急行「北極号」
『急行「北極号」』を読みました。

- 作者: クリス・ヴァン・オールズバーグ,Chris Van Allsburg,村上春樹
- 出版社/メーカー: あすなろ書房
- 発売日: 2003/11/10
- メディア: 大型本
- 購入: 4人 クリック: 61回
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あらすじ
クリスマスイブの夜中、ぼくが静かにベッドに横になっていると、家の前に汽車が止まります。
その汽車は、急行「北極号」でした。
ぼくが北極号に乗り込むと、列車の中は子どもたちでいっぱいです。
走り続ける北極号が向かった先は……。
クリスマスに起きた不思議な出来事が描かれた素敵な絵本です。
見どころ
今回のポイントは、信じる心です。
主人公のぼくは、クリスマスイブの夜に北極号に乗り、北極点を目指します。
北極点はとても大きな街で、街の工場ではクリスマスのプレゼントが作られています。
そこでは、小人たちが街の真ん中に集まり、サンタがクリスマスプレゼントの第一号を手渡すことになっています。
プレゼント第一号をもらうのは、子どもたちの中から選ばれたひとりです。
そこにサンタが現れて、大勢の子どもたちの中から、ぼくを選びます。
サンタは、ぼくにプレゼントに何が欲しいのかを尋ねます。
ぼくは、サンタに「サンタのそりについた銀の鈴」が欲しいと言います。
サンタはぼくに鈴を渡し、ぼくはそれをローブのポケットに入れます。
しかし、北極号に戻ったぼくが、ポケットに手を入れると、そこにはぽっかりと穴が空いていて、銀の鈴はなくなっています……。
外に出て探す暇もなく、北極号は再び動き始め、帰りの旅が始まります。
鈴をなくしたぼくは、とてもがっかりしてしまいます。
汽車が家の前に到着し、ぼくは北極号や子どもたちとお別れをします。
そして、クリスマスの朝になり、ぼくは妹のサラとプレゼントの包みを開けます。
その時、サラがぼくの名前が書かれた小さな箱を見つけ、箱を開けてみると……
なんと、あの銀の鈴が入っています!
ぼくが鈴を振ってみると、素敵な音がします。
でも、その音は大人には聞こえませんでした……。
この絵本の最後には、ぼくが大人になった後のことも書かれています。
大人になり、友達や妹のサラにもかつて聞こえた鈴の音は、もう彼らの耳には届きません。
しかし、ぼくの耳には、まだ鈴の音が聞こえます。
ぼくは「心から信じていれば、その音はちゃんと聞こえるんだよ」と言い、物語は締めくくられます。
主人公のぼくのように、大人になっても、大切なものを信じる心はなくしたくないものですね。
この絵本に描かれているできごとは、まるで夢を見ているかのような不思議なできごとです。
このようなストーリーに感情移入できるかどうかは、ふたつのタイプに分かれそうです。
つまり、感情移入できるか、できないかのふたつです。
前者は、子どもならではの感受性や想像力を持ち続けている人だと言えるでしょう。
信じる心を持っている人と、言い換えることもできます。
この絵本を折に触れて読み返し、信じる心を忘れないようにしたいものです。
印象的なことば
心から信じていれば、その音はちゃんと聞こえるんだよ。
ぼくが、物語の最後を締めくくる言葉です。
大人になっても、心から信じることを大切にしたいですね。
感想
クリスマスの夜にぼくが体験する、幻想的なできごとを通して、信じることの大切さが描かれた1冊です。
C・V・オールズバーグのクリスマス絵本で、1986年度のコルデコット賞受賞作品となっています。
幻想的で美しい絵と村上春樹の訳が光っています。
この絵本は、2004年に『ポーラー・エクスプレス』という映画にもなっています。
映画の方は見ていないのですが、当時話題になっていたのを覚えています。
大切なことを思い出させてくれるような絵本で、クリスマスの時期ではなくても、折に触れて読み返したい絵本となっています。
絵本朗読の動画もありました。
クリスマス絵本朗読『The Polar Express -急行 北極号-』
クリスマスに、子どもと一緒に読みたい絵本です。

- 作者: クリス・ヴァン・オールズバーグ,Chris Van Allsburg,村上春樹
- 出版社/メーカー: あすなろ書房
- 発売日: 2003/11/10
- メディア: 大型本
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