うるわしのセモリナ・セモリナス
『うるわしのセモリナ・セモリナス』を読みました。

- 作者: アンソニー・L.マンナ,クリストドウラミタキドウ,ジゼルポター,Anthony L. Manna,Gisele Potter,Christodoula Mitakidou,きむらゆりこ
- 出版社/メーカー: BL出版
- 発売日: 2000/11
- メディア: 大型本
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あらすじ
むかしむかし、ギリシャの国に、アレティという王女がいました。
アレティ姫にプロポーズした男の人は数えきれないほどいましたが、どの人もどうしても好きになれません。
ある日、姫はいい考えを思いつきました。
それは、自分で恋人をつくるということでした。
姫は、ついに理想の男性を作り上げます。
ところが、このことを世界の果ての悪い女王が聞きつけて……。
ギリシャの伝統的な民話が、再話によって復活した絵本です。
見どころ
この絵本の見どころは、アレティ姫の行動力です。
姫に寄ってくる男性は星の数ほどいましたが、どの人も好きになれず、姫は自ら理想の男性セモリナ・セモリナスさまを作り上げます。
これだけでも相当な行動力ですが、この物語はここで終わりません。
その後、悪い女王がその噂を聞きつけて、セモリナ・セモリナスさまを船に閉じ込めて、連れ去ってしまいます。
そのことを知った姫は、頑丈な鉄の靴を3足作らせ、旅に出ます。
姫は、道の途中で出会う人々に、セモリナ・セモリナスさまの行方を聞いて回ります。
しかし、なかなか有力な情報を手に入れることができません。
その代わりに、姫は困ったときに使える木の実をもらいます。
その後、ようやくセモリナ・セモリナスさまのことを知っている星に出会い、セモリナスさまの行方がわかります。
そして、姫は困ったときに使える木の実に助けられ、セモリナ・セモリナスさまの機転も功を奏し、ふたりは船でギリシャに帰り、いつまでも幸せに暮らします。
自分で連れ去られた恋人を遠くの国まで助けに行き、見事助け出す姫のバイタリティーに脱帽です。
もし、姫が自分からは行動しないタイプの女性だったら、このハッピーエンドは迎えられません。
ここでの姫は、「自分の幸せは自分で掴み取る」というパワフルな女性として描かれています。
そんなアレティ姫の行動力には、学ぶところがたくさんあるように思います。
理想の男性を作り出すことはさすがに無理かもしれませんが、理想の男性を見つけ出すことはできるかもしれません。
もし、好みの男性がなかなか現れない場合は、待っているだけではなく、アレティ姫のように、考えるよりも行動してみるといいかもしれませんね。
印象的なことば
人を「すき」とおもう気もちが、そんなまほうをおこしたのでしょう。
アレティ姫とセモリナ・セモリナスさまの気もちが通じ合ったからこそ、セモリナスさまは目覚めました。
人をすきと思う気もちは、ときに偉大な力を発揮します。
感想
ジゼル・ポターのユーモラスなイラストを得て、ギリシャの伝統的な民話が再話によって復活し、出来上がった絵本です。
ギリシャの昔のお話ですが、思いがけず現代的な要素もあり、読みやすくなっています。
アレティ姫やセモリナ・セモリナスさまの人を強く愛する気もちが、描かれています。
姫の行動力には驚かされますが、これも人を好きという気もちがなせるわざですね。
それほどまでに、セモリナ・セモリナスさまのことが好きなのだということが伝わってきて、なんとも微笑ましくなります。
日本の昔話では、お姫様は基本待っていることが多く、自分からは動かない印象です。
そんな日本の昔話に親しんできたので、アレティ姫のような女性像は目から鱗でした。
アレティ姫からは、「欲しいものは自分から掴み取る」という強いバイタリティーを感じます。
そんなアレティ姫の行動力は、日本の女性や男性も、見習う価値があるものだと思います。
恋愛でもう1歩踏み出したい人にもオススメの絵本です。

- 作者: アンソニー・L.マンナ,クリストドウラミタキドウ,ジゼルポター,Anthony L. Manna,Gisele Potter,Christodoula Mitakidou,きむらゆりこ
- 出版社/メーカー: BL出版
- 発売日: 2000/11
- メディア: 大型本
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