タンポポ あの日をわすれないで
『タンポポあの日をわすれないで』を読みました。
あらすじ
まいちゃんは、家族が手を振る中、走りながらスクールバスの方へ向かいます。
いつもの1日のはじまりです。
バスに乗ると、友達のさきちゃんとおしゃべりしながら、学校へ向かいます。
ところが、午後の国語の時間中に……。
東日本大地震が描かれた絵本です。
見どころ
今回の見どころは、子供たちの友情です。
仲良しのまいちゃんとさきちゃん。
震災が起きても、ふたりは一緒に生き延びます。
幸いにも、まいちゃんの家族は、無事でした。
しかし、残念ながら、さきちゃんのお父さんと弟は、津波にのまれて、亡くなってしまいました。
さきちゃんは、広島の親戚の家に行くため、転校することになり、みんなにお別れを言います。
放課後、まいちゃんとさきちゃんは、校庭に出ます。
まいちゃんは、さきちゃんの弟のために、タンポポをつんで渡します。
ふたりは、亡くなったみんなのことを思い出し、みんなのためにタンポポをつみます。
さきちゃんは、いつか必ずこの町に帰ると、まいちゃんに言い、にっこり笑います。
まいちゃんも笑い、タンポポが一斉に揺れます。
この絵本では、震災が起きても、変わらない子供たちの友情が描かれています。
そして、その希望の光として、タンポポが物語に花を添えています。
震災が起きたことによって、離れ離れになってしまった人々。
まいちゃんと友達のさきちゃんも、さきちゃんが転校するため、離れ離れになってしまいます。
しかし、それでも友情はなくなりません。
離れていても、故郷や友達を思う心はなくならないのです。
そんな場所や友達がいるからこそ、離れ離れになっても、遠い土地に行っても、生きていけるのかもしれません。
過酷な状況でも、友達を思う心を持った子供たちに、涙してしまいます。
印象的なことば
あたし、いつかかならず、この町にかえってくるからね
さきちゃんの言葉です。
震災が起きて、人も家もなくなっても、やはり故郷は故郷です。
大事な友達も思い出も、みんな故郷にあります。
なんとも、力強いさきちゃんの言葉です。
感想
東日本大地震を題材に、子供たちの友情が描かれた絵本です。
過酷な状況に心が痛みますが、子供たちの素直な明るさや、友情が描かれているので、希望の光が見える作品になっています。
強固なふたりの絆が、羨ましいです。
友情は、生きる希望になるのだなと、改めて思いました。
タイトルにもなっている、タンポポは、可愛らしいだけでなく、力強さも秘めていると感じます。
特に、若い読者に読んでほしい一冊です。