『ロンパーちゃんとふうせん』を読みました。
あらすじ
ロンパーちゃんは、お母さんと街へ出かけ、そこで黄色い風船をもらいます。
指に風船をくくってもらったロンパーちゃんは、無事にお家に帰ります。
お家に帰ると、ロンパーちゃんは風船で遊びだしますが、風船が天井まで飛んでいってしまいます。
そこで、お母さんが工夫をして、風船にスプーンをくくってやります。
これで、ロンパーちゃんと風船は、一緒に遊べるようになりました。
ところが、ロンパーちゃんが外で風船と一緒に遊んでいると……。
風船をめぐるロンパーちゃんの日常が描かれた絵本です。
見どころ
この絵本の見どころは、物への愛着です。
ロンパーちゃんは、街でもらった風船を気に入り、お家で一緒に遊びます。
しかし、すぐに風船が天井へ飛んでいってしまうので、お母さんが風船にある工夫をして、上へ飛んで行かないようにしてくれます。
さっそくロンパーちゃんは、風船を外へ連れて行き、一緒に遊び始めます。
ところが、強い風が吹いて、風船が木の枝に引っかかってしまいます。
その後、暗くなるまでお母さんが風船を取ろうとしますが、風船は枝に絡まったまま取れません。
お家に戻った後も、ロンパーちゃんは諦めきれず、ついには泣いてしまいます……。
ロンパーちゃんは、風船と一緒に夜もお家で過ごすつもりでした。
ロンパーちゃんの気持ちを思うと、こちらまで切なくなります。
この絵本では、ロンパーちゃんの風船に対する愛着が描かれています。
対象となる物は異なっても、子どもの頃何かに愛着を持った経験は、誰にでもあると思います。
子どもは一旦何かに夢中になると、ずっとそれを手放しませんよね。
その熱中ぶりは、子どもならではのものです。
大人になると、良くも悪くもそこまで物に熱中することもなくなってしまいます。
そう考えると、子どもの頃に何かに夢中になった記憶は、かけがえのないものだと思います。
大人になって、昔好きだったおもちゃなどが物置から出てくると、思わず笑みがこぼれ、なんだか懐かしくて、嬉しい気持ちになります。
この絵本を読んでいると、そんな自分自身の楽しい記憶が浮かんできます。
子どもの頃の物を大切にする気持ちを思い出させてくれる、そんな一冊です。
印象的なことば
(おつきさん みたいよ…)
最後のページにある、ロンパーちゃんの言葉です。
黄色い風船と夜空の風景が、なんともロマンチックです。
感想
子どもならではの物に対する愛着が、可愛らしく描かれた絵本です。
子どもの頃の記憶を辿ると、誰もが経験したことのある出来事で、共感出来るストーリーとなっています。
洋風なイラストなので、海外絵本かと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、作者は酒井駒子さんで、国内の絵本です。
本書は、英語や韓国語にも翻訳されているようです。
控えめな色合いのイラストに、風船の黄色が良く映えます。
ラストは、子どもならではの素敵な感性で、印象的なページになっています。
読み終わった後、優しい気持ちになれる一冊です。