死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

おとうさんのちず

『おとうさんのちず』を読みました。

 

おとうさんのちず

おとうさんのちず

 

 

あらすじ

 

戦争で故郷を追われた僕たちが辿り着いたのは、東の国でした。

 

僕たちは、食料は乏しく、土をかためた床の上で眠る毎日を送ります。

 

そんなあるとき、お父さんは……。

 

辛い状況でも、豊かに生きるヒントがある絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、辛い環境でも豊かに生きる方法です。

 

戦争で故郷を追われた一家は、東の国にやってきます。

 

少年と家族は、小さな部屋でよその夫婦と一緒に暮らすことになります。

 

ある日のこと、お父さんがパンを買いに市場へ出かけます。

 

しかし、お父さんは夕方になっても、帰ってきません。

 

日が暮れる頃、ようやくお父さんが帰ってきます。

 

お父さんは、パンではなく、地図を買ってきました。

 

お母さんは辛そうで、少年は怒ります。

 

同じ部屋の夫婦が食事をする中、少年はすっぽり布団をかぶります。

 

次の日、お父さんは壁に地図を貼ります。

 

地図を貼ると、暗い部屋に色が溢れます。

 

少年はうっとりして、地図を眺めたり、運良く紙が手に入れば、書き写したりします。

 

また、少年は、地名で詩を作って、魔法の呪文のように唱えます。

 

すると、狭い部屋にいても、心は遠くへ飛んでいけます。

 

少年は、様々な場所をイメージし、楽しみます。

 

地図のおかげで、少年はひもじさも忘れ、魔法のような時間を過ごします。

 

最初は、パンではなく地図を買ってきたお父さんに対して、怒った少年でしたが、最後はお父さんが正しいことがわかります。

 

辛い環境でも、工夫してこころ豊かに暮らすことはできるのです。

 

ひもじくても、心が豊かであれば、多少つらくても生きていける。

 

そんなことを、実感できる絵本です。

 

印象的なことば

 

ぼくは、パンをかわなかったおとうさんをゆるした。

やっぱりおとうさんはただしかったのだ。

 

 

少年の言葉です。

 

パンではなく、地図を買ったお父さん。

 

最初は、それに対し怒った少年でしたが、あとからそれがこころ豊かに暮らす知恵であったことに気が付きます。

 

感想

 

お父さんの地図をめぐる、物語です。

 

この絵本は、作者の自伝的なストーリーのようです。

 

貧しい中でも、地図に夢中になり、こころ豊かに暮らし、絵本作家にまでなった彼の凄さを改めて感じました。

 

この絵本では、当時の地図の記憶を辿って、コラージュ、ペンとインク、水彩を使って再現されています。

 

カラフルなイラストは、少年の心の豊かさや、想像力の豊かさを感じさせます。

 

本来であればとても辛い状況であるのに、たくましく暮らす家族に、胸を打たれました。

 

子どもだけでなく、大人にもオススメな絵本です。

 

 

おとうさんのちず

おとうさんのちず

 

 

 

 

 

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