『ないた』を読みました。
あらすじ
ぼくは、1日に1回は泣きます。
転んで泣いて、迷子になって泣きます。
そして、嬉しくても泣きます。
どうして、ぼくは泣くのでしょう……。
泣くことについて考えさせられる一冊です。
見どころ
今回の見どころは、子どもと大人の涙です。
この絵本では、主人公の少年が、様々な場面で泣いています。
少年は、1日に1回は泣いています。
転んで泣いたり、嬉しくて泣いたりもします。
ページをめくると、思わず子どもの視点に立って、共感してしまいます。
一方で、大人はあまり泣きません。
少年は、お父さんが泣いたのを見たことがありません。
お母さんも、テレビを見て涙を拭いたのを一度見たことがあるだけで、包丁で指を切っても泣きません。
また、お母さんの布団に入った時に、お母さんの目から涙が流れ落ちますが、少年が泣いているのか尋ねると、「ううん」と答えます。
子どもの頃は、何かある度に、素直に泣くことができます。
しかし、大人になると、そうはいきません。
泣きたくても、涙をぐっと堪えなければならない時もあります。
子どもには、そんな大人が不思議で、なかなか理解できないでしょう。
でも、やがて少年が大人になれば、自然とわかる時が来るはずです。
もしくは、大人になる過程で、理解することになるでしょう。
どうして、子どもは泣くのに、大人に泣かないのだろう。
この絵本では、そんな素朴な疑問が、子どもの目線から描かれています。
印象的なことば
ぼくも おとなになったら なかなくなるんだろうか。
絵本の最後のページにある、少年の言葉です。
子どもならではの気持ちが表現されています。
この言葉を読むと、子どもは共感できて、大人は自分の子どもの頃を思い出すかもしれません。
感想
様々な場面での涙が、子どもの視点から描かれた絵本です。
子どもが共感できるのは勿論のことですが、大人が読んでも共感できます。
また、大人が読むと、忘れていたことに気付かされたり、新たな感情が湧いてくるかもしれません。
泣くという行為は、子どもにとっては日常的なことですが、大人になると非日常的なものになります。
それは、何故でしょうか。
大人が泣くことは、恥ずかしいことだからでしょうか?
これは、それぞれが、大人になる過程で理解することだと思います。
でも、個人的には、大人だって泣く時があっていいのだと思います。
また、泣くことは、ストレス解消に有効なのだそうです。
涙を流すことは、心の健康にも役立つのです。
もし泣きたい時があったら、自分の好きな絵本を手に取って、泣いてみるのもオススメです。
そんな時間を持つことは、恥ずかしいことではなく、むしろ素敵な時間ではないでしょうか。
泣くという行為を、改めて考えさせられる一冊です。