『くまとやまねこ』を読みました。
あらすじ
ある朝、くまは泣いています。
仲良しのことりが、死んでしまったのです。
くまは森の木を切り、小さな箱をつくります……。
友達をなくしたくまが、再び友達を作るまでの、再生の物語です。
見どころ
今回の見どころは、友達を作ることです。
ある朝、仲良しのことりが死んでしまい、くまは泣いています。
くまは、森の木を切って、小さな箱をつくります。
その中に、花びらをしきつめ、ことりを入れます。
そして、どこへ行くにも、くまはその箱を持ち歩くようになります。
森の動物たちが、箱のことを尋ねると、くまは箱を開けて、中身を見せます。
すると、動物たちは、ことりはもう帰ってこないから、つらいだろうけど忘れなくちゃと言います。
くまは、自分の家に引きこもってしまいます。
ある日、久しぶりに窓を開けてみると、いいお天気だったので、くまは外に出ます。
くまが川べりの土手にのぼると、見慣れないやまねこが昼寝をしています。
くまは、やまねこのバイオリンケースが気になり、やまねこに声を掛けます。
やまねこは、くまの持っている箱の中身を見せてくれたら、自分のものも見せると言います。
くまは、少し迷いながらも、箱を開けます。
やまねこは、くまがことりととても仲が良かったこと、ことりが死んで寂しい思いをくまがしていることを、理解します。
やまねこが自分の箱を開けると、バイオリンが出てきます。
やまねこは、くまとことりのために、一曲演奏します。
くまは、演奏を聴きながら、色々なことを思い出します。
そして、くまはことりを森に埋めることにします。
くまとやまねこは、まわりを花で飾ります。
その後、やまねこはくまを旅に誘います。
くまは、やまねこからタンバリンをもらいます。
くまは、タンバリンを練習すると言い、やまねこについていくことにします。
その後、ふたりは「くまとやまねこ音楽団」として、人気を博します。
この絵本では、仲良しのことりをなくしたくまが、新たな友達を得るまでが描かれています。
最初は、死んだことりを箱に入れて、悲しみに暮れていたくまですが、やまねことの出会いで、くまは変わります。
くまは過去を手放し、新しい人生を生きようとします。
そして、くまは勇気を出して、やまねこの旅についていくことにします。
ふたりは、友達になります。
友達との別れは寂しいものですが、それで人生は終わりません。
人生は長いものなので、新たな友達が必要です。
自分から心を開けば、友達は案外簡単に見つかるのかもしれません。
友達を作る勇気がもらえる一冊です。
印象的なことば
ぼく、れんしゅうするよ。
おどりながら、
タンバリンをたたけるようになりたいな
最後のページにある、くまの言葉です。
くまは、やまねこの過去を聞いてみたい気持ちを押さえて、こう言います。
過去よりも、未来を選んだ、爽やかな言葉ですね。
感想
友達をなくしたくまの、再生の物語です。
酒井駒子さんの絵が好きなのですが、この絵本の絵はモノクロで描かれていて、どこか懐かしいような温かみのある雰囲気があり、素敵です。
この絵本のストーリーは、人間にも置き換えることができて、学ぶことの多い一冊になっています。
この絵本を読んで、過去よりも未来を見ることの大切さを感じました。
悲しみに暮れることもときには必要ですが、ずっとそうしてはいられません。
私たちは、未来を見つめなければなりません。
そんなとき必要なのは、少しの勇気と新たな友達なのかもしれませんね。
友達を大切にしたくなる一冊です。