岸辺のふたり
『岸辺のふたり』を読みました。
- 作者: マイケル・デュドクドゥ・ヴィット,Michael Dudok Du Wit,うちだややこ
- 出版社/メーカー: くもん出版
- 発売日: 2003/03
- メディア: 大型本
- 購入: 5人 クリック: 28回
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あらすじ
父と娘が自転車に乗って、干潟を走っていきます。
ふたりは土手の上に自転車をとめ、父は娘にお別れをします。
そして、父はそっと水平線に向かって船を漕ぎ出します。
娘は日が沈むまでずっと父の帰りを待ちますが、父は帰ってきません。
やがて娘は成長し、母親の役目も終えます。
ある日、父と別れたあの土手に向かい、空き地に横たわると……。
父と娘の別れと再会が描かれた絵本です。
見どころ
この絵本の見どころは、喪失と再生です。
水平線に向かって船を漕ぐ父は、それっきり帰ってくることがありませんでした。
しかし、離れても、娘の父を想う気持ちは消えません。
その想いは消えるどころか、募るばかりです。
その気持ちが通じたのか、最後に父と娘は再会を果たします。
大切な人がいなくなれば、誰もが悲しむことでしょう。
その気持ちは薄れることなく、私たちの心に残り続けます。
何をやっていても、誰といても、常にその気持ちはつきまといます。
この絵本では、そんな気持ちが、丁寧に描かれています。
そして、その想いが伝わったのか、やがて再会が訪れると、何にも代えがたい喜びが込み上げます。
一旦別れてしまうと、二度と会うことが出来ないと思いがちですが、生きていれば、思わぬ再会があることだってあるのです。
だからこそ、人は生き続けるべきであるし、人生は生きる価値があるのだと思います。
別れがあれば、再会もある。
この絵本では、そんな希望のある終わり方になっています。
印象的なことば
人生は あらゆる歓びを もたらしてくれる ただ いくつも年をかさねた 少女のもとに 父だけは 帰ってこなかった
感想
ある親子の別れと再会が描かれた1冊です。
まるで、映画を見ているかのような感覚で読むことができます。
最後は希望がある終わり方なのですが、全体的にはどこか寂しさが漂う絵本です。
それでも、父のことを想いながら、生き続ける娘の姿には、強さを感じます。
この絵本では、そんな生きる力が静かに描き出されています。
別れなど悲しいことがあっても、生き抜くことが大事なのだと、この絵本を読んで感じました。
生きる上での悲しみと喜びが描かれた、大人の絵本です。
- 作者: マイケル・デュドクドゥ・ヴィット,Michael Dudok Du Wit,うちだややこ
- 出版社/メーカー: くもん出版
- 発売日: 2003/03
- メディア: 大型本
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