『どんなかんじかなぁ』を読みました。
あらすじ
友達のまりちゃんは、目が見えません。
ひろくんは、見えないってどんな感じかなと思い、考えを巡らせます。
ひろくんは、目をつぶってみることにします。
すると、色々な音が聞こえてきて……。
ひろくんが友達の立場になって考えを巡らせ、様々なことに気付くお話です。
見どころ
今回の見どころは、相手の身になって考えることです。
ひろくんの友達のまりちゃんは、目が見えません。
ひろくんは、目が見えないってどんな感じかなぁと思い、しばらく目をつぶってみます。
すると、色々な音が聞こえてきます。
ひろくんは、驚いて目を開けます。
そして、まりちゃんに会った時に、「見えないってすごいんだね」と、体験したことを語ります。
まりちゃんは笑って、「ひろくんって、変わってる」と言います。
もうひとりの友達、さのくんは、耳が聞こえません。
ひろくんは、聞こえないってどんな感じかなぁと思い、しばらく耳をふさいでみます。
すると、ひろくんは、お母さんの顔のほくろの数を初めて知ります。
そして、さのくんに会った時、「聞こえないってすごいんだね」と、体験したことを語ります。
さのくんは、「ひろくん、考えすぎー」とふきだします。
別の友達のきみちゃんは、お父さんもお母さんもいません。
ひろくんは、それがどんな感じかなぁと思い、一生懸命考えますが、わかりません。
そして、きみちゃんがきた時に、「きっと、すごく寂しいんだろうね」と聞いてみます。
きみちゃんは、ちょっと考えてから「そうでもないよ」と言います。
そして、次の日曜に、きみちゃんがひろくんのもとにきて、1日じっと動かないでみたと言います。
ひろくんは、どんな感じだったか聞きます。
きみちゃんは、「じっとして空を見ていたら、いつもの100倍くらい、色んなことを考えたし、わかったこともたくさんあった」と言います。
きみちゃんは、ひろくんのことを学者みたいだと褒めます。
ひろくんは、照れくさくて笑います。
今日もひろくんは、いつものように考えます。
宇宙のこと、分子のこと、古代のこと……。
それから、動けるってどんな感じかなぁとも。
この絵本では、ひろくんが障害のある友達の立場になって考えることで、物語が展開していきます。
ひろくんは、目の見えない友達や耳が聞こえない友達、さらには両親を災害で亡くした友達の立場になって、その友達がどういう風に感じているかを考えます。
そして、色々なことを感じ、感じたことを友達に話します。
さらに、物語が進んでいくと、ひろくん自身も障害を持っていることがわかります。
ひろくんは、車椅子に乗っています。
そして、友達のきみちゃんが、ひろくんの立場になり、1日動かないでみたと話しかけてきます。
きみちゃんは、動かないでいたことによって体験したことを、ひろくんに伝えます。
みんなが友達の立場になって考え、その友達の日常を想像することで、友達のすごさに気付きます。
相手の身になって考えることは、大事なことだと知りながら、なかなか実行することは難しいものです。
しかし、この絵本に登場するひろくんたちは、実際に相手の立場になって考えます。
そして、色々なことに気付きます。
相手になることはできませんが、相手の立場になって考えることはできるのです。
そこには、思いやりと想像力があります。
大事なことに気付かされる、そんな絵本です。
印象的なことば
うごけないって、すごいことなのかもしれないね。
ぼくって、すごいのかもしれないね。
ひろくんの言葉です。
きみちゃんの言葉を受けて、ひろくんはこう感じます。
他人に言われて、初めて気付くことってありますよね。
ひろくんの自信に満ちた表情が、ページいっぱいに描かれています。
感想
ひろくんが友達の立場になって、考えを巡らす絵本です。
シンプルなストーリーの中に、普段私たちが見落としがちな、大切なことが詰まっています。
相手の立場になって考えようと、学生時代に教えられた経験がある人も多いでしょう。
しかし、大人になって、それを実行できている人は、多くはないと思います。
相手の立場になって物事を考えるのは、なかなか大変なことです。
完全に相手の立場になることは無理でも、相手の気持ちを考えられる想像力のある人になりたいなと、改めてこの絵本を読んで思いました。
子どもはもちろんのこと、大人にも読んで欲しい絵本です。