『いいことってどんなこと』を読みました。
あらすじ
わたしが住む北の国では、雪解けが始まります。
わたしが雪解けのしずくに、どうしてそんなにうれしいのか聞くと、しずくは「いいことがあるからよ」と答えます。
わたしは、しずくに誘われて外へ飛び出します。
その後、わたしは小鳥や川にも同じ質問をしますが……。
春の訪れの喜びを描いた絵本です。
見どころ
今回の見どころは、春の訪れです。
主人公のわたしは、窓の外から聞こえる水の音が気になり、思わず窓を開けます。
そこでは、しずくが跳ねて、歌って、踊っています。
その姿があまりにも嬉しそうなので、わたしはしずくに「どうしてそんなに嬉しいの」と尋ねます。
しずくは、「いいことがあるからよ」と答えます。
わたしは、その「いいこと」が何なのか気になり、外に出ます。
そして、わたしは小鳥に出会います。
わたしは、小鳥に「いいことってどんなこと?」と聞きますが、小鳥たちは遠くの方へ飛んでいってしまいます。
その後、わたしは川が元気よく流れているのを目にします。
そこで、またわたしは質問を投げかけます。
しかし、川はいいことの正体は教えてくれず、「見つけてごらん」と答えます。
そして、わたしは風に出会い、また同じ質問をしますが、風の言葉がわかりません。
さらに、わたしはリスに出会い、「一緒に遊ぼう」と誘いますが、わたしはリスを追いかけているうちに、転んでしまいます。
わたしは、雪の野原にひとりぼっちになってしまいます……。
転んだまま雪に頬をつけていると、雪の下から微かな歌声が聞こえてきます。
わたしは、足元の雪を両手ですくい、雪を掘っていきます。
すると、雪の中に金色の花が咲いているのが見えます。
わたしは、ついに「いいこと」の正体を見つけます。
それは、春の訪れだったのです。
この絵本では、春の訪れの喜びが描かれています。
その文章は、歌の歌詞のようで、読んでいるこちらまで楽しくなってきます。
自然や動物たちの、喜びの声が絵本から聞こえてきそうです。
そんな臨場感が楽しめるのが、この絵本の魅力です。
厳しい寒さの冬から、暖かい春が訪れる喜びが、絵本いっぱいに描かれた1冊です。
印象的なことば
わたしの むねも うたっていました。
いいことの正体がわからなかったわたしも、ついにいいことの正体を見つけ、心が高鳴ります。
まさに、春の訪れを感じる言葉です。
感想
今回は、今の季節にぴったりの作品です。
春の訪れの喜びが詰まった絵本です。
この絵本の舞台は雪国なので、春の訪れは都会に住む人の何倍も嬉しいはずです。
作者の神沢利子さんは、子ども時代を樺太で過ごされたそうです。
だからこそ、春の訪れを、こんなにも素晴らしく表現できるのですね。
北国の出身の人でなければ、冬から春の移り変わりを、ここまで詳細に描けないのではないかと思います。
それほどまでに、春の到来の表現が秀逸です。
春の到来を待ちわびながら読みたい1冊です。