死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

ぼくを探しに

『ぼくを探しに』を読みました。

 

 

新装 ぼくを探しに

新装 ぼくを探しに

 

 

あらすじ

何かが足りない、それでぼくは楽しくない……。
そして、ぼくは足りないかけらを探しに行きます。
転がりながら、ぼくは歌いますが……。
 

見どころ

今回の見どころは、模索しながら見つけた大切なことです。
ぼくは、足りないかけらを探しに、歌いながら転がります。
雨の日もあれば、晴れの日もあります。
ぼくの体は欠けているので、あんまり速くは転がれません。
そして、立ち止まり、みみずとお話しします。
花の匂いをかいだり、カブトムシを追い越したり、追い越されたり……。
そして、海や山を越えて、
とうとうある日、かけらを見つけます。
しかし、かけらに拒否されてしまい、ぼくはがっかりしてまた転がります。
またかけらを見つけますが、今度は小さすぎたり、大きすぎたり……。
ぴったりのかけらを見つけても、しっかりはめておかなくて、落としたり、壊したり……。
そして、またどんどん転がっていきます。
途中、無茶をしたり、石の壁にぶつかったり……。
そしてある日、ぼくにぴったり合いそうなかけらに出会います。
合わせてみると、なんとぴったり!
喜んで転がりますが、あまりにも調子よく転がるため、みみずと話すことも、花の香りを嗅ぐことも、
蝶に止まってもらうこともできません……。
楽しい歌を歌おうと試みても、まるくなったらちっともうまく歌えません。
ぼくは気付きを得て、転がるのをやめ、かけらを下ろし、ゆっくり転がっていきます。
そして、また歌いながら転がります……。
この絵本では、ぼくが回り道して試行錯誤した後に、大切なことに気付くまでが描かれています。
人生において、何かが足りないと感じることは、多くの人が経験すると思います。
今が割と満たされていても、満たされていなくても、誰もが多かれ少なかれ感じることです。
そんな時、人はその足りないものを探そうとします。
時には、回り道をしたり、壁にぶつかったり、失敗してしまったり……。
それでも、何かを求めて試行錯誤します。
でも、たとえ何かをみつけたとしても、人生はそれで終わりではありません。
その何かと、最初はうまくいっても、段々うまくいかなくなったり、相性が悪いことがわかったり……。
この絵本では、人生で大事なことが、たくさん詰まっています。
この絵本で僕が探してるかけらは、現実世界に置き換えると、恋愛・仕事・趣味・友達、さらには地位や名誉、成功、人に認めてもらいたい承認欲求、またはゆっくりする時間、癒し、楽しみだったりします。
でも、それを得たら、完全に幸せになれるでしょうか?
この絵本が教えてくれることはたくさんありますが、
その中でもまず、足りないままの自然体な自分を認めること。
次に、足りないものを見つけて、自分を補完しても、必ずしも幸せにはならないこと。
そして、足りない何かを探す過程にこそ、実は人生において楽しいこと、大切なことがある、ということです。
だから、模索したり、試行錯誤することに、意味があるのです。
それらがない人生は、味気ないのです。
日々の何気ない行動や考えが、ひとつひとつ意味があって、大切なことが伝わってくる絵本です。
些細なことを楽しめる感受性を持ちたいですね。
 

印象的なことば

なるほど
つまりそういうわけだったのか

 

ぼくが気付きを得た言葉です。
ここでぼくはようやく大切なことに気付きます。
その意味でも、大事な瞬間の言葉です。
 

感想

まさに、名作絵本のひとつです。
まるで、絵本一冊が素晴らしい音楽のようで、
読み終えると、1曲聴き終わった感じです。
メロディが聴こえてくるようでもあり、特に歌詞=言葉が素晴らしいです。
人生で大切なことが詰まっていて、
抽象的でありながら、的確なのは本当に素晴らしいです。
世の中の子どもたちにも読んでほしいですが、
やはり色々経験してきた大人にこそグッとくるものがあると思います。
既に多くの方に読まれていますが、これからも読み継がれて欲しい一冊です。
 

 

新装 ぼくを探しに

新装 ぼくを探しに

 

 

 

 

 

 

 

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