死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

しゅくだい

『しゅくだい』を読みました。

 

しゅくだい (えほんのマーチ)

しゅくだい (えほんのマーチ)

 

 

あらすじ

 

めえこせんせいが、今日の宿題の内容を告げます。

 

すると、クラスのみんなは、大騒ぎを始めます。

 

みんなの前では宿題を嫌がっていたもぐらのもぐは、急いでお家に帰りますが……。

 

宿題をめぐる、もぐと家族の心温まる一冊です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、家族の愛情です。

 

ある日、クラスでめえこ先生が、お家の人にだっこをしてもらうという、だっこの宿題を出します。

 

クラスのみんなは、口々に喋りだし、クラスは大騒ぎです。

 

もぐは、みんなの前では「やだ〜」と言っていましたが、嬉しそうに急いでお家に帰ります。

 

もぐが喜び勇んで家に帰ると、奥から「静かに」というお母さんの声がします。

 

お母さんは、あかちゃんたちを寝かせたところでした。

 

あかちゃんが生まれてから、お母さんは大忙しで、もぐのことをあまりかまってくれません。

 

もぐは、そのことが寂しいようです。

 

夕食の席で、もぐはお父さんやおばあちゃんに、今日の宿題について聞かれます。

 

そこで、もぐは恥ずかしそうに、「だっこ」と答えます。

 

すると、家族のみんなは、笑顔で宿題に協力することになります。

 

まずは、お母さんがもぐをだっこして歌い出します。

 

次に、お父さんが強くもぐを抱きしめます。

 

最後に、おばあちゃんがもぐをだっこします。

 

その晩、もぐはたくさん宿題をして、ぐっすり眠ります。

 

次の日の朝、めえこ先生がみんなに宿題について尋ねると……

 

みんなは一斉に元気よく返事をします。

 

そして、もぐもみんなに負けないくらい大きな声で、返事をします。

 

この物語は、小さな弟や妹がいる方、若しくは昔そうだった方であれば、特にもぐの気持ちがわかると思います。

 

やはり、お母さんはどうしても上の子より、手のかかる下の子を優先することが多いと思います。

 

それは、ごく自然なことなのですが、やはりどうしても、もぐや上の子は、寂しい思いをすることになります。

 

もぐも、最初は宿題を楽しみに、お家に帰りますが、お母さんが忙しそうで、なかなか宿題のことを言いだせません。

 

しかし、お父さんやおばあちゃんが、もぐに宿題について尋ねてくれたことで、状況は一変します。

 

なんと、あまりかまってくれなかったお母さんまで、宿題に協力してくれることになります。

 

そうして、もぐは家族のみんなにだっこをしてもらい、無事に宿題を終えます。

 

お父さんやおばあちゃんがいてくれたことで、もぐは孤独に陥らずに、愛情を感じることができました。

 

家族の愛情のありがたみや大切さが、優しく伝わってくる絵本です。

 

印象的なことば

 

また、だっこの しゅくだい でると いいね!!

 

おばあちゃんがもぐの耳元で囁いた言葉です。

 

おばあちゃんの孫に対する優しさが伝わる言葉ですね。

 

感想

 

もぐの家族の愛情に、心がじんわりと温かくなる絵本です。

 

いもとようこさんの、手がけられた絵本です。

 

いもとさんの絵本は、絵や文章が優しくて、可愛くて、読んでいるこちらも優しい気持ちになれます。

 

今年、上野の森美術館いもとようこさんの展覧会が開催されていました。

 

私も行ってきたのですが、会場を歩きながら原画や文章を見ていると、涙が止まらなくなってしまいました。

 

ハンカチを持っていたので、助かりました(笑)

 

それくらい、こころに響き、感動しました。

 

会場から出ると、こころが浄化されたような気がしました。

 

帰り際に、ショップでいもとさんの絵本を購入したので、そちらの絵本もまたの機会にご紹介したいと思います。

 

今回の絵本も、もぐがとても可愛らしくて、子どもも大人も共感できる一冊になっています。

 

自分はひとりではないんだと思える、そんな素敵な絵本です。

 

 

しゅくだい (えほんのマーチ)

しゅくだい (えほんのマーチ)

 

 

 

 

 

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おまえうまそうだな

『おまえうまそうだな』を読みました。

 

おまえうまそうだな (絵本の時間)

おまえうまそうだな (絵本の時間)

 

 

あらすじ

 

大昔のある晴れた日に、山が噴火して地震が起こります。

 

その時、アンキロサウルスの赤ちゃんが生まれます。

 

しかし、赤ちゃんは広い土地にひとりぼっちです。

 

赤ちゃんが寂しくて、泣きながら歩いていると……。

 

アンキロサウルスの赤ちゃんとティラノサウルスのお父さんの心温まる1冊です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、子どもを思う気持ちです。

 

アンキロサウルスの赤ちゃんがひとりで歩いているところに、ティラノサウルスがやってきます。

 

ティラノサウルスは、アンキロサウルスの赤ちゃんを狙い、飛びかかろうとします。

 

ところが、その時アンキロサウルスはティラノサウルスにしがみつきます。

 

どうやら、アンキロサウルスはティラノサウルスのことをお父さんだと思ったようです。

 

そして、アンキロサウルスは自分の名前を、「ウマソウ」だと思い込みます。

 

そこに、キランタイサウルスが近づき、ウマソウに突然飛びかかろうとしますが、ティラノサウルスはウマソウを守ります。

 

それから、ふたりは一緒に過ごすようになります。

 

ティラノサウルスはウマソウに、体当たりやしっぽの使い方など、様々なことを教えます。

 

しかし、ふたりは本当の親子ではありません。

 

そのため、ふたりにもお別れの時がやってきます。

 

ある日、ティラノサウルスがウマソウにお別れを告げると、ウマソウは泣きながら嫌がります。

 

そこで、ティラノサウルスはウマソウに、競争に勝ったらずっと一緒にいると言います。

 

ウマソウは、全速力で走ります。

 

すると、ウマソウはある恐竜たちに出会います……。

 

その恐竜たちは、アンキロサウルスたち、つまりウマソウの両親のようです。

 

ティラノサウルスは、「さよなら ウマソウ……」とつぶやきながら、赤い実をひとつ食べ、その場を離れます。

 

ティラノサウルスは、最初はウマソウにお父さんと呼ばれ、戸惑いますが、次第に父性が芽生え、ウマソウを本当の子どものように感じ始めます。

 

ティラノサウルスにとって、ウマソウは本当の子どもではありませんが、それでも子どもを思う気持ちは変わりません。

 

ティラノサウルスも、本当はウマソウとずっと一緒にいたかったはずです。

 

そのくらいウマソウのことが好きだったはずですが、同時にティラノサウルスは大人なので、ウマソウとずっと一緒にいるべきでないことがわかっています。

 

そのため、最後の方でウマソウが実の両親に会う場面では、ティラノサウルスは静かに身を引いています。

 

本当の子どものように可愛がっていたウマソウの幸せを願っての、大人の行動だと思います。

 

ティラノサウルスの父性が、感動的に描かれた絵本です。

 

印象的なことば

 

さよなら ウマソウ……

 

ラストの、ティラノサウルスの言葉です。

 

ティラノサウルスの気持ちを考えると、なんとも切ないのですが、お父さんらしく優しくウマソウを送り出す言葉でもあります。

 

感想

 

父が子を思う気持ちが痛いほど伝わってくる、感動的な絵本です。

 

怪獣たちの表情がユーモラスで、面白く読めるのですが、最後は大人こそ涙してしまうほどに感動的なラストです。

 

ウマソウこと、アンキロサウルスの赤ちゃんが、とても可愛くて、同時に健気で、涙をそそります。

 

お子さんがいらっしゃる方も、そうでない方も、ティラノサウルスに十分感情移入できると思います。

 

子どもも十分楽しく読める絵本ですが、大人にこそ読んでほしい1冊です。

 

 

おまえうまそうだな (絵本の時間)

おまえうまそうだな (絵本の時間)

 

 

 

 

 

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はっぴぃさん

『はっぴぃさん』を読みました。

 

 

はっぴぃさん

はっぴぃさん

 

 

あらすじ

 

はっぴぃさんは、山の上の大きな石の上に時々やって来て、困ったことや願い事を聞いてくれます。

 

そんなはっぴぃさんに会いに、ぼくとわたしは山の上の大きな石を目指します。

 

そして、ぼくとわたしは大きな石にたどり着き、はっぴぃさんを待ちますが……。

 

読み進めるうちに心が満たされていく、そんな絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、発想の転換です。

 

ぼくとわたしのふたりは、それぞれはっぴぃさんに願い事を聞いてもらうために、山の上を目指します。

 

ふたりは、なんとか目的地まで辿り着きますが、はっぴぃさんは一向に現れません。

 

ぼくとわたしは一緒に座り、話します。

 

ふたりは、お互いの願い事を尋ね合います。

 

ぼくは、どうしたら「のろのろ」じゃなくなるのか聞きたかったようです。

 

一方で、わたしは、どうしたら慌てなくなるのか聞きたかったようです。

 

そこで、わたしがぼくにこう言います。

 

「きっと のろのろは なんでも ていねいだからだと おもうわ」

 

ぼくは、わたしにこう言います。

 

「あわてるのは なんでも いっしょうけんめいだからだと おもうよ」

 

ふたりは、一緒に笑い合います。

 

その後、結局はっぴぃさんは現れませんでしたが、太陽を見ているうちに、ふたりははっぴぃさんに会えたような、充実感を味わいます。

 

そして、ふたりは太陽に向かって、たくさん願い事をして、日が沈まないうちに帰っていきます。

 

ふたりは、はっぴぃさんには会えませんでしたが、帰る頃にはお互いに収穫を得て、心が満たされた状態になりました。

 

ふたりが、そのような気持ちになれたのはなぜでしょうか。

 

その理由は、発想の転換にあります。

 

ふたりは話をするうちに、大事なことに気がつきます。

 

ぼくが悩んでいたのろのろは、実はなんでも丁寧に取り組んでいるということだったのです。

 

また、わたしが悩んでいた慌てるクセは、実はなんでも一生懸命だからだということだったのです。

 

このことに気がつけたのは、お互いの発想の転換があったからです。

 

発想の転換次第では、短所は十分長所になり得るのです。

 

このことに気がついたふたりは、はっぴぃさんには会えずじまいでも、心が満たされ、すっかり悩みが消えたことでしょう。

 

発想の転換を行えば、自分の心を満たし、幸せになることが可能です。

 

それには、日頃から物事をいつもとは異なる視点で見ることが大切です。

 

また、自分だけでは気づかないことでも、家族や友人などと話すだけで、何か違う視点が得られることもあります。

 

何かに行き詰まったら、ふたりのように発想の転換を活用したいものですね。

 

印象的なことば

 

きっと のろのろは なんでも ていねいだからだと おもうわ

 

わたしがぼくに言った言葉です。

 

それに対して、ぼくがわたしに言った言葉も素敵です。

 

こんな言葉が言える人になりたいものです。

 

感想

 

荒井良二さんの絵本です。

 

荒井さんの絵本は、イラストと文章がどちらもあたたかくて、優しい気持ちになれます。

 

この絵本も、読んだ後にじんわりと心があたたまります。

 

子供も十分読める内容だと思いますが、むしろある程度の年齢や大人になってからの方が、心に刺さる内容なのではないかと思います。

 

特に、何かに悩んでいる方に、おすすめしたい1冊です。

 

折に触れて読み返したい絵本です。

 

 

はっぴぃさん

はっぴぃさん

 

 

 

 

 

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ロンパーちゃんとふうせん

『ロンパーちゃんとふうせん』を読みました。

 

ロンパーちゃんとふうせん

ロンパーちゃんとふうせん

 

 

あらすじ

 

ロンパーちゃんは、お母さんと街へ出かけ、そこで黄色い風船をもらいます。

 

指に風船をくくってもらったロンパーちゃんは、無事にお家に帰ります。

 

お家に帰ると、ロンパーちゃんは風船で遊びだしますが、風船が天井まで飛んでいってしまいます。

 

そこで、お母さんが工夫をして、風船にスプーンをくくってやります。

 

これで、ロンパーちゃんと風船は、一緒に遊べるようになりました。

 

ところが、ロンパーちゃんが外で風船と一緒に遊んでいると……。

 

風船をめぐるロンパーちゃんの日常が描かれた絵本です。

 

見どころ

 

この絵本の見どころは、物への愛着です。

 

ロンパーちゃんは、街でもらった風船を気に入り、お家で一緒に遊びます。

 

しかし、すぐに風船が天井へ飛んでいってしまうので、お母さんが風船にある工夫をして、上へ飛んで行かないようにしてくれます。

 

さっそくロンパーちゃんは、風船を外へ連れて行き、一緒に遊び始めます。

 

ところが、強い風が吹いて、風船が木の枝に引っかかってしまいます。

 

その後、暗くなるまでお母さんが風船を取ろうとしますが、風船は枝に絡まったまま取れません。

 

お家に戻った後も、ロンパーちゃんは諦めきれず、ついには泣いてしまいます……。

 

ロンパーちゃんは、風船と一緒に夜もお家で過ごすつもりでした。

 

ロンパーちゃんの気持ちを思うと、こちらまで切なくなります。

 

この絵本では、ロンパーちゃんの風船に対する愛着が描かれています。

 

対象となる物は異なっても、子どもの頃何かに愛着を持った経験は、誰にでもあると思います。

 

子どもは一旦何かに夢中になると、ずっとそれを手放しませんよね。

 

その熱中ぶりは、子どもならではのものです。

 

大人になると、良くも悪くもそこまで物に熱中することもなくなってしまいます。

 

そう考えると、子どもの頃に何かに夢中になった記憶は、かけがえのないものだと思います。

 

大人になって、昔好きだったおもちゃなどが物置から出てくると、思わず笑みがこぼれ、なんだか懐かしくて、嬉しい気持ちになります。

 

この絵本を読んでいると、そんな自分自身の楽しい記憶が浮かんできます。

 

子どもの頃の物を大切にする気持ちを思い出させてくれる、そんな一冊です。

 

印象的なことば

 

(おつきさん みたいよ…)

 

最後のページにある、ロンパーちゃんの言葉です。

 

黄色い風船と夜空の風景が、なんともロマンチックです。

 

感想

 

子どもならではの物に対する愛着が、可愛らしく描かれた絵本です。

 

子どもの頃の記憶を辿ると、誰もが経験したことのある出来事で、共感出来るストーリーとなっています。

 

洋風なイラストなので、海外絵本かと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、作者は酒井駒子さんで、国内の絵本です。

 

本書は、英語や韓国語にも翻訳されているようです。

 

控えめな色合いのイラストに、風船の黄色が良く映えます。

 

ラストは、子どもならではの素敵な感性で、印象的なページになっています。

 

読み終わった後、優しい気持ちになれる一冊です。

 

 

ロンパーちゃんとふうせん

ロンパーちゃんとふうせん

 

 

 

 

 

 

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おひさまパン

『おひさまパン』を読みました。

 

おひさまパン

おひさまパン

 

 

あらすじ

 

動物たちの住む街は、雪混じりの風が吹き荒れて、動物たちはみんなうんざりしています。

 

動物たちは、再びおひさまが出てくるのを、心待ちにしています。

 

そんな中、パン屋さんはおひさまのパンを作り始めます。

 

おひさまのパンが出来上がると、動物たちはパン屋に集まり、みんなでおひさまパンを食べます。

 

すると、動物たちは空に登り始めて……。

 

気持ちがあたたかくなる絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、パンやおひさまのおかげで、イキイキと輝く動物たち

の姿です。

 

天気が悪い時の動物たちは、家に閉じこもりがちで、うんざりしています。

 

確かにずっと悪天候が続くと、気持ちも塞ぎがちになってしまいます。

 

しかし、パン屋さんがおひさまをパンで作ることにより、状況は変わります。

 

パン屋さんには動物たちが集まり、パン屋さんはみんなにパンを分け与えます。

 

すると、動物たちは空に登り始め、本物のおひさまが目を覚まします。

 

動物たちは、おひさまに向けて、パンをちぎって投げます。

 

すると、おひさまはそのパンを平らげ、光を放ちます。

 

動物たちは、おひさまの光の中で、イキイキと過ごします。

 

パン屋さんは、眠りに就こうとするおひさまに、願いごとを伝えます。

 

そして、パン屋さんが一晩中パンを焼き、おひさまは再び顔を出します。

 

その後も、天気が悪い日には、あのパン屋さんと仲間たちが、パンを作ります。

 

食事や自然の恵みを大切にする動物たちが、イキイキと描かれています。

 

カラフルな動物たちのイラストは、見ているだけで元気になります。

 

梅雨や冬の寒い時期に読むと、元気になれる1冊です。

 

印象的なことば

 

ほんとうのおひさまは かくれたままだから わたしが うちで、ちいさなおひさまを つくるってわけ

 

パン屋さんの言葉です。

 

おひさまを恋しく思う気持ちが伝わります。

 

感想

 

おひさまパンにまつわる、動物たちのお話です。

 

訳者は、江國香織さんです。

 

江國さんは、作家だけではなく、絵本の翻訳も数多く手掛けています。

 

また、絵本の文章も書かれています。

 

その絵本が、こちらです。

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

 

江國さんの文章は、小説でも絵本でも魅力的です。

 

また、絵本に出てくる動物たちがとても愛らしくて、見ているだけで楽しい気持ちになります。

 

パンもすごく美味しそうです。

 

この絵本の裏表紙には、おひさまパンの作り方も載っています。

 

子どもと一緒に作るのも楽しそうですね。

 

思わずパンが食べたくなる1冊です。

 

 

おひさまパン

おひさまパン

 

 

 

 

 

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ゴールディーのお人形

『ゴールディーのお人形』を読みました。

 

ゴールディーのお人形

ゴールディーのお人形

 

 

あらすじ

 

両親が亡くなってから、ひとりで人形を作る仕事を続ける女の子ゴールディー。

 

いつもゴールディーは森で拾った枝を使い、丁寧に人形を作ります。

 

そんなある日、ゴールディーはお気に入りのアンティークショップで、今までに見たこともないほど美しい中国製のランプを見つけます。

 

ランプはとても高価ですが、ゴールディーはランプに魅了され、思い切って人形と引き換えにランプを購入しようとしますが……。

 

ゴールディーがランプとの出会いを通じて、職人としての誇りを強めていく姿が描かれています。

 

見どころ

 

今回の見どころは、仕事への誇りです。

 

ゴールディーは、亡くなった両親から受け継いだ人形作りの仕事をしている女の子です。

 

ゴールディーの頑張りのおかげで、人形はいつも間に合わないくらいの注文があります。

 

ゴールディーは、人形を作るときには、あるこだわりがあります。

 

それは、四角く切られた木っ端ではなく、森で拾った枝を使って人形を作ることです。

 

ゴールディーは、それじゃないと「生きている」感じがしないと言います。

 

ただの人形と、友達で大工のオームスに笑われても、丁寧に仕事をします。

 

そんなある日、ゴールディーはお気に入りのアンティークショップで、美しい中国製のランプに出会います。

 

店主のミスター・ソロモンの計らいで、ゴールディーは自分が作る人形と引き換えに、ランプを特別な値段で購入します。

 

その足でオームスの店へ寄りますが、そこでのオームスからのひとことのせいか、ゴールディーは帰り道で憂鬱な気分になってしまいます。

 

ゴールディーは、家に帰っても憂鬱な気分は抜けず、疲れて泣き始め、ドアのそばで眠ってしまいます……。

 

しかし、ゴールディーは夢の中で、あのランプの作者に出会います。

 

そこで、ランプの作者とのやりとりを通じて、ゴールディーは自信を取り戻します。

 

ゴールディーはランプを取り出して、ランプの明かりをつけて、うっとりと眺めます。

 

ゴールディーは大切なことに気が付き、満たされた気持ちになります。

 

この絵本では、情熱を傾けられる仕事がある、日常生活の素晴らしさが描かれています。

 

ゴールディーは、若いながらも、仕事に対するこだわりをしっかりと持っています。

 

彼女は両親と死別し、ひとりで暮らしていますが、そこに孤独はあまり感じられません。

 

それは、充実した仕事があるおかげだと言えます。

 

そのため、彼女の生活は、仕事を中心にまわっています。

 

そんな中、ランプとの出会いによって、ゴールディーの仕事への情熱は、さらに深まることになります。

 

彼女はランプのおかげで、大切なことに気が付き、彼女の仕事に対する誇りは、さらに深まります。

 

そして、彼女はまだ会ったことのない友達のために、お人形を作ります。

 

誇りを持って仕事をすることの大切さが伝わってくる絵本です。

 

印象的なことば

 

私の家。ここには私が仕事に使う小さなナイフと、ランプとお茶があって、ベッドと作業台と材料の木があって、私はここで、会ったことのない友だちのために、小さな木の人形を作るの。

 

ゴールディーの自信に満ちた言葉です。

 

シンプルな暮らしながらも、そこには生活や人生に対する充実感があります。

 

人生や仕事に対する誇りが感じられます。

 

感想

 

ゴフスタインが描く、仕事の美学が詰まった絵本です。

 

 

絵本を通じて、働くことの素晴らしさや尊さが散りばめられています。

 

そのことは、本書の巻末に載っているゴフスタインのインタビュー記事の抜粋からも、読み取ることができます。

 

ゴフスタインは、「弟と私はミネソタ州セントポールで過ごした子ども時代に、人生において価値のあることは、そして本当に幸せなことは、仕事をすることであり、もし何かひたむきに自分を捧げるものがなければ、その人生はつまらないものだと感じていました」と述べています。

 

このことからも、ゴフスタインの人生における仕事の重要性がわかります。

 

情熱を傾けられる仕事があることの素晴らしさを幼い頃から知っていたゴフスタインだからこそ、描くことのできた作品だと言えます。

 

何か仕事や人生で迷ったときに、繰り返し読みたい作品となっています。

 

この絵本は、もともと2003年にすえもりブックスから出版され、2013年に現代企画室からも出版されています。

 

 

ゴールディーのお人形 (末盛千枝子ブックス)

ゴールディーのお人形 (末盛千枝子ブックス)

 

 

 

まさに、時代を超えて読み継がれる名作と言えるでしょう。

 

 

ゴールディーのお人形

ゴールディーのお人形

 

 

 

 

 

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ザスーラ

ザスーラ』を読みました。

 

ザスーラ

ザスーラ

 

 

あらすじ

 

兄のウォルターは、弟のダニーをうっとうしく感じています。

 

そんなふたりは、公園で『ジュマンジ・ジャングル探検ゲーム』を見つけ、ダニーがそのゲームを家に持ち帰ります。

 

家に戻り、ダニーはゲームの中身を見てみますが、つまらなそうだと思い、片付けようとしたところ、もうひとつの『ザスーラ』という面白そうなゲームを見つけます。

 

ダニーがサイコロを振り、ゲームを始めると……。

 

兄弟が経験する、奇妙な冒険が描かれた絵本です。

 

見どころ

 

今回のポイントは、兄弟で仲良くすることの大切さです。

 

絵本に登場する兄弟のウォルターとダニーは、冒頭の部分ではあまり仲が良くなさそうです。

 

それどころか、ウォルターはダニーをうっとうしく思っていて、喧嘩ばかりしています。

 

そんなふたりですが、ある日公園でゲームを見つけます。

 

そのゲームは、『ザスーラ』と言って、なんとも魅力的に見えます。

 

家に帰り、弟のダニーがゲームで遊び始めます。

 

すると、大変なことが起きます。

 

なんと、ゲームのできごとが、現実に起こり出したのです。

 

ふたりは、次々と起こる奇怪なできごとに戸惑いながらも、なんとかゲームを続けます。

 

そして、ついに兄のウォルターが消えてしまい、物語はゲームを見つける前の公園に戻ります。

 

そして、ダニーがまたあのゲームを見つけますが、ウォルターはゲームをゴミ箱に捨ててしまいます。

 

そして、ウォルターはダニーをキャッチボールに誘い、物語は幕を閉じます。

 

最初の方は、仲の悪かったふたりですが、最後の方は仲の良い兄弟になっています。

 

危険な目に遭い、様々なできごとを一緒に乗り越えたからこそ、ふたりはお互いの大切さを理解し、仲の良い兄弟に戻ります。

 

もしかしたら、最初から仲良くしていれば、あのゲームとも出会わなかったのかもしれないですね。

 

そういう意味では、ふたりの仲を繋げてくれたのが、あのゲームとも言えるでしょう。

 

奇妙な冒険を通して、兄弟の絆が描かれた1冊です。

 

印象的な言葉

 

いっしょで、だいじょうぶ。できるよ

 

弟のダニーの言葉です。

 

ゲームが終わりそうもなくて、「こんなの、ぜったいむりだ」と音を上げたウォルターに対して、ダニーはこの言葉を言います。

 

ゲームを通して、いつの間にか以前よりもたくましくなったダニーの様子が伺えます。

 

感想

 

映画『ザスーラ』の原作になった絵本です。

 

1995年に映画化された原作絵本の『ジュマンジ』の続編にあたります。

 

子どもの頃に映画『ジュマンジ』を見てから、私はこの映画が大好きで、何回も見ています。

 

以前は、金曜ロードショーなどでよく放送されていました。

 

作者のオールズバーグの絵本が映画化されるのは、3作目だそうです。

 

その3作品には、前回こちらで紹介した「急行『北極号』」も含まれます。

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

 

オールズバーグの絵本は、それほど映画製作者のイマジネーションを掻き立てるのでしょう。

 

確かに、オールズバーグの絵本を読んでいると、映像が頭に浮かんできます。

 

今回の作品も、そんな映像が頭に浮かんでくる絵本となっており、子どもから大人まで楽しめる作品となっています。

 

絵本は、全編モノクロなのですが、様々な色が頭に浮かんできます。

 

モノクロでここまで読者の想像を掻き立てる、オールズバーグの表現力はさすがです。

 

兄弟や家族で、楽しく読みたい1冊です。

 

 

ザスーラ

ザスーラ

 

 

 

 

 

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