死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

Gus & Me ガスじいさんとはじめてのギターの物語

記念すべき第1回目の絵本です。今回読んだ絵本は、『Gus & Me ガスじいさんとはじめてのギターの物語』です。

 

 

この絵本は、2年前くらいに都内の書店で出会ったのですが、キース・リチャーズが書いた絵本ということで、家でじっくり読んでみたくなり、即買いしました。キースの娘さんが描いた絵にも惹かれました。

 

あらすじ

 

ガスじいさんは、ピアノ、バイオリン、サックスにギター、なんでも弾けるパン職人です。ガスじいさんは、キースの自慢のおじいさんです。キースとガスじいさんは、いろんな街や村へ歩きに行きます。ある日、ふたりは楽器の工房に立ち寄ります。そこで、キースが目にしたものは……。キースとギターの出会い、ガスじいさんとの忘れられない思い出が、描かれています。

 

ポイント

 

いまや音楽界の伝説となった、キース・リチャーズのギターとの出会いが描かれた、貴重な1冊となっています。

 

キースが、どのような経緯でギターと出会い、音楽を始めたのかがわかります。

 

キースがどんな幼少期を送っていたのかも見所です。ガスじいさんとキースの、特別な絆の素晴らしさが伝わってきます。

 

印象的な言葉

 

ある日、いつものようにマラゲーニャをやっていたら、

じいさんがうなずいて「コツをつかんできたな」って。

その言葉は一生忘れられないね。

 

おじいさんからギターを教えてもらったキースは、何度もギターでマラゲーニャを練習します。

 

その姿をみたガスじいさんが、キースに言った言葉です。

 

子供の頃に、大人から褒められた経験は、その子供にとって忘れられない経験になります。

 

成功者には、褒めたり応援してくれる大人がまわりにいるケースが多いように感じます。

 

キースの場合は、ガスじいさんがまさにそうですね。

 

ガスじいさんの存在によって、いまのキースがあるといっても過言ではないようです。

 

私自身も、子供の頃に大人に褒められたことを、今でも覚えています。

 

もし、子供が何かに打ち込んでいたら、その姿をしっかりと見守って、褒めてあげたいものです。

 

作者の紹介

 

作者は、言わずと知れたキース・リチャーズです。

 

彼は、音楽家、歌手、作曲家であり、ザ・ローリング・ストーンズの結成メンバーです。

 

世界で最も偉大なギタリストとも評され、現在は350本以上のギターを持っているそうです。

 

また、5人の子供、5人の孫がいるそうです。

 

本書の絵を担当しているのが、キースの実の娘のセオドラ・デュプリー・リチャーズです。

 

彼女は、アーティストで、本書の絵を描くにあたって、イギリスのダートフォードにあるキースの実家を訪れ、家族に取材し、キースの幼少期の写真を参考にしたそうです。

 

彼女の水彩画が、この絵本のエッセンスになっています。

 

そして、なんと訳は奥田民生が担当しています!

 

なんとも豪華な顔ぶれですね。内容も、それに引けを取らないものになっています。

 

感想

 

子供だけでなく、むしろ大人が楽しめる絵本になっています。

 

まさに、ストーンズの起源がこの絵本にあります。

 

キースやガスじいさん、さらには本書の絵を担当している娘のセオドラの思い出が詰まっているようで、心が温まり、微笑ましい気持ちになります。

 

絵本を読んでいるのですが、まるで音楽を聴いているような気分になれます。

 

また、この絵本にはキースが絵本を朗読しているCDも付いているので、目でも耳でも楽しめる絵本になっています。

 

キースが少年時代を送ったのは、第二次世界大戦後のダートフォードでした。

 

ここは、イギリス・ケント州で、ロンドンからは電車で約40分の距離にあります。

 

当時のダートフォードは、あちこちに戦争の傷跡が残り、暗い街だったそうです。

 

そんな中、キースとガスじいさんは、街を楽しそうに歩いていたのです!

 

絵本では、そんな暗さを微塵も感じさせなかったので、驚きました。

 

世の中は暗くても、明るい心を持ったおじいさんがいたことで、キースも救われたのではないでしょうか。

 

本書は、ストーンズファンのみならず、音楽好きの老若男女必見の絵本です。

 

また、音楽をあまり聴かないという方にも、ぜひ読んでもらいたい絵本です。この本がきっかけで、ギターや音楽に興味をもってくれる子がいたら、いいですね。