かぜのでんわ
『かぜのでんわ』を読みました。
あらすじ
山の上に、一台の電話が置いてあります。
この電話は、もう会えなくなった人に、自分の思いを伝えると、必ずその人に届くと言われています。
今日も、山を登って誰かがやってきて……。
実際にある「風の電話」を題材にした、感動の絵本です。
見どころ
今回の見どころは、自分の思いを伝えることです。
山の上に、一台の電話が置いてあります。
その電話は、会えなくなった人に気持ちを伝えると、必ずその人に届くと言われています。
その電話を目指して、様々な動物たちがやってきます。
お兄ちゃんをなくしたたぬきのぼうや、子どもをなくしたうさぎのお母さんなど、様々な思いを持つ動物たちがやってきて、思い思いに気持ちを伝えます。
ある寒い夜のこと。
くまのおじいさんが眠っていると、どこかで電話がなります。
おじいさんは、山の上の電話を設置した本人でした。
おじいさんが、電話の音の方へ向かうと……。
なんと、山の上の電話がなっていました。
この電話は、線が繋がっていないのです。
そして、おじいさんが受話器を取ると……。
雪が止み、数えきれないほどの星が、輝き始めます。
おじいさんは、「みんなの思いが届いたんだ」と喜びます。
この絵本では、実際にある風の電話を題材に、様々な動物たちの思いが表現されています。
どの動物も、悲しみを抱えながらやってきて、電話で思いの丈を伝えます。
電話は、線が繋がっていないので、誰かと話せるわけではありません。
それでも、多くの動物がやってきて、もう会えなくなった誰かに届くと信じて、思いを伝えます。
自分の思いを伝えるだけでも、心が浄化されることはあるはずです。
さらに、言霊という言葉がある通り、声に出した言葉は、目には見えないパワーを持っているのだと思います。
例え、もう会えなくなった人でも、その思いは届くのだと、私は信じています。
もし届かなかったとしても、その思いを伝えるという行為には、大切な意味があるのだと思います。
自分の思いを誰かに伝えたくなる、そんな一冊です。
印象的なことば
とどいたんだ!みんなのおもいがとどいたんだ!
くまのおじいさんの言葉です。
山の上の電話がなり、受話器を取ると、雪が止んで、星が輝きます。
おじいさんの、嬉しい気持ちが伝わってくる言葉です。
感想
会えなくなった人に、電話を通じて動物たちが気持ちを伝える、感動の絵本です。
この絵本は、作者のいもとようこさんの展覧会で知って、感動して購入しました。
この絵本の題材になった、「風の電話」は、岩手県大槌町に実際にあるそうです。
ガーデンデザイナーの佐々木さんが、自宅の庭に作ったそうです。
佐々木さんが、震災前から考えていたそうですが、心の復興のきっかけとなればと思い、実現させたそうです。
すごく素敵なアイデアだと思います。
風の電話のことは、以前からニュースなどで見聞きして、知っていたのですが、この絵本を読んで、さらに素晴らしいなと思いました。
この電話で思いを伝えることで、救われた人がたくさんいると思います。
この絵本は、子どもから大人まで、多くの人に読んでほしい一冊です。