死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

アンジェロ

『アンジェロ』を読みました。

 

アンジェロ

アンジェロ

 

 

あらすじ

 

アンジェロは、壁塗り職人です。

 

ある日、古い教会で仕事をしていると、息も絶え絶えのハトを見つけます。

 

アンジェロは、文句を言いながらも、ハトの手当に打ち込むようになります。

 

やがて、ハトは元気になり、飛び立って行きますが……。

 

アンジェロとハトのシルビアが織りなす、心温まる物語です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、仕事への情熱と動物への思いやりです。

 

アンジェロは、壁塗り職人です。

 

ある日、仕事をしていると、息も絶え絶えのハトを見つけます。

 

アンジェロは、ハトをほうきの柄でつつきますが、ハトは動きません。

 

アンジェロは、仕方なくそのままにして、仕事を続けます。

 

仕事を終えたアンジェロは、ハトを帽子に入れて家に向かいます。

 

途中でハトを捨てていくつもりでしたが、町中が物騒で、家に着いたときも、ハトは帽子の中にいます。

 

アンジェロは、ハトをテラスにおこうとしますが、近くのねこに気付き、慌ててハトを部屋に入れます。

 

結局、ブツブツ言いながらも、アンジェロはハトのベッドを作ってやります。

 

いつの間にかアンジェロは、時間を惜しまずに、ハトの手当に打ち込むようになります。

 

アンジェロは、ハトが元気になると、仕事場に連れて行くようになります。

 

また、休みの日には、きれいな空気を吸わせてやろうと、ハトと車で田舎にドライブをします。

 

そして、ハトはすっかり元気になります。

 

ある日の朝、アンジェロが教会に出かけたあと、ハトはどこかに飛び立ちます。

 

アンジェロのハトは、広場で大道芸をして、人気者になり始めます。

 

ハトは、時々アンジェロを見に行きます。

 

そして、何ヶ月かが経ち、アンジェロの仕事ぶりが遅くなっていることに気付きます。

 

ある日の午後、ハトはアンジェロにあいさつに行きます。

 

アンジェロは、ハトに本音を漏らします。

 

その日ハトは、最後までそばにいて、アンジェロを励まします。

 

その日から、ハトは毎日やってきて、アンジェロをサポートします。

 

アンジェロは、自分の見事な仕事ぶりを自慢します。

 

昼休みには、仲間のハトたちもやってきて、ショーをして見せます。

 

しかし、ハトに助けてもらっても、どんどん時間が足りなくなり、昼休みにも働き続けるようになります。

 

ある土曜日のこと、ドライブの途中で、アンジェロはハトにようやく名前をつけてやります。

 

ハトの名前は、シルビアになります。

 

月日は流れても、アンジェロとシルビアは、いつも一緒にいます。

 

冬がやってきて、アンジェロは寒すぎて、スタッコをこねることができない日もあります。

 

2年以上にもわたるつらい仕事の末、ようやく終わりが見えてきます。

 

しかし、冬が間近に迫り、アンジェロの動きはますます遅くなります。

 

冬がくる前に仕事を終えようと、アンジェロは大好きな週末のドライブも取りやめにします。

 

11月のある暖かい日、アンジェロはついに仕事を仕上げます。

 

それは、教会正面中央の天使の像でした。

 

しかし、アンジェロは喜ぶどころか、とても不安そうです。

 

シルビアは、夕食のときになんとか元気付けようとしますが、アンジェロはぼんやりと皿を見つめるばかり。

 

そして、とうとうアンジェロが口を開きます。

 

アンジェロは、自分がいなくなったら、シルビアがどこに行くのか心配だと言います。

 

その後、アンジェロは突然叫び、出かけていきます。

 

アンジェロが家に戻ってきたとき、ちょうど朝日が昇ります。

 

疲れ切った様子のアンジェロですが、口元には何ヶ月ぶりかの微笑みがあります。

 

その日の午後、作業員たちが、教会の足場を取り外します。

 

しかし、その日アンジェロは、姿を見せませんでした。

 

誰もが、何かよくないことが起こったに違いないと思います。

 

そして、アンジェロは、ベッドの上で発見されます。

 

周りには、木の枝と鳥の羽が落ちています。

 

アンジェロが運び込まれた教会には、新しい部分が一カ所あります。

 

なんと、天使たちの足元に、見事な鳥の巣ができていたのです。

 

それは、新しいシルビアの家でした。

 

それから長い年月が過ぎ、教会が再び修復されることになります。

 

若い壁塗り職人がふたり、アンジェロの作った巣のもとにやってきます。

 

巣は見事なままで、巣の底には羽と麦わらが残っています。

 

どちらの職人も、手を触れることはありませんでした。

 

この絵本では、アンジェロの仕事に対する情熱と動物への思いやりが描かれています。

 

アンジェロは、亡くなるまで、誇りと責任感を持って、仕事をやり遂げました。

 

段々と体力が衰え、仕事のペースも遅くなりますが、アンジェロは決して仕事を投げ出したりしません。

 

そこには、壁塗り職人の仕事に対する情熱が溢れています。

 

また、仕事の最中に出会ったハトのシルビアには、文句を言いながらも手当をしたり、動物に対して優しく接しています。

 

最後には、仕事や自分のことよりも、シルビアのこれから先のことを心配して、シルビアに新しい家を作ってやります。

 

その後、アンジェロは、静かに息を引き取ります。

 

アンジェロの素晴らしい人柄が描かれた、感動の絵本です。

 

印象的なことば

 

いまではここがおまえの家だ。だがな、人間はいつまでも生きることはできんのだ。おれがいなくなったら、おまえはいったい、どこにいくんだい?おまえのことが心配だよ

 

 

アンジェロの言葉です。

 

アンジェロは、ハトのシルビアの今後のことを心配しています。

 

もう、自分が長くないことを知っているからです。

 

そして、実際にシルビアのために、新しい家を作ってやります。

 

アンジェロが、心からシルビアのことを思っていることが、伝わってくる言葉です。

 

感想

 

アンジェロとハトのシルビアの交流が描かれた、心温まる一冊です。

 

アンジェロの仕事への情熱や、ハトへの思いやりは、素晴らしいものです。

 

アンジェロのような行動は、心掛けたくても、なかなかできるものではありません。

 

だからこそ、アンジェロの人生は、こんなにも読者を感動させるのだと思います。

 

アンジェロは、いつも見返りを求めずに、相手に与えることを考えていたのでしょう。

 

ここまでの境地に至るのは、なかなか至難の業ですが、少しでも見習いたいものです。

 

特に大人に読んでほしい一冊です。

 

 

アンジェロ

アンジェロ

 

 

 

 

 

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ホームランを打ったことのない君に

『ホームランを打ったことのない君に』を読みました。

 

ホームランを打ったことのない君に

ホームランを打ったことのない君に

 

 

あらすじ

 

ルイは、野球少年です。

 

ルイは、試合でホームランを狙いますが、負けてしまいます。

 

夕方、お母さんに頼まれて、ルイがコンビニまでおつかいに行くと、仙ちゃんと会い……。

 

諦めないことの大切さが描かれた一冊です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、諦めない力です。

 

ルイは、野球少年です。

 

ルイは、試合でホームランを打とうと張り切りますが、結果は負けてしまいます。

 

夕方、お母さんに頼まれて、マーガリンを買いにコンビニへ行くと、仙ちゃんに会います。

 

仙ちゃんは、近所のお兄さんです。

 

仙ちゃんは、今朝の試合を見ていたと言います。

 

帰り道、ふたりは今朝の試合の話をします。

 

ホームランを打ちたかったルイに対して、いきなりは無理だと、仙ちゃんが言います。

 

途中の公園で、仙ちゃんはホームランについて語り出します。

 

さすがに詳しい仙ちゃんですが、仙ちゃんでも試合では、ホームランを打ったことがないと言います。

 

仙ちゃんは、先週スタジアムで見た、象島のホームランの話をします。

 

仙ちゃんは、象島は神に選ばれた人だと言います。

 

それを聞いたルイは、弱気になります。

 

しかし、仙ちゃんはルイを励まします。

 

ルイは家に帰る途中、公園でバッティングフォームを繰り返す仙ちゃんを見つめます。

 

家に帰り、ルイがお母さんと話していると、意外な事実を聞かされます。

 

なんと、仙ちゃんは、去年の今頃に出前をしていて、交通事故に巻き込まれて、重傷を負ったそうです。

 

その後、医者から歩けなくなるかもしれないと言われながらも、病院で頑張ってリハビリして、帰ってきたそうです。

 

そんなことがあったけど、仙ちゃんは、今朝の試合を見に来てくれたのです。

 

ルイは、いつかホームランを打つことを、心に決めます。

 

その夜、ルイは、仙ちゃんがホームランを打つ夢を見ます。

 

この絵本では、まだホームランを打ったことのないルイが、仙ちゃんとのやりとりを通じて、いつかホームランを打とうという気持ちになる姿が描かれています。

 

仙ちゃんは、交通事故で重傷を負ったにもかかわらず、諦めない気持ちを持ち続け、リハビリを終えて、帰ってきました。

 

そんな仙ちゃんは、自分自身もホームランを打つことを諦めていません。

 

さらに、ルイがホームランを打つ前から諦めてしまいそうになりますが、仙ちゃんが励ましたことにより、再びホームランを打ちたいと思うようになります。

 

仙ちゃんの諦めない力は、ルイにも伝わり、いい効果を与えています。

 

何事も諦めないことが大切だと、学べる一冊です。

 

印象的なことば

 

何言ってんだよ。

始める前からあきらめるのかい。

夢見るだけにしとくのかい。

やってみないとわからんだろう。

オレだってまだあきらめてないぞ

 

 

仙ちゃんの言葉です。

 

仙ちゃんが、諦めそうになったルイに、こう言います。

 

仙ちゃんの熱い励ましの言葉です。

 

感想

 

野球少年のルイが、仙ちゃんとのやりとりを通じて、ホームランに対して前向きになる物語です。

 

作者の長谷川集平さんは、小さい頃から、野球が大好きだったそうです。

 

そんな長谷川さんは、ブランクを経て、絵本作家に復帰するときに、復帰第1作は野球を描くことから始めようと決めていたそうです。

 

それほど野球を愛している、長谷川さんだからこそ描ける作品だと思います。

 

私自身は、野球に詳しくないのですが、この絵本は十分楽しめました。

 

それは、この絵本に「諦めない」という普遍的なテーマがあるからだと思います。

 

前向きな気持ちになれる一冊です。

 

野球をやっている子どもたちにオススメです。

 

 

ホームランを打ったことのない君に

ホームランを打ったことのない君に

 

 

 

 

 

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えんふねにのって

『えんふねにのって』を読みました。

 

えんふねにのって

えんふねにのって

 

 

あらすじ

 

幼稚園生のまきちゃんは、えんふねに乗るのが大好きです。

 

今日も、待ちきれずに家から飛び出します。

 

まきちゃんが乗り場に着いて、川の向こうをじっと見つめていると、えんふねがゆっくりとやってきて……。

 

まきちゃんの一風変わった通園風景が描かれた絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、非日常的な体験です。

 

幼稚園生のまきちゃんは、えんふねに乗るのが大好きです。

 

今日も待ちきれずに、家から飛び出して、乗り場で待ちます。

 

そして、えんふねがゆっくりとやってきます。

 

えんふねには、先生や友達、船頭のおじさんが乗っています。

 

まきちゃんが通っている幼稚園は、川のそばにあるので、園バスではなく、えんふねに乗って、幼稚園へ行きます。

 

まきちゃんがえんふねに乗り、えんふねは動き始めます。

 

子どもたちは、えんふねから見える景色を楽しみます。

 

途中の橋の上で、まきちゃんのおばあちゃんが、とれたてのトマトを差し入れします。

 

その後、向こうから小舟がやってきて、すれ違いざまに、「この先は通れない」と言います。

 

なんと、先には大きな丸太が、川を塞いでいます。

 

そこに、丸太をどかす作業をしているおじさんから声がかかります。

 

おじさんは、「奥の手で通してやる」と言います。

 

そして、なんとクレーン車がえんふねを、持ち上げていきます。

 

えんふねは、どんどん上まで登っていきます。

 

まるで、えんふねは、鳥になったみたいです。

 

そして、えんふねは丸太を越えると、ゆっくり川の上に降ろされます。

 

えんふねが幼稚園に着き、子どもたちは園長先生の方へ走り出します。

 

今日も、また楽しい1日が始まります。

 

この絵本では、まきちゃんが幼稚園へ通うために乗る、えんふねでのできごとが描かれています。

 

園バスはよく聞きますが、えんふねはあまり聞かないかもしれません。

 

えんふね自体が、非日常的なものに思えますが、まきちゃんたちにとっては、日常的に乗るものです。

 

そんな日常の中で、あるできごとが起こります。

 

それは、丸太が川を塞いでいて、えんふねが通れないため、クレーン車がえんふねを持ち上げるというものでした。

 

えんふねに乗る子どもたちは、まるで鳥のように、空を飛んでいるかのような感覚になります。

 

子どもたちの、ドキドキやワクワクが伝わってきます。

 

非日常的な体験が、楽しく描かれている絵本です。

 

印象的なことば

 

ようちえんまで、このまま とんで いけそうだね…

 

 

 

えんふねがクレーン車に持ち上げられて、高いところから街の景色を見たときの、子どもの言葉です。

 

まるで鳥になったような、ワクワク感が伝わってきます。

 

感想

 

えんふねでのできごとが描かれた、楽しい一冊です。

 

子どもの頃、こんな風にえんふねで幼稚園に通えたら、楽しいだろうなと思いました。

 

発想がユニークで、大人でもなんだかワクワクしてくる絵本です。

 

こんなふねや幼稚園があったらいいなという気持ちになります。

 

子どもに読んであげたい一冊です。

 

 

えんふねにのって

えんふねにのって

 

 

 

 

 

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ねこのなまえ

『ねこのなまえ』を読みました。

 

ねこのなまえ

ねこのなまえ

 

 

あらすじ

 

春のある日、さっちゃんがひとりで公園を歩いていると、1匹の野良猫と出会います。

 

ねこは、さっちゃんにお願いをしてきます。

 

そのお願いとは……。

 

さっちゃんとねこの心温まる一冊です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、名前があることの素晴らしさです。

 

ある春の日に、さっちゃんは公園へ向かいます。

 

さっちゃんは、桜並木の下で、1匹の野良猫に出会います。

 

ねこは、さっちゃんにお願いごとをします。

 

そのお願いごととは、名前をつけてほしいということでした。

 

さっちゃんは、名前がないことを想像して、寂しい気持ちになります。

 

さっちゃんは、ねこに名前のアイディアを出しますが、野良猫はどうもしっくりきません。

 

さっちゃんは、名前には願いがこもっていることを思い出します。

 

そして、さっちゃんは、ねこにどんなときが一番幸せか尋ねます。

 

ねこは、「魚を食べているとき」と答えます。

 

しかし、魚の名前は、ねこには合いません。

 

ねことさっちゃんは、緑の中をゆっくりと歩きます。

 

ねこのしっぽが、ゆらゆらと揺れます。

 

さっちゃんは、ついにねこの名前を思いつきます。

 

それは、「しっぽ」という名前でした。

 

ねこも、その名前を気に入ります。

 

しっぽは、さっちゃんにお礼を言います。

 

そして、しっぽはさっちゃんに、「名前を呼んでくれませんか?」とお願いします。

 

さっちゃんは、しっぽの名前を何度も呼びます。

 

しっぽは、その度に返事をします。

 

しっぽが見えなくなっても、さっちゃんは何度も名前を呼びます。

 

その度に、どこからか嬉しそうな返事が返ってきます。

 

この絵本では、さっちゃんとねこの交流が描かれています。

 

さっちゃんは、ねこの願いごとを受け入れ、ねこに名前をつけます。

 

その過程で、さっちゃんは名前の大切さや意味を感じていきます。

 

最後には、さっちゃんは、何度もねこの名前を呼びます。

 

ねこも嬉しそうに、返事をします。

 

名前は、呼んでもらうことに意味があります。

 

名前は当たり前にあるものだと思いますが、もしなかったらどうなるでしょうか?

 

それは、とても寂しいことです。

 

自分が自分でなくなってしまうような感覚さえあります。

 

名前があることは、自分が自分であるという、存在の証明にもなるのです。

 

まさに、名前があることの素晴らしさが表現された一冊です。

 

印象的なことば

 

なまえがないって どういうことでしょう。さっちゃんから さっちゃんを とったら、そのこは だれになるのでしょう。だれでもない じぶんって、どんなかんじでしょう。

 

改めて、名前がないということを考えさせられる言葉です。

 

名前の大切さも感じることができる言葉です。

 

感想

 

さっちゃんがねこに、名前をつけてあげる物語です。

 

優しい色づかいのイラストが、春の様子を見事に表現しています。

 

また、ねこも可愛らしくて、温かな気持ちになります。

 

普段、名前のことを深く考えていませんでしたが、この絵本を読んで、改めて名前の大切さを感じました。

 

名前がないと、誰が誰だかわからなくなってしまうし、自分が何者かもわからなくなってしまいそうです。

 

それほど、名前は重要な役割を果たしているのです。

 

さっちゃんとねこの交流を通じて、名前の大切さがわかる、素敵な絵本です。

 

 

ねこのなまえ

ねこのなまえ

 

 

 

 

 

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ルリユールおじさん

ルリユールおじさん』を読みました。

 

ルリユールおじさん (講談社の創作絵本)

ルリユールおじさん (講談社の創作絵本)

 

 

あらすじ

 

ある朝、ソフィーの大事にしていた植物図鑑が壊れてしまいます。

 

ソフィーは、図鑑を直してもらおうと、パリの街を歩き回ります。

 

そこで、ルリユールおじさんと出会い……。

 

ソフィーとルリユールおじさんの交流を通じて、ルリユールの仕事の素晴らしさが描かれた一冊です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、本を大切にすることです。

 

パリの街に、朝がやってきます。

 

その朝は、ソフィーにとって特別な1日のはじまりでした。

 

ソフィーの持っていた植物図鑑が、壊れてしまいます。

 

本屋には新しい植物図鑑がたくさんありますが、ソフィーはこの図鑑を直したいのです。

 

ソフィーは、街で出会った人から、「ルリユールのところへ行ってごらん」と言われます。

 

ソフィーは図鑑を抱えながら、ルリユールおじさんを探し、街を歩きます。

 

そして、ソフィーは、ルリユールの店を見つけます。

 

ソフィーがずっと店の前にいると、ルリユールおじさんはソフィーに気が付き、店へ招き入れます。

 

ルリユールおじさんは、ソフィーの図鑑を直すことにします。

 

ルリユールおじさんは、作業を始めます。

 

ソフィーは喋りながら、おじさんの仕事を見つめます。

 

そして、ふたりは公園にパンを食べに出かけます。

 

その間、ふたりは色々な話をします。

 

同じくルリユールだった、おじさんのお父さんの話やアカシアの木の話……。

 

その後、ルリユールおじさんは、明日までに本を直すことを約束して、仕事に戻ります。

 

ルリユールおじさんは、お父さんのことを思い出します。

 

そして、仕事をします。

 

次の日の朝、ソフィーは、ルリユールの店へ行きます。

 

店の窓から、ソフィーの本が見えます。

 

植物図鑑は、新しい本に生まれ変わっています。

 

ソフィーは、ルリユールおじさんに、お礼を言います。

 

その後、ルリユールおじさんの作ってくれた本は、二度と壊れることがなく、ソフィーは植物学の研究者になります。

 

この絵本では、本を通じた、ルリユール職人のおじさんとソフィーの交流が描かれています。

 

ソフィーは、植物が大好きで、自分の持っている植物図鑑を大切にしていました。

 

しかし、植物図鑑が壊れてしまい、困っているところに、ルリユールおじさんと出会います。

 

ルリユールおじさんは、ソフィーの本を、確かな技術で直してくれます。

 

そこには、ルリユールの職人としての誇りや静かな情熱があります。

 

ソフィーとルリユールおじさんは、ふたりとも本を大切にしています。

 

ソフィーは、植物図鑑を大切にして、植物学者になります。

 

ルリユールおじさんは、仕事を通して、本を大切に扱います。

 

本を大切にすることで、人生が豊かになり、夢を実現するきっかけになることもあるのです。

 

本やルリユールの素晴らしさを感じることのできる一冊です。

 

印象的なことば

 

名をのこさなくてもいい。

「ぼうず、いい手をもて」

 

 

ルリユールおじさんが、同じくルリユール職人だったお父さんから言われた言葉です。

 

ルリユール職人として、含蓄のある言葉です。

 

感想

 

ルリユールおじさんの仕事や、ソフィーとの交流が描かれた絵本です。

 

イラストがとてもきれいで、パリの街並みが魅力的です。

 

ルリユールおじさんも、寡黙ながらも、本や仕事に対する情熱、さらには子どもへの優しさも感じられます。

 

魅力的な風景とキャラクターが登場する、印象的な一冊となっています。

 

絵本の中では、実際のルリユールの作業工程も描かれていて、興味深いです。

 

最後の終わり方もきれいで、読後に爽やかな気持ちになります。

 

大人がじっくり味わえる絵本でもありますが、子どもが楽しめる絵本にもなっています。

 

大人が子どもに読み聞かせてあげたい絵本です。

 

 

ルリユールおじさん (講談社の創作絵本)

ルリユールおじさん (講談社の創作絵本)

 

 

 

 

 

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たからもの

『たからもの』を読みました。

 

たからもの

たからもの

 

 

あらすじ

 

むかし、アイザックという男がいました。

 

アイザックは貧しくて、お腹を空かせたまま、床につくこともありました。

 

ある晩、アイザックは夢を見ます。

 

最初は、その夢を気にもとめなかったアイザックでしたが、同じ夢を3回見たときに、考えが変わります。

 

アイザックは、夢のお告げに従って、宝物を探しに旅に出ますが……。

 

宝物を探し当てる男の不思議な物語です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、本当に価値のあるものは意外と近くにあるという事実です。

 

むかし、アイザックという男がいました。

 

アイザックは、貧しくて、お腹を空かせたまま床につくことも珍しくありません。

 

ある晩、アイザックは夢の中で、「都の宮殿の橋の下で宝物を探しなさい」という声を聞きます。

 

アイザックはただの夢だと思い、気にもとめません。

 

しかし、同じ夢を3回も続けて見たときに、もしかしたら本当かもしれないと思い、アイザックは旅に出ます。

 

アイザックは、森を抜け、山を越え、ようやく都につきます。

 

ところが、宮殿の橋へ行くと、何人もの衛兵が昼も夜も警固にあたっていました。

 

アイザックは宝物を探さずに、毎朝橋へ行き、日が暮れるまで辺りを歩き回ります。

 

ある日、衛兵の隊長が、「なぜいつもここにいる?」と尋ねます。

 

アイザックが夢の話をすると、隊長は笑います。

 

隊長は、いつか見た夢の話をします。

 

その夢とは、アイザックという男の家のかまどの下で、宝物を探す夢でした。

 

アイザックは、隊長におじぎをして、はるばるきた道を戻り始めます。

 

ようやく、アイザックは自分の町につきます。

 

そして、家に帰って、かまどの下を掘ると、宝物が出てきます。

 

アイザックは、感謝の気持ちから、祈りの家を建てます。

 

また、隊長にはまたとないほど素晴らしいルビーを贈ります。

 

その後、アイザックは、一生心安らかに暮らし、二度とひもじい思いをすることはありませんでした。

 

この絵本を読むと、本当に価値のあるものは、意外と近くにあるということがわかります。

 

アイザックは、ある夢を信じて、遠くの都へ行きます。

 

そこには、宝物があると、夢で見たからです。

 

しかし、そこでは宝物は見つかりません。

 

代わりに、宮殿の橋にいる衛兵の隊長から、ある夢の話を聞き、自分の町へ戻ります。

 

そして、隊長の言う通り、自分の家のかまどの下を掘ると、宝物が出てきます。

 

その後、アイザックは感謝の気持ちから、祈りの家を建てます。

 

そして、壁にこう刻みます。

 

近くにあるものを見つけるために、遠くまで旅をしなければならないこともある。

 

まさに、その通りです。

 

本当に価値のあるものは意外と近くにあるということに気付くまでに、遠回りをしなければならないこともあるのです。

 

そんなことに、改めて気付かされる絵本です。

 

印象的なことば

 

ちかくに あるものを みつけるために、

とおくまで たびを しなければならないこともある

 

 

アイザックは、感謝の気持ちから、祈りの家を建てます。

 

そこの壁に、刻んだ言葉です。

 

これは、普遍的な言葉だと思います。

 

感想

 

宝物を遠くの都まで探しに行く男の話です。

 

結局、その宝物は自分の家にあったのですが……。

 

大事なことは、遠回りをしないとわからないこともある、ということでしょう。

 

この絵本は、1980年のコルデコット賞の銀賞を受賞しています。

 

だいぶ前からある絵本なのですね。

 

シンプルなストーリーの中に、訴えかけてくるものがある絵本です。

 

 

たからもの

たからもの

 

 

 

 

 

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おへそのあな

『おへそのあな』を読みました。

 

おへそのあな

おへそのあな

 

 

あらすじ

 

お母さんのお腹の中に、小さな赤ちゃんがいます。

 

赤ちゃんは、お母さんのおへその穴から外の世界を見ます。

 

すると、お兄ちゃんが見え……。

 

お母さんのおへその穴から見た世界が描かれた、温かな家族の物語です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、お母さんのおへその穴から見る外の世界です。

 

お母さんのお腹の中には、小さな赤ちゃんがいます。

 

赤ちゃんは、お母さんのおへその穴から外を見ます。

 

そこには、お兄ちゃんやお姉ちゃん、お父さんが見えます。

 

みんな、赤ちゃんのために、ロボットを作ったり、花を育てたり、歌を作ったりしています。

 

また、赤ちゃんは、おへその穴から、外の匂いを嗅ぎます。

 

そこでは、家族みんなが食事の準備をしています。

 

お母さんは、赤ちゃんが元気に生まれてくるように、バランス良く食べます。

 

さらに、赤ちゃんは、おへその穴から色んな声を聞きます。

 

そこでは、お父さんが赤ちゃんの名前を考え、お母さんが両親に電話をしています。

 

また、お父さんが「赤ちゃんが生まれたら、みんなで海を見に行こう」と言います。

 

風の音や波の音が、聞こえてくるようです……。

 

そして、その夜に、赤ちゃんがおへその穴から、聞こえないように言います。

 

「明日生まれていくからね」と。

 

この絵本では、赤ちゃんがお母さんのおへその穴から、外の世界を見る様子が描かれています。

 

そこには、幸せな家族の光景が広がっています。

 

家族のみんなが、赤ちゃんが生まれるのを、心から楽しみにしているのが伝わってきます。

 

その気持ちが赤ちゃんにも伝わり、最後に赤ちゃんは「明日生まれていくからね」と言います。

 

幸せそうな家族の姿に、心が温まる一冊です。

 

印象的なことば

 

あした うまれて いくからね

 

赤ちゃんの言葉です。

 

最後のページに、月に照らされたチューリップの花とともに、この言葉があります。

 

家族のみんなに対する、はじめての言葉かもしれません。

 

きっと家族みんなが赤ちゃんを思う気持ちが伝わったのですね。

 

感想

 

お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんの視点が描かれた絵本です。

 

まさに、幸せな家族が描かれていて、思わず微笑んでしまいます。

 

絵本では、赤ちゃんがお母さんのおへその穴から外の世界を見るのですが、こんな風に生まれる前に外の世界が見られたら面白いなと思います。

 

特に、この家族のように、みんなが赤ちゃんを心待ちにしている様子が見られたら、嬉しいですよね。

 

理想的な家族が描かれた絵本です。

 

 

おへそのあな

おへそのあな

 

 

 

 

 

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