パパはジョニーっていうんだ
『パパはジョニーっていうんだ』を読みました。

- 作者: ボー・R.ホルムベルイ,エヴァエリクソン,Bo R. Holmberg,Eva Eriksson,ひしきあきらこ
- 出版社/メーカー: BL出版
- 発売日: 2004/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 1回
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あらすじ
ティムの両親は離婚し、ティムはママと暮らすことになります。
ある日、ティムはパパと1日を一緒に過ごすことになりました。
映画を観たり、ピザを食べたり、ふたりは楽しい時間を過ごしますが、やがて別れの時間が訪れます……。
子どもと親の絆について考えさせられる絵本です。
ポイント
今回のポイントは、子どもと親の絆です。
ティムの両親は、離婚しています。
絵本の中に「離婚」という文字はありませんが、文章から両親が離婚したことがわかります。
秋のはじめに、ティムと母親が新しい町に引っ越してから、ティムはずっと父親には会っていないようです。
ティムは、久しぶりに父のジョニーに会ったとき、嬉しい気持ちを抑え、母親に言われた通りホームでじっとしています。
本当は父親のもとに走っていきたいけれど、母親に言われたことを守らなければいけない……。
このことから、両親が離婚したという複雑な子どもの気持ちが見てとれます。
久しぶりに再会したティムとジョニーは、楽しい時間を過ごします。
ティムとジョニーにとって、一緒に過ごすことのできる貴重な時間です。
ティムは、会う人すべてに父のことを紹介します。
大好きな父親のことを紹介したくてたまらない、子どもの気持ちが痛いほど伝わってきます。
そんなふたりにも、やがて別れの時が訪れます……。
帰りの電車の中に、ジョニーはティムを連れて乗り込みます。
ジョニーは、ティムを社内の人々に紹介します。
「この子は、ぼくの息子です。最高にいい息子です。ティムっていうんです!」
父親の息子に対する愛情が伝わる言葉です。
離婚しても、子どもと親という関係は変わりません。
子どもと父親の強い絆が、この物語の核にあります。
印象的な言葉
線路は、どこまでもつづいているから。パパの住む町までも、ずっと……。
ティムの言葉です。
ティムは、ジョニーの乗っている電車を見送ります。
電車はあっという間に見えなくなりますが、線路からはまだかすかに音が伝わってきます。
ホームにひとりたたずむティムは、心の中でこう言います。
「だから、いつかきっと電車はもどってくるだろう。ぼくのだいすきなパパをのせて」
離れていても、線路は父の住む町まで続いています。
だから、いつか父がまた電車でやってくる。
そう思うと、寂しい気持ちが和らぎますよね。
作者の紹介
作者は、ボー・R・ホルムベルイです。
1945年にスウェーデンに生まれます。
大学では文学、北欧の言語を専攻します。
1970年から高校で教壇に立つ一方で、子どもと大人のそれぞれを対象にした執筆のコースを指導し、自らも精力的に創作に取り組んでいます。
1949年、スウェーデン生まれです。
また、訳者はひしきあきらこです。
感想
親子の絆を感じられる絵本です。
現代の日本では、3組に1組の夫婦が離婚するということをよく耳にします。
それくらい多くの夫婦が離婚を経験しています。
この絵本は、日本人の多くが感情移入できる物語だと思います。
離婚しても親子という事実は変わりません。
そのため、離婚した理由にもよると思いますが、親子の絆も変わらずに存在するものだと思います。
本書では、そんな変わらない親子の絆を感じることができます。
また、子どもと父親の絆がメインで描かれていますが、最後のページではティムと母親の後ろ姿も描かれています。
ティムをそっと包むような母親の姿が印象的です。
この絵から、母と子の絆も感じることができます。
親子の強い絆が感動を呼びます。

- 作者: ボー・R.ホルムベルイ,エヴァエリクソン,Bo R. Holmberg,Eva Eriksson,ひしきあきらこ
- 出版社/メーカー: BL出版
- 発売日: 2004/01
- メディア: 単行本
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また、先日ミュージシャンのボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞しました。
このブログでも、ディランの絵本『はじまりの日』を紹介したので、よかったらこちらもあわせてご覧ください。