死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

岸辺のふたり

岸辺のふたり』を読みました。

 

岸辺のふたり―Father and Daughter

岸辺のふたり―Father and Daughter

 

 

あらすじ

 

父と娘が自転車に乗って、干潟を走っていきます。

 

ふたりは土手の上に自転車をとめ、父は娘にお別れをします。

 

そして、父はそっと水平線に向かって船を漕ぎ出します。

 

娘は日が沈むまでずっと父の帰りを待ちますが、父は帰ってきません。

 

やがて娘は成長し、母親の役目も終えます。

 

ある日、父と別れたあの土手に向かい、空き地に横たわると……。

 

父と娘の別れと再会が描かれた絵本です。

 

見どころ

 

この絵本の見どころは、喪失と再生です。

 

水平線に向かって船を漕ぐ父は、それっきり帰ってくることがありませんでした。

 

しかし、離れても、娘の父を想う気持ちは消えません。

 

その想いは消えるどころか、募るばかりです。

 

その気持ちが通じたのか、最後に父と娘は再会を果たします。

 

大切な人がいなくなれば、誰もが悲しむことでしょう。

 

その気持ちは薄れることなく、私たちの心に残り続けます。

 

何をやっていても、誰といても、常にその気持ちはつきまといます。

 

この絵本では、そんな気持ちが、丁寧に描かれています。

 

そして、その想いが伝わったのか、やがて再会が訪れると、何にも代えがたい喜びが込み上げます。

 

一旦別れてしまうと、二度と会うことが出来ないと思いがちですが、生きていれば、思わぬ再会があることだってあるのです。

 

だからこそ、人は生き続けるべきであるし、人生は生きる価値があるのだと思います。

 

別れがあれば、再会もある。

 

この絵本では、そんな希望のある終わり方になっています。

 

印象的なことば

 

人生は あらゆる歓びを もたらしてくれる ただ いくつも年をかさねた 少女のもとに 父だけは 帰ってこなかった

 

感想

 

ある親子の別れと再会が描かれた1冊です。

 

まるで、映画を見ているかのような感覚で読むことができます。

 

最後は希望がある終わり方なのですが、全体的にはどこか寂しさが漂う絵本です。

 

それでも、父のことを想いながら、生き続ける娘の姿には、強さを感じます。

 

この絵本では、そんな生きる力が静かに描き出されています。

 

別れなど悲しいことがあっても、生き抜くことが大事なのだと、この絵本を読んで感じました。

 

生きる上での悲しみと喜びが描かれた、大人の絵本です。

 

 

岸辺のふたり―Father and Daughter

岸辺のふたり―Father and Daughter

 

 

 

 

 

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