死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

ウェン王子とトラ

『ウェン王子とトラ』を読みました。

 

ウェン王子とトラ

ウェン王子とトラ

 

 

あらすじ

 

昔、森の奥に、トラのお母さんが住んでいました。

 

トラの子どもたちは、人間の猟師に殺されてしまい、トラは人間を憎むようになりました。

 

ある晩、トラは村を襲います。

 

それでも、トラの怒りはおさまるどころか、さらに激しくなりました。

 

知らせを聞いた王さまは、兵を集め、占い師にトラ狩りがうまくいくかどうか尋ねます。

 

占い師は、トラの怒りをしずめるために、ウェン王子をトラに差し出すように言いますが……。

 

トラとウェン王子の絆が感動的に描かれた一冊です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、トラの母性と王子の優しい心です。

 

深い森の奥に、トラのお母さんが住んでいます。

 

トラは、悲しそうな鳴き声をあげます。

 

なぜなら、子どもたちが、人間の猟師に殺されてしまったからです。

 

トラは、子どもたちを助けてやることができませんでした。

 

その日から、トラは人間が憎くて、村の近くをうろつくようになりました。

 

ある晩、トラはついに村を襲います。

 

それでも、トラの怒りはおさまらず、激しさを増します。

 

こうして夜になると、村人たちの泣き叫ぶ声が聞こえるようになります。

 

知らせを聞いた王さまは、兵を集めます。

 

そして、占い師のおばあさんに、トラ狩りがうまくいくかどうか尋ねます。

 

おばあさんは、トラの怒りをしずめるために、ウェン王子をトラに差し出すように言います。

 

王さまが怒ると、おばあさんは、王子さまが危ない目にあうことは決してないと言います。

 

王さまとお后さまは、胸が張り裂けそうです。

 

しかし、ウェン王子は怖がっていません。

 

日が昇ると、王さまはウェン王子を連れて、大きな森へ向かいます。

 

そして、ウェン王子は、森の奥へと入っていきます。

 

王子は、長いこと歩き続け、やがて疲れて眠ってしまいます。

 

しばらくすると、トラがやってきて、自分の子どものように、ウェンをくわえます。

 

トラは、優しくウェンを寝かせ、寄り添ってあたためてやります。

 

やがてトラは、ウェンを山の向こうへと、連れていきます。

 

暗い穴を抜けると、そこにはトラの隠れ家があります。

 

ウェンは、隠れ家でトラと暮らすようになります。

 

ある日、トラの昼寝の最中に、ウェンがトラの傷跡に手を伸ばすと、トラは飛び起きます。

 

また、怒りが湧き上がってきたのです。

 

いまにもウェンに噛みつこうとしたそのとき、トラは大きく見開いたウェンの目に気付きます。

 

子どものトラにそっくりの目です。

 

その途端、トラの心に優しさが蘇ります。

 

それからは、トラは決して、村を襲わなくなりました。

 

その代わりに、朝から晩まで、ウェンの世話をして、トラの子どもが覚えることを、全て教え込みます。

 

ときは流れ、ウェンはたくましい少年になります。

 

一方、お城の王さまとお后さまは、息子を失った悲しみに沈んでいます。

 

とうとう、王さまは耐え切れず、王子を取り戻すために、森に兵を出します。

 

兵士たちは森の奥に入り、火を放ち、トラは追い詰められます。

 

ウェンは、トラを守ろうとして、前に立ちはだかります。

 

そのとき、兵の後ろから、お后さまがやってきて、息子のもとに駆け寄ります。

 

ウェンもすぐに、お母さんだとわかります。

 

ウェンはトラに、お別れとまた会いにくる約束をします。

 

トラはゆっくりウェンに背を向け、森の中へ消えていきます。

 

それから、ウェンは毎年、トラに会いにいきます。

 

そして、ある日ウェンは、自分の息子を連れて、トラに会いにいき、息子を預けます。

 

ウェンは、立派な王子になれるよう、トラとして学ばねばならないことを、教えてやってほしいと言います。

 

この絵本では、トラのお母さんと王子の交流が描かれています。

 

トラのお母さんは、以前自分の子どもを人間に殺されてから、怒りがおさまらず、村を襲うようになります。

 

しかし、ウェン王子と出会い、少しずつ母性や優しさを、取り戻します。

 

また、そんなトラのお母さんに育てられたウェンは、強くて優しい少年に成長します。

 

やがて、ウェンは立派な王さまになります。

 

トラの母性やウェン王子の優しい心が感動的に描かれた一冊です。

 

印象的なことば

 

ぼくには二人のおかあさんがいる。

森のおかあさんだったおまえと、城のおかあさんと。

 

 

ウェンの言葉です。

 

トラとの別れのときに、ウェンはこう言います。

 

ウェンは、トラのことを尊敬していて、本当に自分のお母さんだと思っています。

 

感想

 

トラとウェン王子の、感動的な交流が描かれた絵本です。

 

まず、迫力のある絵本の表紙に、興味を惹かれました。

 

読む前から、一体どんな絵本なのだろうと、期待が高まります。

 

読んでみると、大迫力のイラストと、感動的なストーリーで、心を揺さぶられました。

 

恐らく中国が舞台の絵本ですが、どの国の人が読んでも感動するような、普遍的な物語です。

 

この絵本は、2005年ドイツ児童図書賞を受賞しています。

 

絵本のイラストのインパクトや大型本ということで、手に取るのをためらう方もいるかもしれませんが、是非勇気を持って、手に取っていただきたいです。

 

そこには、今まで見たことのない絵本の世界が広がっているはずです。

 

大人と子どもの両方が楽しめる作品です。

 

 

ウェン王子とトラ

ウェン王子とトラ

 

 

 

 

 

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