『白バラはどこに』を読みました。
- 作者: クリストフガラーツ,ロベルトイーノセンティ,Christophe Gallaz,Robert Innocenti,長田弘
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2000/09
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
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あらすじ
時代は、第二次世界大戦下のドイツ。
「白バラ」という名の少女が住む小さな町にも、戦争はやってきました。
ある日、逃げようとするひとりの少年を乗せて走り去るトラックを目撃した少女は、その後を追います。
少女は、町をはずれ、広い野に出て、見たこともない森へ出ます。
そして、森の中の切り開かれたところで少女が見たのは……。
第二次世界大戦下を生きる少女の冷酷な運命を描いた絵本です。
見どころ
今回の見どころは、目を背けたくなるような現実です。
舞台は、第二次世界大戦下のドイツの小さな町です。
ある日、逃げようとするひとりの少年を乗せて走り去るトラックを少女が目撃します。
少女はその後を追いかけます。
そして、少女がたどり着いた先に見たものは、鉄条網を隔てた向こう側の大きな木造の建物と、その前に立つ痩せた子供たちでした。
それは、ユダヤ人の収容所でした。
その後、少女は誰にも知られないように、収容所へ食料を運びます。
ある朝、町中の人たちが、町から逃げ出します。
そんな中、少女は再び森の中へ入って行きます。
そこで、少女は兵士に撃たれてしまいます……。
少女のお母さんは、いつまでも少女が帰ってくるのを待っていましたが、少女は一向に帰ってきません。
そして、また春がやってきます。
ここで、この絵本は終わります。
この絵本で描かれているのは、冷酷な現実です。
初めて読んだときは、その衝撃的なストーリーに、思わず驚きました。
多くの絵本は、魔法や空想などのファンタジー的要素が含まれていて、読みやすいものが大半なのですが、この絵本はそういった絵本特有の甘さがありません。
そこにあるのは、目を背けたくなるような現実です。
しかし、この物語は悲惨なだけでは終わりません。
最後の方には、暗く寒かった冬が終わり、春が訪れます。
クロッカスが地面から芽を出し、川の水は土手からあふれ、木々には鳥たちがいっぱいやってきます。
ハッピーエンドではありませんが、そこには救いもちゃんとあるのです。
この絵本を読む際には、どうか目を背けずに直視して、戦争の恐ろしさや平和の素晴らしさを感じて欲しいと思います。
印象的な言葉
春がうたっていました。
絵本の最後の言葉です。
どんなに悲惨な状況でも、やがては春が訪れます。
感想
ホロコーストのことが描かれた絵本です。
ホロコーストとは、第二次世界大戦中のナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った迫害・殺戮のことです。
戦争の落とす影が、詩的な文章と、美しく精巧な絵とともに描かれています。
悲惨な現実を伝える物語ですが、それだけではなく平和も謳っています。
現代の日本で暮らす私たちにとって、この絵本の舞台となった時代は馴染みのないものですが、この絵本のメッセージを読み取り、共感することはできます。
戦争のない現代の日本だからこそ、こういった絵本を読んで、平和の素晴らしさを改めて感じることが大事だと感じます。
現代を生きる私たちが、読むべき絵本のひとつだと言えるでしょう。
- 作者: クリストフガラーツ,ロベルトイーノセンティ,Christophe Gallaz,Robert Innocenti,長田弘
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2000/09
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