『このあとどうしちゃおう』を読みました。
あらすじ
最近亡くなったおじいちゃん。
ある日、おじいちゃんの部屋を、みんなで掃除します。
すると、ベッドの下からノートが出てきて……。
「このあと どうしちゃおう」と書かれたノートには、一体何が書かれているのでしょうか。
見どころ
今回の見どころは、書き記すことの大切さです。
おじいちゃんが残した、「このあと どうしちゃおう」と書かれたノート。
そこには、おじいちゃんが考えた、死んだ後の世界が書かれていました。
それは、「この後の予定」や「生まれ変わったらなりたいもの」、さらには「こんな神さまにいてほしい」なんていうものまであり、たくさんの項目ごとに文章とイラストで描かれています。
主人公のぼくは、ノートを見て、天国に行くのが楽しみになります。
しかし、ぼくはふと考えます。
おじいちゃんは、死ぬのが楽しみではなく、死ぬのが怖かったのかもしれないと。
だから、死ぬのが怖くなくなるように、楽しいことをたくさん考えて、このノートを書いたのではないかと。
ぼくは、おじいちゃんの気持ちに考えを巡らせます。
ぼくは、お父さんにも聞いてみます。
お父さんは、おじいちゃんの気持ちはおじいちゃんにしかわからないけれど、死んだ後にどうなりたいかを考えて、話し合ったり、ノートに書いてみるのはいいことだと、答えます。
そして、ぼくもノートを作ることにします。
ノートを買って、いざ書こうとすると、ぼくはあることに気付きます。
死んだ後のことを考えようとすると、いま生きているうちにやりたいことがいっぱいあることに気が付いたのです。
ぼくは、「いきているあいだは どうしちゃおう」ノートがあってもいいかもと思います。
この絵本では、おじいちゃんが残したノートについて考え、ぼくがまた前向きに歩き出すまでが描かれています。
ノートの内容は、普遍的でありながらユーモアに溢れていて、読み応えがあります。
ノートの内容だけでも十分なのですが、そこでこの物語は終わりません。
ぼくはおじいちゃんの気持ちに考えを巡らせ、さらには自分でもノートを作ることにします。
この能動的な行動が生まれたのも、おじいちゃんがノートを書いたからこそです。
生きている間に、色々と考え、書き記しておくことには、とても大切な意味があります。
それを後に誰かが見て、何かを感じたり、考えたりすることにも、大きな意味があります。
だからこそ、書き記すことは重要なことなのです。
特に大人に読んでほしい一冊です。
印象的なことば
でも だれだって いつかは しんじゃうしそれが いつかなんて わからない。もし じぶんが しんじゃったら どうなりたいかどうしてほしいかを かんがえて だれかと はなしあったりノートに かいてみるのは きっと いいことだよね
ぼくのお父さんの言葉です。
さすが人生経験が豊富なお父さん。
含蓄のある言葉ですね。
感想
おじいちゃんの残したノートをめぐる物語です。
ヨシタケシンスケさんの絵本は、これが初めてだったのですが、さすが人気作家さんなだけあって、面白いうえに気付きや発見もあり、いい読書体験ができました。
ノートの内容がとても面白くて、思わず凝視してしまいました。
特に「いじわるなアイツはきっとこんなじごくにいく」という項目は、多くの人が共感できるものだと思います。
やはり、悪い行いをしている人は地獄にいくという思いは、多くの人が抱くものだと思います。
それを、ユーモラスにそこまで酷くならずに描ける、ヨシタケさんは素晴らしいセンスをお持ちだと思います。
子どもも十分楽しめますが、特に大人にオススメしたい一冊です。