もったいないばあさん
『もったいないばあさん』を読みました。
あらすじ
今日も、男の子のもとに、もったいないばあさんがやってきます。
食後に男の子が遊んでいると、お茶碗に付いたごはん粒がもったいないと、おばあさんが言ってきます。
そして、おばあさんは男の子の食べ残しを、食べてしまいます。
男の子が水を出しっ放しにしながら歯磨きをしていると、おばあさんがやってきて、もったいないと言います。
おばあさんの気迫に、男の子はとうとう泣き出してしまい……。
「もったいない」の精神を伝えるおばあさんの物語です。
見どころ
今回の見どころは、「もったいない」の精神です。
男の子が食後に遊んでいると、もったいないばあさんがやってきて、お皿の上の食べ残しを、もったいないと言ってきます。
おばあさんは、男の子の食べ残しを残さずに食べます。
そして、おばあさんは、男の子の顔についた米粒を見つけ、「もったいない」と言いながら、男の子の顔をべろべろ舐めまわします。
さらに、男の子が蛇口の水を出しっ放しにしながら歯磨きをしていると、「コップ一杯で足りる」と言い、蛇口の水を止めます。
とうとう男の子は泣き出し、おばあさんは男の子に近づき、「涙がもったいない」と言います。
その後も、男の子がもったいないことをしていると、おばあさんがやってきて、男の子に色々と教えます。
この絵本では、もったいないばあさんが男の子に教える形で、「もったいない」の精神が伝えられていきます。
昔ながらの頑固なおばあさんのキャラクターが、ユーモラスに描かれています。
おばあさんはただうるさいだけでなく、生活の知恵を男の子に教えてくれます。
例えば、紙くずを怪獣スーツに作り変えてくれたり、短くなった色鉛筆をまとめて、虹色鉛筆にしてくれます。
それは、おばあさんが長い人生の中で培った、生きた知恵です。
最初は嫌がっていた男の子も、段々とおばあさんの行動や知恵を受け入れていきます。
まさに、「もったいない」の精神が伝えられていきます。
現代ではあまり見られなくなってしまった習慣や知恵が、そこにはあります。
もったいないばあさんは、もしかしたら煙たがられる存在かもしれません。
しかし、現代人が忘れかけている、昔ながらの知恵を教えてくれる、貴重な存在でもあります。
使ったものを再利用し、辺りが暗くなったら寝るという、シンプルなもったいないばあさんの暮らしは、実は現代人が見習いたい暮らしでもあるのです。
若い読者にこそ、読んでほしい一冊です。
印象的なことば
おやおや なみだが もったいないよ
男の子に向けた、もったいないばあさんの言葉です。
男の子がおばあさんの気迫に圧倒され泣いていると、おばあさんはこう声をかけます。
頑固なおばあさんですが、このように優しい面もあるのです。
感想
もったいないばあさんの、もったいない精神が詰まった一冊です。
小さい時に、こんなおばあさんがいたら、少し戸惑ってしまうけど、きっと楽しいだろうなとも思います。
もったいないばあさんの言動は、若い人にとっては、口うるさく感じてしまうかもしれません。
しかし、そこには普遍的な生きる知恵があります。
もったいないばあさんから、学べることはたくさんあるはずです。
そのため、こういったいわゆる頑固なおばあさんの言葉も、聞き流してしまうのではなく、聞く耳を持ちたいなと思います。
大人が読んでも学ぶことがありますし、子どもが読んだら新たな発見や学びがある絵本だと思います。
家族で読みたい絵本です。
おばあちゃんが、孫に読んであげてもいいですね。