

 

印象的なことば

 

元気だしなよ。みつけたら、おしえてあげる

 

ペッカの言葉です。

 

トランペットをなくして悲しんでいるピエロに、ペッカがこう言います。

 

ペッカは心優しい犬なのです。

 

感想

 

セーラーとペッカのシリーズ第1作目の絵本です。

 

スウェーデン生まれの絵本で、全5巻あるそうです。

 

今回初めてセーラーとペッカシリーズを読みましたが、自由でゆるい雰囲気がクセになり、ファンになりました。

 

作者のヨックム・ノードストリュームは現代美術作家で、幅広い分野で活躍されているそうです。

 

とても面白い絵本で、子どもと大人で一緒に読みたい絵本です。

 

セーラーとペッカ、町へいく

セーラーとペッカ、町へいく

 

 

 

 

 

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