ゴールディーのお人形
『ゴールディーのお人形』を読みました。

- 作者: M.B.ゴフスタイン,M.B. Goffstein,末盛千枝子
- 出版社/メーカー: すえもりブックス
- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
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あらすじ
両親が亡くなってから、ひとりで人形を作る仕事を続ける女の子ゴールディー。
いつもゴールディーは森で拾った枝を使い、丁寧に人形を作ります。
そんなある日、ゴールディーはお気に入りのアンティークショップで、今までに見たこともないほど美しい中国製のランプを見つけます。
ランプはとても高価ですが、ゴールディーはランプに魅了され、思い切って人形と引き換えにランプを購入しようとしますが……。
ゴールディーがランプとの出会いを通じて、職人としての誇りを強めていく姿が描かれています。
見どころ
今回の見どころは、仕事への誇りです。
ゴールディーは、亡くなった両親から受け継いだ人形作りの仕事をしている女の子です。
ゴールディーの頑張りのおかげで、人形はいつも間に合わないくらいの注文があります。
ゴールディーは、人形を作るときには、あるこだわりがあります。
それは、四角く切られた木っ端ではなく、森で拾った枝を使って人形を作ることです。
ゴールディーは、それじゃないと「生きている」感じがしないと言います。
ただの人形と、友達で大工のオームスに笑われても、丁寧に仕事をします。
そんなある日、ゴールディーはお気に入りのアンティークショップで、美しい中国製のランプに出会います。
店主のミスター・ソロモンの計らいで、ゴールディーは自分が作る人形と引き換えに、ランプを特別な値段で購入します。
その足でオームスの店へ寄りますが、そこでのオームスからのひとことのせいか、ゴールディーは帰り道で憂鬱な気分になってしまいます。
ゴールディーは、家に帰っても憂鬱な気分は抜けず、疲れて泣き始め、ドアのそばで眠ってしまいます……。
しかし、ゴールディーは夢の中で、あのランプの作者に出会います。
そこで、ランプの作者とのやりとりを通じて、ゴールディーは自信を取り戻します。
ゴールディーはランプを取り出して、ランプの明かりをつけて、うっとりと眺めます。
ゴールディーは大切なことに気が付き、満たされた気持ちになります。
この絵本では、情熱を傾けられる仕事がある、日常生活の素晴らしさが描かれています。
ゴールディーは、若いながらも、仕事に対するこだわりをしっかりと持っています。
彼女は両親と死別し、ひとりで暮らしていますが、そこに孤独はあまり感じられません。
それは、充実した仕事があるおかげだと言えます。
そのため、彼女の生活は、仕事を中心にまわっています。
そんな中、ランプとの出会いによって、ゴールディーの仕事への情熱は、さらに深まることになります。
彼女はランプのおかげで、大切なことに気が付き、彼女の仕事に対する誇りは、さらに深まります。
そして、彼女はまだ会ったことのない友達のために、お人形を作ります。
誇りを持って仕事をすることの大切さが伝わってくる絵本です。
印象的なことば
私の家。ここには私が仕事に使う小さなナイフと、ランプとお茶があって、ベッドと作業台と材料の木があって、私はここで、会ったことのない友だちのために、小さな木の人形を作るの。
ゴールディーの自信に満ちた言葉です。
シンプルな暮らしながらも、そこには生活や人生に対する充実感があります。
人生や仕事に対する誇りが感じられます。
感想
ゴフスタインが描く、仕事の美学が詰まった絵本です。
絵本を通じて、働くことの素晴らしさや尊さが散りばめられています。
そのことは、本書の巻末に載っているゴフスタインのインタビュー記事の抜粋からも、読み取ることができます。
ゴフスタインは、「弟と私はミネソタ州セントポールで過ごした子ども時代に、人生において価値のあることは、そして本当に幸せなことは、仕事をすることであり、もし何かひたむきに自分を捧げるものがなければ、その人生はつまらないものだと感じていました」と述べています。
このことからも、ゴフスタインの人生における仕事の重要性がわかります。
情熱を傾けられる仕事があることの素晴らしさを幼い頃から知っていたゴフスタインだからこそ、描くことのできた作品だと言えます。
何か仕事や人生で迷ったときに、繰り返し読みたい作品となっています。
この絵本は、もともと2003年にすえもりブックスから出版され、2013年に現代企画室からも出版されています。
まさに、時代を超えて読み継がれる名作と言えるでしょう。

- 作者: M.B.ゴフスタイン,M.B. Goffstein,末盛千枝子
- 出版社/メーカー: すえもりブックス
- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本
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