死ぬまでに読みたい絵本

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うるわしのセモリナ・セモリナス

『うるわしのセモリナ・セモリナス』を読みました。

 

うるわしのセモリナ・セモリナス―小麦粉うまれの王子さま

うるわしのセモリナ・セモリナス―小麦粉うまれの王子さま

 

 

あらすじ

 

むかしむかし、ギリシャの国に、アレティという王女がいました。

 

アレティ姫にプロポーズした男の人は数えきれないほどいましたが、どの人もどうしても好きになれません。

 

ある日、姫はいい考えを思いつきました。

 

それは、自分で恋人をつくるということでした。

 

姫は、ついに理想の男性を作り上げます。

 

ところが、このことを世界の果ての悪い女王が聞きつけて……。

 

ギリシャの伝統的な民話が、再話によって復活した絵本です。

 

見どころ

 

この絵本の見どころは、アレティ姫の行動力です。

 

姫に寄ってくる男性は星の数ほどいましたが、どの人も好きになれず、姫は自ら理想の男性セモリナ・セモリナスさまを作り上げます。

 

これだけでも相当な行動力ですが、この物語はここで終わりません。

 

その後、悪い女王がその噂を聞きつけて、セモリナ・セモリナスさまを船に閉じ込めて、連れ去ってしまいます。

 

そのことを知った姫は、頑丈な鉄の靴を3足作らせ、旅に出ます。

 

姫は、道の途中で出会う人々に、セモリナ・セモリナスさまの行方を聞いて回ります。

 

しかし、なかなか有力な情報を手に入れることができません。

 

その代わりに、姫は困ったときに使える木の実をもらいます。

 

その後、ようやくセモリナ・セモリナスさまのことを知っている星に出会い、セモリナスさまの行方がわかります。

 

そして、姫は困ったときに使える木の実に助けられ、セモリナ・セモリナスさまの機転も功を奏し、ふたりは船でギリシャに帰り、いつまでも幸せに暮らします。

 

自分で連れ去られた恋人を遠くの国まで助けに行き、見事助け出す姫のバイタリティーに脱帽です。

 

もし、姫が自分からは行動しないタイプの女性だったら、このハッピーエンドは迎えられません。

 

ここでの姫は、「自分の幸せは自分で掴み取る」というパワフルな女性として描かれています。

 

そんなアレティ姫の行動力には、学ぶところがたくさんあるように思います。

 

理想の男性を作り出すことはさすがに無理かもしれませんが、理想の男性を見つけ出すことはできるかもしれません。

 

もし、好みの男性がなかなか現れない場合は、待っているだけではなく、アレティ姫のように、考えるよりも行動してみるといいかもしれませんね。

 

印象的なことば

 

人を「すき」とおもう気もちが、そんなまほうをおこしたのでしょう。

 

アレティ姫とセモリナ・セモリナスさまの気もちが通じ合ったからこそ、セモリナスさまは目覚めました。

 

人をすきと思う気もちは、ときに偉大な力を発揮します。

 

感想

 

ジゼル・ポターのユーモラスなイラストを得て、ギリシャの伝統的な民話が再話によって復活し、出来上がった絵本です。

 

ギリシャの昔のお話ですが、思いがけず現代的な要素もあり、読みやすくなっています。

 

アレティ姫やセモリナ・セモリナスさまの人を強く愛する気もちが、描かれています。

 

姫の行動力には驚かされますが、これも人を好きという気もちがなせるわざですね。

 

それほどまでに、セモリナ・セモリナスさまのことが好きなのだということが伝わってきて、なんとも微笑ましくなります。

 

日本の昔話では、お姫様は基本待っていることが多く、自分からは動かない印象です。

 

そんな日本の昔話に親しんできたので、アレティ姫のような女性像は目から鱗でした。

 

アレティ姫からは、「欲しいものは自分から掴み取る」という強いバイタリティーを感じます。

 

そんなアレティ姫の行動力は、日本の女性や男性も、見習う価値があるものだと思います。

 

恋愛でもう1歩踏み出したい人にもオススメの絵本です。

 

 

うるわしのセモリナ・セモリナス―小麦粉うまれの王子さま

うるわしのセモリナ・セモリナス―小麦粉うまれの王子さま