死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

おひさまパン

『おひさまパン』を読みました。

 

おひさまパン

おひさまパン

 

 

あらすじ

 

動物たちの住む街は、雪混じりの風が吹き荒れて、動物たちはみんなうんざりしています。

 

動物たちは、再びおひさまが出てくるのを、心待ちにしています。

 

そんな中、パン屋さんはおひさまのパンを作り始めます。

 

おひさまのパンが出来上がると、動物たちはパン屋に集まり、みんなでおひさまパンを食べます。

 

すると、動物たちは空に登り始めて……。

 

気持ちがあたたかくなる絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、パンやおひさまのおかげで、イキイキと輝く動物たち

の姿です。

 

天気が悪い時の動物たちは、家に閉じこもりがちで、うんざりしています。

 

確かにずっと悪天候が続くと、気持ちも塞ぎがちになってしまいます。

 

しかし、パン屋さんがおひさまをパンで作ることにより、状況は変わります。

 

パン屋さんには動物たちが集まり、パン屋さんはみんなにパンを分け与えます。

 

すると、動物たちは空に登り始め、本物のおひさまが目を覚まします。

 

動物たちは、おひさまに向けて、パンをちぎって投げます。

 

すると、おひさまはそのパンを平らげ、光を放ちます。

 

動物たちは、おひさまの光の中で、イキイキと過ごします。

 

パン屋さんは、眠りに就こうとするおひさまに、願いごとを伝えます。

 

そして、パン屋さんが一晩中パンを焼き、おひさまは再び顔を出します。

 

その後も、天気が悪い日には、あのパン屋さんと仲間たちが、パンを作ります。

 

食事や自然の恵みを大切にする動物たちが、イキイキと描かれています。

 

カラフルな動物たちのイラストは、見ているだけで元気になります。

 

梅雨や冬の寒い時期に読むと、元気になれる1冊です。

 

印象的なことば

 

ほんとうのおひさまは かくれたままだから わたしが うちで、ちいさなおひさまを つくるってわけ

 

パン屋さんの言葉です。

 

おひさまを恋しく思う気持ちが伝わります。

 

感想

 

おひさまパンにまつわる、動物たちのお話です。

 

訳者は、江國香織さんです。

 

江國さんは、作家だけではなく、絵本の翻訳も数多く手掛けています。

 

また、絵本の文章も書かれています。

 

その絵本が、こちらです。

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

 

江國さんの文章は、小説でも絵本でも魅力的です。

 

また、絵本に出てくる動物たちがとても愛らしくて、見ているだけで楽しい気持ちになります。

 

パンもすごく美味しそうです。

 

この絵本の裏表紙には、おひさまパンの作り方も載っています。

 

子どもと一緒に作るのも楽しそうですね。

 

思わずパンが食べたくなる1冊です。

 

 

おひさまパン

おひさまパン

 

 

 

 

 

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ゴールディーのお人形

『ゴールディーのお人形』を読みました。

 

ゴールディーのお人形

ゴールディーのお人形

 

 

あらすじ

 

両親が亡くなってから、ひとりで人形を作る仕事を続ける女の子ゴールディー。

 

いつもゴールディーは森で拾った枝を使い、丁寧に人形を作ります。

 

そんなある日、ゴールディーはお気に入りのアンティークショップで、今までに見たこともないほど美しい中国製のランプを見つけます。

 

ランプはとても高価ですが、ゴールディーはランプに魅了され、思い切って人形と引き換えにランプを購入しようとしますが……。

 

ゴールディーがランプとの出会いを通じて、職人としての誇りを強めていく姿が描かれています。

 

見どころ

 

今回の見どころは、仕事への誇りです。

 

ゴールディーは、亡くなった両親から受け継いだ人形作りの仕事をしている女の子です。

 

ゴールディーの頑張りのおかげで、人形はいつも間に合わないくらいの注文があります。

 

ゴールディーは、人形を作るときには、あるこだわりがあります。

 

それは、四角く切られた木っ端ではなく、森で拾った枝を使って人形を作ることです。

 

ゴールディーは、それじゃないと「生きている」感じがしないと言います。

 

ただの人形と、友達で大工のオームスに笑われても、丁寧に仕事をします。

 

そんなある日、ゴールディーはお気に入りのアンティークショップで、美しい中国製のランプに出会います。

 

店主のミスター・ソロモンの計らいで、ゴールディーは自分が作る人形と引き換えに、ランプを特別な値段で購入します。

 

その足でオームスの店へ寄りますが、そこでのオームスからのひとことのせいか、ゴールディーは帰り道で憂鬱な気分になってしまいます。

 

ゴールディーは、家に帰っても憂鬱な気分は抜けず、疲れて泣き始め、ドアのそばで眠ってしまいます……。

 

しかし、ゴールディーは夢の中で、あのランプの作者に出会います。

 

そこで、ランプの作者とのやりとりを通じて、ゴールディーは自信を取り戻します。

 

ゴールディーはランプを取り出して、ランプの明かりをつけて、うっとりと眺めます。

 

ゴールディーは大切なことに気が付き、満たされた気持ちになります。

 

この絵本では、情熱を傾けられる仕事がある、日常生活の素晴らしさが描かれています。

 

ゴールディーは、若いながらも、仕事に対するこだわりをしっかりと持っています。

 

彼女は両親と死別し、ひとりで暮らしていますが、そこに孤独はあまり感じられません。

 

それは、充実した仕事があるおかげだと言えます。

 

そのため、彼女の生活は、仕事を中心にまわっています。

 

そんな中、ランプとの出会いによって、ゴールディーの仕事への情熱は、さらに深まることになります。

 

彼女はランプのおかげで、大切なことに気が付き、彼女の仕事に対する誇りは、さらに深まります。

 

そして、彼女はまだ会ったことのない友達のために、お人形を作ります。

 

誇りを持って仕事をすることの大切さが伝わってくる絵本です。

 

印象的なことば

 

私の家。ここには私が仕事に使う小さなナイフと、ランプとお茶があって、ベッドと作業台と材料の木があって、私はここで、会ったことのない友だちのために、小さな木の人形を作るの。

 

ゴールディーの自信に満ちた言葉です。

 

シンプルな暮らしながらも、そこには生活や人生に対する充実感があります。

 

人生や仕事に対する誇りが感じられます。

 

感想

 

ゴフスタインが描く、仕事の美学が詰まった絵本です。

 

 

絵本を通じて、働くことの素晴らしさや尊さが散りばめられています。

 

そのことは、本書の巻末に載っているゴフスタインのインタビュー記事の抜粋からも、読み取ることができます。

 

ゴフスタインは、「弟と私はミネソタ州セントポールで過ごした子ども時代に、人生において価値のあることは、そして本当に幸せなことは、仕事をすることであり、もし何かひたむきに自分を捧げるものがなければ、その人生はつまらないものだと感じていました」と述べています。

 

このことからも、ゴフスタインの人生における仕事の重要性がわかります。

 

情熱を傾けられる仕事があることの素晴らしさを幼い頃から知っていたゴフスタインだからこそ、描くことのできた作品だと言えます。

 

何か仕事や人生で迷ったときに、繰り返し読みたい作品となっています。

 

この絵本は、もともと2003年にすえもりブックスから出版され、2013年に現代企画室からも出版されています。

 

 

ゴールディーのお人形 (末盛千枝子ブックス)

ゴールディーのお人形 (末盛千枝子ブックス)

 

 

 

まさに、時代を超えて読み継がれる名作と言えるでしょう。

 

 

ゴールディーのお人形

ゴールディーのお人形

 

 

 

 

 

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ザスーラ

ザスーラ』を読みました。

 

ザスーラ

ザスーラ

 

 

あらすじ

 

兄のウォルターは、弟のダニーをうっとうしく感じています。

 

そんなふたりは、公園で『ジュマンジ・ジャングル探検ゲーム』を見つけ、ダニーがそのゲームを家に持ち帰ります。

 

家に戻り、ダニーはゲームの中身を見てみますが、つまらなそうだと思い、片付けようとしたところ、もうひとつの『ザスーラ』という面白そうなゲームを見つけます。

 

ダニーがサイコロを振り、ゲームを始めると……。

 

兄弟が経験する、奇妙な冒険が描かれた絵本です。

 

見どころ

 

今回のポイントは、兄弟で仲良くすることの大切さです。

 

絵本に登場する兄弟のウォルターとダニーは、冒頭の部分ではあまり仲が良くなさそうです。

 

それどころか、ウォルターはダニーをうっとうしく思っていて、喧嘩ばかりしています。

 

そんなふたりですが、ある日公園でゲームを見つけます。

 

そのゲームは、『ザスーラ』と言って、なんとも魅力的に見えます。

 

家に帰り、弟のダニーがゲームで遊び始めます。

 

すると、大変なことが起きます。

 

なんと、ゲームのできごとが、現実に起こり出したのです。

 

ふたりは、次々と起こる奇怪なできごとに戸惑いながらも、なんとかゲームを続けます。

 

そして、ついに兄のウォルターが消えてしまい、物語はゲームを見つける前の公園に戻ります。

 

そして、ダニーがまたあのゲームを見つけますが、ウォルターはゲームをゴミ箱に捨ててしまいます。

 

そして、ウォルターはダニーをキャッチボールに誘い、物語は幕を閉じます。

 

最初の方は、仲の悪かったふたりですが、最後の方は仲の良い兄弟になっています。

 

危険な目に遭い、様々なできごとを一緒に乗り越えたからこそ、ふたりはお互いの大切さを理解し、仲の良い兄弟に戻ります。

 

もしかしたら、最初から仲良くしていれば、あのゲームとも出会わなかったのかもしれないですね。

 

そういう意味では、ふたりの仲を繋げてくれたのが、あのゲームとも言えるでしょう。

 

奇妙な冒険を通して、兄弟の絆が描かれた1冊です。

 

印象的な言葉

 

いっしょで、だいじょうぶ。できるよ

 

弟のダニーの言葉です。

 

ゲームが終わりそうもなくて、「こんなの、ぜったいむりだ」と音を上げたウォルターに対して、ダニーはこの言葉を言います。

 

ゲームを通して、いつの間にか以前よりもたくましくなったダニーの様子が伺えます。

 

感想

 

映画『ザスーラ』の原作になった絵本です。

 

1995年に映画化された原作絵本の『ジュマンジ』の続編にあたります。

 

子どもの頃に映画『ジュマンジ』を見てから、私はこの映画が大好きで、何回も見ています。

 

以前は、金曜ロードショーなどでよく放送されていました。

 

作者のオールズバーグの絵本が映画化されるのは、3作目だそうです。

 

その3作品には、前回こちらで紹介した「急行『北極号』」も含まれます。

 

 

ehon0016.hatenablog.com

 

 

オールズバーグの絵本は、それほど映画製作者のイマジネーションを掻き立てるのでしょう。

 

確かに、オールズバーグの絵本を読んでいると、映像が頭に浮かんできます。

 

今回の作品も、そんな映像が頭に浮かんでくる絵本となっており、子どもから大人まで楽しめる作品となっています。

 

絵本は、全編モノクロなのですが、様々な色が頭に浮かんできます。

 

モノクロでここまで読者の想像を掻き立てる、オールズバーグの表現力はさすがです。

 

兄弟や家族で、楽しく読みたい1冊です。

 

 

ザスーラ

ザスーラ

 

 

 

 

 

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急行「北極号」

『急行「北極号」』を読みました。

 

急行「北極号」

急行「北極号」

 

 

あらすじ

 

クリスマスイブの夜中、ぼくが静かにベッドに横になっていると、家の前に汽車が止まります。

 

その汽車は、急行「北極号」でした。

 

ぼくが北極号に乗り込むと、列車の中は子どもたちでいっぱいです。

 

走り続ける北極号が向かった先は……。

 

クリスマスに起きた不思議な出来事が描かれた素敵な絵本です。

 

見どころ

 

今回のポイントは、信じる心です。

 

主人公のぼくは、クリスマスイブの夜に北極号に乗り、北極点を目指します。

 

北極点はとても大きな街で、街の工場ではクリスマスのプレゼントが作られています。

 

そこでは、小人たちが街の真ん中に集まり、サンタがクリスマスプレゼントの第一号を手渡すことになっています。

 

プレゼント第一号をもらうのは、子どもたちの中から選ばれたひとりです。

 

そこにサンタが現れて、大勢の子どもたちの中から、ぼくを選びます。

 

サンタは、ぼくにプレゼントに何が欲しいのかを尋ねます。

 

ぼくは、サンタに「サンタのそりについた銀の鈴」が欲しいと言います。

 

サンタはぼくに鈴を渡し、ぼくはそれをローブのポケットに入れます。

 

しかし、北極号に戻ったぼくが、ポケットに手を入れると、そこにはぽっかりと穴が空いていて、銀の鈴はなくなっています……。

 

外に出て探す暇もなく、北極号は再び動き始め、帰りの旅が始まります。

 

鈴をなくしたぼくは、とてもがっかりしてしまいます。

 

汽車が家の前に到着し、ぼくは北極号や子どもたちとお別れをします。

 

そして、クリスマスの朝になり、ぼくは妹のサラとプレゼントの包みを開けます。

 

その時、サラがぼくの名前が書かれた小さな箱を見つけ、箱を開けてみると……

 

なんと、あの銀の鈴が入っています!

 

ぼくが鈴を振ってみると、素敵な音がします。

 

でも、その音は大人には聞こえませんでした……。

 

この絵本の最後には、ぼくが大人になった後のことも書かれています。

 

大人になり、友達や妹のサラにもかつて聞こえた鈴の音は、もう彼らの耳には届きません。

 

しかし、ぼくの耳には、まだ鈴の音が聞こえます。

 

ぼくは「心から信じていれば、その音はちゃんと聞こえるんだよ」と言い、物語は締めくくられます。

 

主人公のぼくのように、大人になっても、大切なものを信じる心はなくしたくないものですね。

 

この絵本に描かれているできごとは、まるで夢を見ているかのような不思議なできごとです。

 

このようなストーリーに感情移入できるかどうかは、ふたつのタイプに分かれそうです。

 

つまり、感情移入できるか、できないかのふたつです。

 

前者は、子どもならではの感受性や想像力を持ち続けている人だと言えるでしょう。

 

信じる心を持っている人と、言い換えることもできます。

 

この絵本を折に触れて読み返し、信じる心を忘れないようにしたいものです。

 

印象的なことば

 

心から信じていれば、その音はちゃんと聞こえるんだよ。

 

ぼくが、物語の最後を締めくくる言葉です。

 

大人になっても、心から信じることを大切にしたいですね。

 

感想

 

クリスマスの夜にぼくが体験する、幻想的なできごとを通して、信じることの大切さが描かれた1冊です。

 

C・V・オールズバーグのクリスマス絵本で、1986年度のコルデコット賞受賞作品となっています。

 

幻想的で美しい絵と村上春樹の訳が光っています。

 

この絵本は、2004年に『ポーラー・エクスプレス』という映画にもなっています。

 

映画の方は見ていないのですが、当時話題になっていたのを覚えています。

 

大切なことを思い出させてくれるような絵本で、クリスマスの時期ではなくても、折に触れて読み返したい絵本となっています。

 

絵本朗読の動画もありました。

 


クリスマス絵本朗読『The Polar Express -急行 北極号-』

 

クリスマスに、子どもと一緒に読みたい絵本です。

 

 

急行「北極号」

急行「北極号」

 

 

 

 

 

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岸辺のふたり

岸辺のふたり』を読みました。

 

岸辺のふたり―Father and Daughter

岸辺のふたり―Father and Daughter

 

 

あらすじ

 

父と娘が自転車に乗って、干潟を走っていきます。

 

ふたりは土手の上に自転車をとめ、父は娘にお別れをします。

 

そして、父はそっと水平線に向かって船を漕ぎ出します。

 

娘は日が沈むまでずっと父の帰りを待ちますが、父は帰ってきません。

 

やがて娘は成長し、母親の役目も終えます。

 

ある日、父と別れたあの土手に向かい、空き地に横たわると……。

 

父と娘の別れと再会が描かれた絵本です。

 

見どころ

 

この絵本の見どころは、喪失と再生です。

 

水平線に向かって船を漕ぐ父は、それっきり帰ってくることがありませんでした。

 

しかし、離れても、娘の父を想う気持ちは消えません。

 

その想いは消えるどころか、募るばかりです。

 

その気持ちが通じたのか、最後に父と娘は再会を果たします。

 

大切な人がいなくなれば、誰もが悲しむことでしょう。

 

その気持ちは薄れることなく、私たちの心に残り続けます。

 

何をやっていても、誰といても、常にその気持ちはつきまといます。

 

この絵本では、そんな気持ちが、丁寧に描かれています。

 

そして、その想いが伝わったのか、やがて再会が訪れると、何にも代えがたい喜びが込み上げます。

 

一旦別れてしまうと、二度と会うことが出来ないと思いがちですが、生きていれば、思わぬ再会があることだってあるのです。

 

だからこそ、人は生き続けるべきであるし、人生は生きる価値があるのだと思います。

 

別れがあれば、再会もある。

 

この絵本では、そんな希望のある終わり方になっています。

 

印象的なことば

 

人生は あらゆる歓びを もたらしてくれる ただ いくつも年をかさねた 少女のもとに 父だけは 帰ってこなかった

 

感想

 

ある親子の別れと再会が描かれた1冊です。

 

まるで、映画を見ているかのような感覚で読むことができます。

 

最後は希望がある終わり方なのですが、全体的にはどこか寂しさが漂う絵本です。

 

それでも、父のことを想いながら、生き続ける娘の姿には、強さを感じます。

 

この絵本では、そんな生きる力が静かに描き出されています。

 

別れなど悲しいことがあっても、生き抜くことが大事なのだと、この絵本を読んで感じました。

 

生きる上での悲しみと喜びが描かれた、大人の絵本です。

 

 

岸辺のふたり―Father and Daughter

岸辺のふたり―Father and Daughter

 

 

 

 

 

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赤い蠟燭と人魚

『赤い蠟燭と人魚』を読みました。

 

赤い蝋燭と人魚

赤い蝋燭と人魚

 

 

あらすじ

 

北の海に、孤独な人魚がいました。

 

人魚は、生まれてくる子どもに同じ思いをさせたくないと思い、人間の住む町に子どもを産もうと決意します。

 

そして、人魚の娘は、町の蠟燭屋の老夫婦に引き取られることになります。

 

その後、人魚の娘は成長し、蠟燭に絵を描いて暮らします。

 

その蠟燭は、飛ぶように売れ、店は大繁盛します。

 

そこに、南の方の国から、噂を聞きつけた香具師がやってきて……。

 

美しい人魚が主人公の、悲しい物語が描かれた絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、人間の欲深さが招く惨事です。

 

この絵本のラストでは、人間たちの欲深さが災いを招き、町は亡びてしまいます。

 

私たちは、この絵本から学ぶべきことがあります。

 

それは、欲深さを改めることです。

 

人は、どうしても自分の利益を優先して行動してしまいます。

 

この絵本に出てくる年寄り夫婦も、自分たちのことを優先して、人魚の娘を香具師に売ってしまいます。

 

年寄り夫婦は、お金に心を奪われてしまったのです。

 

神様のお授けものとして、人魚の娘をそのまま大事に育てていたら良かったものの、目先の利益に囚われて、娘を売ってしまいました。

 

これは特殊な例ですが、こういったことは日常生活でもあることです。

 

それが小さなことならまだいいのですが、この絵本のように取り返しのつかないことになる場合もあります。

 

そのことをどうか忘れずに、日頃から欲を出さないように気をつけたいものです。

 

印象的なことば

 

子供から別れて、独りさびしく海の中に暮らすということは、この上もない悲しいことだけれど、子供がどこにいても、仕合せに暮らしてくれたなら、私の喜びは、それにましたことはない。

 

人魚の親の言葉です。

 

子どものことを強く想う気持ちが伝わってきます。

 

自分の幸せよりも、子どもの幸せを願う親の気持ちが涙をそそります。

 

この後の悲しい結末を考えると、切なくなります……。

 

感想

 

人魚たちが織り成す悲しい物語です。

 

結末も、ハッピーエンドではなく、悲しい終わりです。

 

人魚のお母さんの願いは叶うことがなく、人魚の娘が幸せになることもなく、最後には町が亡びてなくなってしまいます。

 

どこまでも悲しいストーリーなのですが、読者はこの美しい世界観に魅了されずにはいられないでしょう。

 

酒井駒子さんの絵が繊細で美しく、孤独な人魚の姿を見事に描き出しています。

 

どちらかと言うと大人向けの絵本ですが、子どもでも十分読めます。

 

親が子どもに、読み聞かせてあげるといいかもしれません。

 

残念ながらラストに救いはありませんが、この絵本は救いや希望を見出すのではなく、悲しみにどっぷり浸かるのがいいのではないかと思います。

 

悲しい結末ながらも、美しい絵本です。

 

 

赤い蝋燭と人魚

赤い蝋燭と人魚

 

 

 

 

 

 

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わたしのうみべ

『わたしのうみべ』を読みました。

 

わたしのうみべ

わたしのうみべ

 

 

あらすじ

 

わたしは、朝の海辺が大好きです。

 

今朝は、木やビンや小さな貝が流れ着きました。

 

次の朝、海辺に行くと、オバケが流れ着いていました。

 

そして、また次の朝海辺に行くと……。

 

海辺に次々と流れ着く漂流物が描かれた絵本です。

 

見どころ

 

この絵本の見どころは、毎日変わる海辺の風景です。

 

海辺には、毎朝異なるものが流れ着きます。

 

その種類は、傘や木、すべり台など実に多種多様です。

 

中には、流れ着いたのがうちのお父さんなんていうのもあります。

 

絵本を読んでいると、「次は何が出てくるだろう?」とワクワクします。

 

この絵本には、そんなページをめくる楽しみがあります。

 

毎日変わる海辺の風景のように、人生もまた毎日が新しい驚きや発見に満ちています。

 

1日として同じ日はありません。

 

主人公の私のように、毎日を新鮮な目線で見てみると、人生は案外楽しさに溢れているのだと実感するでしょう。

 

大人になると、そんな目線で物事を見れなくなってしまいがちです。

 

しかし、意識して物事を眺めてみると、人生は毎日が新しい発見に満ち溢れています。

 

そんな子どもの視点や感受性を、忘れないようにしたいものですね。

 

ページをめくるのが楽しみな絵本です。

 

印象的なことば

 

わたしは、あさの うみべが だいすきです。

 

感想

 

ページいっぱいに、海辺に流れ着く漂流物が描かれた1冊です。

 

作者は、有名絵本作家の長新太さんです。

 

シンプルな内容ですが、そこにはページをめくる楽しさがあります。

 

子どもから大人まで楽しめる絵本です。

 

海辺の風景は、変わらないものというイメージがありますが、実は違います。

 

海辺の風景は、毎日変わっているのです。

 

そこには、新たな驚きや発見があります。

 

そんな海辺の風景は、「人生」にも通じるものがあります。

 

海辺の風景に心癒される1冊です。

 

 

わたしのうみべ

わたしのうみべ

 

 

 

 

 

 

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