死ぬまでに読みたい絵本

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ヴァイオリニスト

『ヴァイオリニスト』を読みました。

 

ヴァイオリニスト

ヴァイオリニスト

 

 

あらすじ

 

父親の期待を背負い、青年は入賞を目指し何度もコンクールに挑戦します。

 

しかし、青年は結果を出せぬまま、次第に父親との確執の中で心を閉ざしていきます。

 

そんな中、青年はひとりの少年と出会い、音楽の喜びを感じるようになり……。

 

人との出会いを通じ、青年が自分の居場所を見つけるまでのストーリーが描かれた絵本です。

 

見どころ

 

この絵本の見どころは、ありのままの自分を受け入れることです。

 

主人公の青年は、父親の期待を受け、何度もコンクールに挑戦しますが、結果を出すことはできません。

 

そんな息子に対して、父親は辛辣な言葉を書いた手紙を送ります。

 

青年は、手紙を見るたびに嫌な気持ちになります。

 

そんなある日、青年は毎日窓の外でじっとヴァイオリンの演奏を聴いている少年に気がつきます。

 

青年は少年に話しかけますが、少年は口を開きません。

 

そして、また父親から手紙が届きます。

 

青年は、またもや気分が落ち込みます。

 

そんな中、窓の外には近所の人がたくさん寄ってきて、ヴァイオリンの音色に酔いしれます。

 

青年は、近所の人のためにヴァイオリンを弾くようになります。

 

しかし、窓の外に父親が現れたことで、青年は再び落ち込みます。

 

そんな時、また窓の外にあの少年が現れます。

 

青年は、少年のためにヴァイオリンを弾きます。

 

そして、青年は父親に思いの丈を手紙で伝え、少年にヴァイオリンを教え始めます。

 

青年は、最初は親の辛辣な言葉が書かれた手紙を見て、ひどく落ち込みます。

 

しかし、青年は人との出会いや交流を通じて、ありのままの自分を受け入れ、自分の殻を見事に破ります。

 

青年は、ついに自分の居場所を見つけ出したのです。

 

音楽家が題材の絵本ですが、この絵本で描かれているテーマは普遍的なものです。

 

親の期待に応えられずに、親との確執を抱えてしまうことは、一般的によくあることだと思います。

 

しかし、そこにずっと囚われてしまっては、自分が辛いだけです。

 

そのため、この絵本の青年のように、まずは自分で自分を認め、受け入れることが大事なのです。

 

そうすれば、世界は自ずと開けるはずです。

 

きっと青年のように、生きがいや居場所を見つけることができるでしょう。

 

その際、ひとりぼっちでいると落ち込んでしまうばかりなので、人との出会いを大事にすることが重要です。

 

印象的なことば

 

「みかけだおし」でいいんです。でも、うれしい「みかけだおし」なんだよ。

 

青年のモノローグです。

 

青年が見事に自分の殻を破ったことがわかる言葉です。

 

もう青年に以前のような迷いはありません。

 

なんとも力強い言葉です。

 

感想

 

この絵本は、主に青年のモノローグで構成されています。

 

モノクロの絵と青年のモノローグが重なり合い、豊かなハーモニーを奏でています。

 

シンプルながらも深みのある1冊となっています。

 

この絵本が、親の期待に応えること以上に、大切なことを教えてくれます。

 

それは、ありのままの自分を受け入れることです。

 

親の期待に応えられなくても、人生は終わりなんかじゃない。

 

むしろ、それからどうするかが大事で、人生はいつでも再スタートすることができるんだ。

 

そんなことが、この絵本を読んでいると、じんわりと伝わってきます。

 

プレッシャーにがんじがらめになっている人に、特に読んでほしい1冊です。

 

 

ヴァイオリニスト

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