『かあさんのこもりうた』を読みました。
あらすじ
かあさんぐまは、ぼうやをだっこして、こもりうたを歌います。
その歌声は、にいさんぐまやねえさんぐまがいる、子供部屋まで聞こえてきます。
さらに、かあさんぐまの歌声は、森のてっぺんまで届き、それを聞いたまねっこどりが、歌い始めます。
ある日、まねっこどりが木のてっぺんから遠くを眺めていると、海の方から真っ黒い雲が、こちらにやってくるのが見え……。
かあさんのこもりうたにまつわる、感動の物語です。
見どころ
今回の見どころは、お母さんの愛情です。
かあさんぐまは、ぼうやをだっこして、こもりうたを歌います。
その歌声は、にいさんぐまやねえさんぐまがいる、子供部屋まで聞こえてきます。
さらに、かあさんぐまの歌声は、森のてっぺんまで届き、それを聞いたまねっこどりが、歌い始めます。
ある日、まねっこどりが木のてっぺんから遠くを眺めていると、海の方から真っ黒い雲が、こちらにやってくるのが見えます。
危険を察知したまねっこどりは、すぐに森じゅうに知らせます。
しかし、いつもまねっこどりは真似ばかりしているので、誰も本気にせず、逃げるものはいません。
かあさんぐまも、りんごの実を摘むのに夢中です。
とうとう、嵐が森にやってきます。
とうさんぐまは、必死で子どもたちを守ります。
嵐が去ったあと、森は様変わりしています。
とうさんぐまは、子どもたちと一緒に、かあさんぐまを探し回ります。
夜も昼も、何日も、探しました。
しかし、とうとうかあさんぐまは、帰ってきませんでした。
それから、ぼうやは元気がなくなり、毎日泣いてばかりです。
にいさんやねえさんも、涙します。
そんなとき、外からかあさんぐまの子守歌が聞こえてきます。
とうさんぐまは、まねっこどりが歌っているのだと説明します。
それでも、子どもたちは耳をすませます。
初めて聞く、歌の続きが聞こえてきます。
そこには、にいさんやねえさん、とうさんに対する愛情や感謝が込められています。
とうさんは、子どもたちと、空を見上げます。
この絵本では、かあさんのこもりうたを通じて、家族がかあさんの愛情を感じ取る姿が描かれています。
この絵本を読んで、ものすごい嵐がやってくる場面を、3.11の震災と重ねて見る方も多いかと思います。
最後のページには、ある実話が載っています。
東日本大震災でお母さんをなくした、当時小学生だった望美ちゃんのもとに、手紙が届いたそうです。
ランドセル会社の協和さんがおこなっているもので、「未来へつなぐタイムレター」というそうです。
そこには、望美ちゃんのお母さんである由美子さんからの思いが綴られていました。
また、望美ちゃんだけでなく、お兄ちゃんやお姉ちゃんあての手紙も入っていました。
お姉ちゃんの好美さんは、この手紙を読んで涙したそうです。
「口ごたえいっぱいしちゃった。もっと手伝えばよかった」と。
この絵本は、好美さんの言葉から生まれたそうです。
実話もとても感動的ですが、絵本もまた感動的な作品になっています。
お母さんがいなくなってしまったことは、とても寂しいし、悲しいことです。
でも、残された家族は、生きていかなければなりません。
そんなときに、お母さんからの言葉や愛情は、生きていく上での希望の光であり、心の支えでもあります。
また、いなくなってから、気づくこともあると思います。
そういった気づきが、明日を生きるヒントや原動力にもなるはずです。
お母さんの愛情が伝わってくる感動の絵本です。
印象的なことば
かあさんはいつもわたしたちのことばかりおもってくれていたんだね
とうさんぐまの言葉です。
いなくなってから、改めて気づくことがあります。
感想
かあさんの愛情を家族が感じる絵本です。
いもとようこさんのイラストが優しくて、思わず涙が出てしまいます。
最後は、希望のある終わり方で、心が温まります。
家族の普遍的な愛が描かれた、名作だと思います。
残された家族の悲しさや寂しさは相当なものだと思いますが、かあさんの愛情がそれを上回るように思いました。
いつ、何が起こるかわからない時代を生きる私たち。
このかあさんぐまのように、常に家族や周りの人に愛情を注げる人でありたいと思います。
大人と子どもで一緒に読みたい絵本です。