『レモンの図書室』を読みました。
今回から、絵本だけでなく、児童書も少しずつ紹介していきたいと思います。
記念すべき第1回目は、『レモンの図書室』です。
あらすじ
母親を病気でなくし、学校でもいつもひとりぼっちだったカリプソ。
しかし、メイという新しい友達ができて、次第に孤独ではなくなります。
どこか、常にひとりでも大丈夫なように、強い心を持たなきゃと思うカリプソ。
それでも、趣味の合う親友ができたおかげで、その生活は一変し、楽しいものになります。
意気投合したふたりは、お互い本好きなこともあり、一緒に小説を書くということになります。
ふたりは、メイの家にある小屋を改造して、秘密基地を作ります。
カリプソはメイの家に頻繁に行くようになり、メイの家族のあたたかさに触れます。
そして、ふたりは秘密基地で、小説を書きます。
その後、書いた小説を、少しだけサイトに投稿すると……。
読みどころ
今回の読みどころは、親友の存在と親子の絆です。
母親を亡くし、父親と二人暮らしのカリプソは、周りに対して心を閉ざして暮らしていました。
しかし、転校生のメイの存在によって、その世界は一変します。
ふたりは本が好きで、いつのまにか自然と友達になり、親友にまでなります。
カリプソの世界は、一気に楽しく輝いたものになり、カリプソの固く閉ざされた心も、次第に開かれていきます。
その後、いくつもの厳しい試練がカリプソに訪れます。
それらは、子どもにとっては、かなり厳しいものです。
しかし、親友の存在があったからこそ、カリプソは必死に問題を解決して、困難な状況を乗り切ろうと頑張ります。
メイの存在は、カリプソにたくさんのポジティブなパワーを与えてくれていると思います。
親友の存在は、かけがえのないものです。
カリプソとメイの会話は、本の話で溢れています。
作品の中でも、様々な本の名前が出てきます。
それらは、子ども向けの本から、大人が読む本まで様々です。
本好きの方なら、思わずニヤリとしてしまうと思います。
ふたりの意気投合した姿を、文章で読むことで、子ども時代の親友を思い出す方もいるかもしれません。
また、本書で見逃せないのが、親子の絆です。
この作品では、お父さんが課題を抱えていて、大変なことになってしまうのですが、娘のカリプソは、心理的な葛藤がありながらも、お父さんを見放さず、お父さんを支えます。
また、カリプソのお母さんは、病気で亡くなってしまっているのですが、お母さんの影響やお母さんへの思いは消えることなく、全編を通してずっと作品の中心にあります。
普通の幸せな家庭とは違うかもしれませんが、彼らなりのやり方で、しっかりと親子が絆で繋がっていて、本当に心打たれます。
親友や周りの人の存在のあたたかさを感じるとともに、カリプソの生きる力に感動する作品です。
感想
『レモンの図書室』というタイトルを聞いて、イメージしていた内容が、実際本書を読んでみると、いい意味で裏切られました。
きれいな図書室が出てくるような、ふわふわした物語かと思いましたが、全く違いました。
もっとリアルで、面白くて、同時に悲しみや切なさも感じることができる本でした。
正直、驚きました。
最後の方は、泣いてしまいました。
子どもも読める作品ですが、大人も十分に楽しめる作品です。
途中、辛い場面もあるのですが、主人公の親友の存在や本の話、個性豊かな登場人物など、救いもあるので、読み進められます。
児童書を読んだのはかなり久しぶりだったのですが、ちゃんと内容も現代にアップデートされていて、進化していました。
現代的な要素を散りばめつつ、普遍的な親友や家族などの要素が中心にあり、読み応えのある作品です。
主人公のカリプソは、本をよく読んでいるからか、または境遇や環境のためか、周りよりも大人びた考え方や性格です。
しかし、彼女はまだ子どもなので、そういった子どもと大人の間で揺れ動く心情も、読み応えがあります。
本が好きな人も、そうでない人にも読んでほしい作品です。
読書案内
本書では、色々な本のタイトルが出てきます。
本書の巻末に「カリプソの読書案内」という、本書に登場する本のリストがあります。
ここでは、その中でも特に重要だと思われる本を紹介したいと思います。
- 作者: ルーシー・モード・モンゴメリ,Lucy Maud Montgomery,村岡花子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/02/26
- メディア: 文庫
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カリプソが好きな本です。
メイがカリプソに教えた本です。
この他にもたくさんの本が載っていますので、ぜひチェックしてみてください。