くれよんのくろくん
『くれよんのくろくん』を読みました。
あらすじ
ある日、新品クレヨンのきいろくんが「ずっと新品のままなんていやだ」と言い出し、クレヨン箱を飛び出します。
そして、きいろくんは真っ白な画用紙を見つけ、画用紙に蝶々を描きます。
きいろくんは大喜びし、他の色のクレヨンも呼び、みんなで画用紙に絵を描きます。
そんな中、そこにくろくんがやってきますが、みんなはくろくんを仲間に入れてくれません。
くろくんが落ち込んでいると、そこにシャープペンのお兄さんがやってきて……。
クレヨンたちが、お互いの個性を認め合うことの大切さを教えてくれる絵本です。
見どころ
この絵本の見どころは、クレヨンたちがお互いの個性を尊重し合う姿です。
クレヨンたちは、大喜びで画用紙に絵を描きます。
しかし、くろんくんがその中に入ろうとすると、それを拒否します。
落ち込むくろくんのもとに、シャープペンのお兄さんがやってきて、くろくんをなぐさめます。
一方の、クレヨンたちは、書くことに夢中になりすぎて、絵がめちゃくちゃになってしまいます。
そこで、シャープペンのお兄さんが、くろくんに何かを伝えます。
そして、くろくんはみんなの絵を真っ黒に塗ります。
みんなは、くろくんを攻めます。
そこで、シャープペンのお兄さんが、体をすべらせ、くろくんが描いた黒を削っていくと……。
なんと、あっという間に大きな花火が出来上がります。
クレヨンたちは、シャープペンのお兄さんにお礼を言います。
しかし、シャープペンのお兄さんは、「お礼ならくろくんに言ってくれよ」と言います。
みんなは、くろくんを囲んで、お礼を言います。
長所がないと思っていたくろくんも、シャープペンのお兄さんの計らいで、短所を長所に変え、個性を最大限に発揮します。
そして、みんなの個性が重なり合って、素敵な花火ができあがります。
みんなのいいところを、くろくんが引き出したのです。
くろくんが個性を発揮できたのは、シャープペンのお兄さんが、くろくんの個性を見つけてくれたからです。
クレヨンのように、人の個性もまた十人十色です。
短所を指摘し合うのではなく、その人のいいところを見つけて、個性を尊重することが大切です。
印象的なことば
くろって、すごいね
クレヨンの仲間が、くろくんに言った言葉です。
簡潔ながらも、くろくんの個性を認め、くろくんに対するお礼にもなっている言葉です。
普段は目立たない色の黒ですが、本当はみんなを引き立てることのできるすごい色なのです。
感想
個性を認め合うことの大切さが描かれた1冊です。
クレヨンのお話ですが、これはそのまま人間社会に当てはめることのできる作品です。
普段は目立たない人でも、その人なりの長所は探せば必ずあるはずです。
みんなが個性を尊重し合うことで、チームはひとつになり、成果を出すことができるでしょう。
わかりやすいストーリーで、若い読者にも理解しやすい内容になっています。
この絵本を多くの人が読んで、いじめや仲間はずれが少なくなることを切に願います。