死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

道はみんなのもの

『道はみんなのもの』を読みました。

 

道はみんなのもの

道はみんなのもの

  • 作者: クルーサ,モニカドペルト,Kurusa,Monika Doppert,岡野富茂子,岡野恭介
  • 出版社/メーカー: さえら書房
  • 発売日: 2013/01
  • メディア: 大型本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

あらすじ

昔々、草木に覆われた山の斜面では、ピューマが歩き回っていました。
ふもとには、道が通り、サトウキビ畑や原っぱが広がっています。
その頃、山には一軒の家しかありませんでした。
時が過ぎて、あちらこちらから人々がやってきて、この山に住み始めて……。
 

見どころ

今回の見どころは、自分たちで始める力です。
ベネズエラの山に家が建てられ、どんどん人が住み始めます。
きれいな小川はどぶ川になり、山の中の道はゴミだらけになります。
この貧しい人々が暮らす地域は、バリオと呼ばれるようになります。
バリオでは子どもたちがたくさん生まれますが、子どもたちは空き地でしか遊ぶことができません。
さらにしばらくすると、空き地さえもなくなってしまい、子どもたちの遊び場はすっかりなくなってしまいます……。
そして、子どもたちは学校が終わると、サンホセ図書館に集まってきます。
しかし、外でしか出来ない遊びもあり、いざ外の道で遊ぼうとすると、トラックのおじさんに怒鳴られたりしてしまいます。
そして、しょんぼりした子どもたちは、市長さんに遊び場をつくってもらおうというアイデアを考え出しますが……。
この絵本では、遊び場所がない子どもたちが、自分たちで遊び場を作るまでが描かれています。
子どもたちは図書館員さんに教えてもらいながら、市役所に行く準備、公園をつくって欲しい旨をまとめます。
そして、様々な試みをしますが、市長さんが動いてくれないとわかると、
最終的には、子どもやその親たちで公園を作ろうと決心し、実行に移します。
最後のページでは、公園の前に自分たちで作った看板を取り付けるイラストがあります。
最初、子どもたちは遊び場もなく、途方にくれてしまいますが、
仲間や行動力、知識があれば、道は開けることを、この絵本が教えてくれます。
本当に叶えたいことがあるなら、思いを行動に移すことが大事です。
さらに、誰もやろうとしないなら、自分たちで動く勇気も、時には必要です。
勇気がわいてくる一冊です。
 

印象的なことば

なにも役所に全部やってもらわなくてもいいんじゃないか?
土地はあるんだから、おれたちで子どもたちの公園をつくってやろうじゃないか

 

カルリートスという子どもの、おじさんの言葉です。
他にやる人がいないなら、自分たちで自ら動き出そうという、力強い言葉です。
 

感想

13か国語で翻訳出版されている、ベネズエラのロングセラー絵本です。
私自身は、手に取るまで知らなかったのですが、
読んでみると納得の、素晴らしい絵本でした。
ベネズエラという国自体は、私自身あまり馴染みが無く暮らしていたのですが、
この絵本を読んで、少し身近に感じました。
歴史や街並みが、簡潔に絵本に収まっていて、
外国のことを知る上でも、絵本はいいツールになるのだと思いました。
特に、子どもたちに読んで欲しい一冊です。
 

 

道はみんなのもの

道はみんなのもの

  • 作者: クルーサ,モニカドペルト,Kurusa,Monika Doppert,岡野富茂子,岡野恭介
  • 出版社/メーカー: さえら書房
  • 発売日: 2013/01
  • メディア: 大型本
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ぼくを探しに

『ぼくを探しに』を読みました。

 

 

新装 ぼくを探しに

新装 ぼくを探しに

 

 

あらすじ

何かが足りない、それでぼくは楽しくない……。
そして、ぼくは足りないかけらを探しに行きます。
転がりながら、ぼくは歌いますが……。
 

見どころ

今回の見どころは、模索しながら見つけた大切なことです。
ぼくは、足りないかけらを探しに、歌いながら転がります。
雨の日もあれば、晴れの日もあります。
ぼくの体は欠けているので、あんまり速くは転がれません。
そして、立ち止まり、みみずとお話しします。
花の匂いをかいだり、カブトムシを追い越したり、追い越されたり……。
そして、海や山を越えて、
とうとうある日、かけらを見つけます。
しかし、かけらに拒否されてしまい、ぼくはがっかりしてまた転がります。
またかけらを見つけますが、今度は小さすぎたり、大きすぎたり……。
ぴったりのかけらを見つけても、しっかりはめておかなくて、落としたり、壊したり……。
そして、またどんどん転がっていきます。
途中、無茶をしたり、石の壁にぶつかったり……。
そしてある日、ぼくにぴったり合いそうなかけらに出会います。
合わせてみると、なんとぴったり!
喜んで転がりますが、あまりにも調子よく転がるため、みみずと話すことも、花の香りを嗅ぐことも、
蝶に止まってもらうこともできません……。
楽しい歌を歌おうと試みても、まるくなったらちっともうまく歌えません。
ぼくは気付きを得て、転がるのをやめ、かけらを下ろし、ゆっくり転がっていきます。
そして、また歌いながら転がります……。
この絵本では、ぼくが回り道して試行錯誤した後に、大切なことに気付くまでが描かれています。
人生において、何かが足りないと感じることは、多くの人が経験すると思います。
今が割と満たされていても、満たされていなくても、誰もが多かれ少なかれ感じることです。
そんな時、人はその足りないものを探そうとします。
時には、回り道をしたり、壁にぶつかったり、失敗してしまったり……。
それでも、何かを求めて試行錯誤します。
でも、たとえ何かをみつけたとしても、人生はそれで終わりではありません。
その何かと、最初はうまくいっても、段々うまくいかなくなったり、相性が悪いことがわかったり……。
この絵本では、人生で大事なことが、たくさん詰まっています。
この絵本で僕が探してるかけらは、現実世界に置き換えると、恋愛・仕事・趣味・友達、さらには地位や名誉、成功、人に認めてもらいたい承認欲求、またはゆっくりする時間、癒し、楽しみだったりします。
でも、それを得たら、完全に幸せになれるでしょうか?
この絵本が教えてくれることはたくさんありますが、
その中でもまず、足りないままの自然体な自分を認めること。
次に、足りないものを見つけて、自分を補完しても、必ずしも幸せにはならないこと。
そして、足りない何かを探す過程にこそ、実は人生において楽しいこと、大切なことがある、ということです。
だから、模索したり、試行錯誤することに、意味があるのです。
それらがない人生は、味気ないのです。
日々の何気ない行動や考えが、ひとつひとつ意味があって、大切なことが伝わってくる絵本です。
些細なことを楽しめる感受性を持ちたいですね。
 

印象的なことば

なるほど
つまりそういうわけだったのか

 

ぼくが気付きを得た言葉です。
ここでぼくはようやく大切なことに気付きます。
その意味でも、大事な瞬間の言葉です。
 

感想

まさに、名作絵本のひとつです。
まるで、絵本一冊が素晴らしい音楽のようで、
読み終えると、1曲聴き終わった感じです。
メロディが聴こえてくるようでもあり、特に歌詞=言葉が素晴らしいです。
人生で大切なことが詰まっていて、
抽象的でありながら、的確なのは本当に素晴らしいです。
世の中の子どもたちにも読んでほしいですが、
やはり色々経験してきた大人にこそグッとくるものがあると思います。
既に多くの方に読まれていますが、これからも読み継がれて欲しい一冊です。
 

 

新装 ぼくを探しに

新装 ぼくを探しに

 

 

 

 

 

 

 

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わすれられないおくりもの

『わすれられないおくりもの』を読みました。

 

 

わすれられないおくりもの (児童図書館・絵本の部屋)

わすれられないおくりもの (児童図書館・絵本の部屋)

 

 

 

あらすじ

アナグマはかしこくて、いつもみんなから頼られています。
困ってる友達を、誰でも助けてあげます。
それに、かなり歳をとっていて、物知りです。
アナグマは、自分の歳だと死ぬのがそう遠くはないことも知っていて……。
 

見どころ

今回の見どころは、亡くなっても残るものです。
アナグマは、死ぬことを恐れません。
なぜなら、死んで身体がなくなっても、心は残ることを知っていたからです。
ただ、後に残していく友人たちが気がかりでした……。
夜になり、アナグマは家へ帰ります。
夕ご飯を終えて、手紙を書き、揺り椅子に揺られていると眠ってしまいます。
そして、不思議な素晴らしい夢を見ます……。
次の日の朝、キツネがみんなに伝えます。
アナグマは亡くなってしまったのです……。
キツネは、アナグマが残した手紙を読みます。
アナグマは、森のみんなの人気者でしたので、みんなは悲しみに暮れます。
とりわけ、モグラは深い悲しみに包まれます。
その夜雪が降り、冬が始まります……。
みんなは、アナグマの不在に途方に暮れます。
そして、春が来ると、みんなは互いに行き来して、アナグマの思い出を語り合います……。
モグラの切り抜き、カエルのスケート、キツネのネクタイ、ウサギの奥さんの料理……。
それらの思い出には、いつもアナグマが居ました。
ある春の日に、モグラは丘に登り、アナグマにお礼を言います……。
この絵本では、森の動物たちがアナグマの喪失から立ち直り、アナグマが残してくれたものに感謝できるようになるまでが描かれています。
大事なひとが亡くなると、まわりのみんなは悲しみに暮れます。
悲しみに暮れることは自然なことで、必要なことでもあります。
しかし、いつまでも悲しみに暮れてばかりでは、生活ができません。
アナグマの言うように、死んで身体がなくなっても、心は残るのです。
また、その心は、人々の心の中に生き続けます。
アナグマが教えてくれた、暮らしの知恵や技はいつまでもなくなりません。
それを大切にすることが、みんなが幸せになる方法でもあるのです。
 

印象的なことば

長いトンネルの むこうに行くよ
さようなら アナグマより

 

アナグマの最期の手紙の言葉です。
天国、あちらの世界、あの世など、様々な言い方がありますが、
長いトンネルの向こうという表現は、なかなかいい表現だと思います。
上下に分けられていなくて、トンネルを通じて横に繋がっているような、そんな感覚でしょうか。
みんなを悲しませないように配慮した、アナグマの思いが伝わってきます。
 

感想

有名な絵本のひとつです。
「死ぬまでによみたい絵本」というブログのテーマにもピッタリ合っている一冊だと思います。
まさに王道の感動的な絵本で、生と死が子どもでもわかるように、描かれています。
また日本語のタイトル「わすれられないおくりもの」というのがいいです。
原題は、「BADGER’S PARTING GIFTS」です。
訳すと、「アナグマの別れの贈り物」になります。
こちらもいいのですが、わかりやすいというか、ちょっと直接的な感じがしますね。
日本語版の奥ゆかしい感じが、逆に印象的です。
生と死について考えさせられる名作です。
 

 

わすれられないおくりもの (児童図書館・絵本の部屋)

わすれられないおくりもの (児童図書館・絵本の部屋)

 

 

 

 

 

 

 

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ずーっとずっとだいすきだよ

『ずーっとずっとだいすきだよ』を読みました。

 

 

ずーっと ずっと だいすきだよ (児童図書館・絵本の部屋)

ずーっと ずっと だいすきだよ (児童図書館・絵本の部屋)

 

 

 

あらすじ

エルフィーと僕は、一緒に大きくなりました。
でも、エルフィーの方がずっと早く大きくなりました。
僕らはいつも一緒に夢を見て……。
 

見どころ

今回の見どころは、言葉にすることの大切さです。
エルフィーは、僕の飼い犬で、一緒に大きくなりました。
お兄さんや妹も、エルフィーのことが大好きでしたが、エルフィーと僕は一番の仲良しでした。
エルフィーと僕は、毎日一緒に遊びました。
時々、エルフィーが悪さをすると、僕の家族はすごく怒りました。
でも、エルフィーのことをみんな大好きでした……。
いつしか時が経ち、僕の背が伸びる間に、エルフィーはどんどん太っていき、歳を取り、寝ていることが多くなります……。
僕らはエルフィーを獣医さんのもとに連れて行きますが、獣医さんに出来ることは何もありませんでした。
まもなくエルフィーは階段も登れなくなりますが、僕はエルフィーを自分の部屋に連れて行きます。
僕はエルフィーに柔らかいまくらをやり、寝る前には必ず「大好きだよ」と言います。
そして、ある朝お別れがやってきて……。
この絵本では、僕とエルフィーの特別な絆が描かれています。
ふたりは、お別れの日が来るまで、ずっと仲良しでした。
そして、その絆は、お別れが来ても続きます。
僕はエルフィーに、気持ちを言葉にして、「大好きだよ」と伝えます。
他の家族は気持ちはあっても、実際に言葉にしてエルフィーに伝えることは、エルフィーが生きている間にはあまりなかったようです。
やはり、気持ちを言葉にして伝えることは大切なことです。
普段は当たり前過ぎて言わないこともあると思います。
でも、それはその人がいなくなったら、後悔という形になってやって来ます。
それは、人だけでなく、動物に対しても同じです。
思っているだけではなく、敢えて口に出して伝えることで、初めて分かることもあります。
後悔しないためにも、相手や今この瞬間を大切にするためにも、気持ちを言葉にして伝えたいですね。
 

印象的なことば

すきなら、すきと
いってやればよかったのに
だれも、いってやらなかった。
いわなくっても、わかると
おもっていたんだね。

 

僕の言葉です。
胸に突き刺さる言葉ですね。
これは、家族、友人、恋愛でも言えることだと思います。
もし大事な人がいたら、気持ちを言葉にして伝えてみてください。
きっと、相手の方も自分も、その方が幸せだと思います。
 

感想

ご存知の方が多いと思われる、有名な絵本です。
表紙の、僕がエルフィーの肩を抱いている後ろ姿のイラストも印象的です。
言葉にして伝えることの大切さが、ひしひしと伝わってくる一冊です。
犬やペットを飼ったことがある方なら、気持ちがよくわかると思います。
エルフィーが可愛くて、胸が打たれます。
子どもから大人までオススメしたい、名作絵本です。
 
 

 

ずーっと ずっと だいすきだよ (児童図書館・絵本の部屋)

ずーっと ずっと だいすきだよ (児童図書館・絵本の部屋)

 

 

 

 

 

 

 

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マッチ箱日記

『マッチ箱日記』を読みました。

 

 

マッチ箱日記

マッチ箱日記

  • 作者: ポールフライシュマン,バグラムイバトゥーリン,Paul Fleischman,Bagram Ibatoulline,島式子,島玲子
  • 出版社/メーカー: BL出版
  • 発売日: 2013/08/01
  • メディア: 大型本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

あらすじ

ある日、ひいおじいちゃんがひ孫の女の子を部屋に招いて、話しています。
ひいおじいちゃんは、ひ孫に「この部屋の中で一番好きなものを選んでごらん」と言います。
ひ孫が箱を選ぶと……。

見どころ

今回の見どころは、大切なものと思い出です。
ひいおじいちゃんは、ひ孫に箱の中を見せます。
そこには、小さなマッチ箱がたくさんあります。
ひいおじいちゃんは、マッチ箱が日記だと言います。
子どもの頃、読み書きができなかったひいじいちゃんは、マッチ箱にその日の思い出を入れることにしたと言います。
そして、ひいじいちゃんは、ひと箱ずつ取り出し、中身と思い出を語ります。
オリーブの種、父さんの写真、マカロニ、ビンのふた……。
ひいじいちゃんから、ひ孫に思い出話が語られます……。
この絵本では、イタリアからの移民としてアメリカで過ごしたひいじいちゃんの人生が描かれています。
ひいじいちゃんから、ひ孫に語りかけるというスタイルで、物語は進行します。
イタリアからの移民として、アメリカで暮らすことは、当時はとても大変だったようです。
そんな中でも、諦めず懸命に生きるひいじいちゃんの姿に、心動かされます。
マッチ箱に入った思い出の品々は、まさにひいじいちゃんが生きた証でもあります。
大切なものと思い出は決して古びることなく、新しい世代へと伝えられていく。
そのことの尊さが伝わってくる絵本です。

印象的なことば

そうなんだね。もうすぐ字が書けるようになるぞ。それまでは、おまえの大事なものを集めておくんだな、ひいじいちゃんみたいに。
ひいじいちゃんの言葉です。
この言葉を受けて、最後のページでは、ひ孫の女の子が箱に大事な小物を入れている姿が描かれています。
ひいじいちゃんからひ孫へ、日記が受け継がれたのです。

感想

タイトルと、表紙の箱にマッチ箱がたくさん詰まったイラストから、興味を持ち読みました。
なんとなく表紙から名作の予感がしましたが、内容も予想を裏切ることなく、名作絵本です。
ひいじいちゃんの今までの人生が、感動的に描かれています。
このページ数で、これほどの歴史を語れるんだとびっくりしました。
魅せ方が上手な絵本だなぁと感心しました。
おじいちゃんやおばあちゃんが、孫に読み聞かせてあげたら、雰囲気が出ていいかもしれません。
子どもから大人まで楽しめる、正統派の絵本です。
 

 

マッチ箱日記

マッチ箱日記

  • 作者: ポールフライシュマン,バグラムイバトゥーリン,Paul Fleischman,Bagram Ibatoulline,島式子,島玲子
  • 出版社/メーカー: BL出版
  • 発売日: 2013/08/01
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お月さまってどんなあじ?

『お月さまってどんなあじ?』を読みました。

 

 

お月さまってどんなあじ?

お月さまってどんなあじ?

  • 作者: マイケル・グレイニエツ,Michael Grejniec,泉千穂子
  • 出版社/メーカー: セーラー出版
  • 発売日: 1995/09/09
  • メディア: 大型本
  • 購入: 1人 クリック: 12回
  • この商品を含むブログ (32件) を見る
 

 

あらすじ

お月さまってどんなあじだろう?
動物たちはいつもそう思っていました。
ある日、小さなカメがある決心をします……。
 

見どころ

今回の見どころは、みんなで力を合わせて目標を達成することです。
小さなカメは、一番高い山に登り、お月さまをかじることを決めます。
カメはてっぺんまで行きますが、お月さまには届きません……。
そこで、カメはゾウを呼びます。
カメの上にゾウが乗りますが、まだ届きません。
それから、キリン、シマウマ、ライオン、キツネなど、順次動物たちを呼んではチャレンジしますが、なかなかお月さまには届きません……。
そこで、ついにサルがネズミを呼びます。
すると、ようやくネズミがお月さまをかじります。
お月さまはなんともいい味で、ネズミは他の動物にもひと口ずつ分けてあげます。
お月さまのかけらは、みんながそれぞれ一番好きなものの味がします。
その夜、動物たちはみんなで一緒に眠ります……。
この絵本では、みんなで力を合わせて目標を達成することの楽しさが描かれています。
最初は、小さなカメの決心から始まり、色々な動物の仲間を集め、最後には本当にお月さまをかじります。
これは、決してひとりでは叶えられなかったことです。
仲間の大切さ、みんなで何かを達成する喜び、そこからしか見えない景色、味わえないものが、この絵本から伝わってきます。
最後のページには、ずっと動物たちのことを見ていた、ひとりぼっちのサカナが出てきます。
サカナは、どうしてあんなに遠いお月さまを動物たちが取ろうとしたのか、納得がいきません。
こんなに近くの水面に映るお月さまがあるのにと……。
確かに水面に浮かぶお月さまの方が簡単に手が届きます。
しかし、他の動物たちが経験した連帯感や団結力、さらにそこからしか見えない景色、味わえないもの、それらは決してひとりだけでは到達できない地点であり経験です。
だから、大変でもやる価値が大いにあるものなのです。
仲間で何かを達成することの大切さが伝わってくる絵本です。
 

印象的なことば

どうして、あんなにとおいお月さまをとろうとしたんだろうね。もうひとつあるのにさ、ほら、この水のなかに
最後のページにある、サカナの言葉です。
これはこれで一理あるのですが、
やはり大変な思いをしないと手に入らないものもあるのだということが、
この言葉から、逆に連想されます。
 

感想

お月さまの表紙が印象的な絵本です。
私自身、チームプレーよりも個人競技の方が好きだし得意なのですが、
たまには、こういう団結力っていいなぁと感じる絵本です。
子どもから大人まで、楽しみながらチームプレーの良さを実感できます。
個人的にも、お月さまの味が気になります。
きっと、美味しいんでしょうねぇ。
子どもから大人まで楽しめる絵本です。
 

 

お月さまってどんなあじ?

お月さまってどんなあじ?

  • 作者: マイケル・グレイニエツ,Michael Grejniec,泉千穂子
  • 出版社/メーカー: セーラー出版
  • 発売日: 1995/09/09
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手ぶくろを買いに

『手ぶくろを買いに』を読みました。

 

 

手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)

手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)

 

 

 

あらすじ

寒い冬が、きつねの親子の棲んでいる森にもやってきます。
ある朝、洞穴から子どものきつねが出ようとしますが……。
きつねの親子と人間社会を描いた名作です。
 
見どころ
今回の見どころは、捨てたもんじゃない人間社会です。
きつね親子が棲む森に、冬がやってきます。
目に何か刺さったと感じた坊やは、お母さんに駆け寄ります。
しかし、それは雪の反射のせいでした。
坊やは、雪を知らなかったのです。
雪が積もった中、坊やは遊びに出かけます。
まもなく坊やが洞穴へ帰ってくると、坊やの手はかじかんでいます。
お母さんは夜になったら町へ行って、坊やに毛糸の手袋を買ってあげようと思います。
夜に親子は出かけていくと、街の灯が見えてきます。
お母さんは、昔町へ行ってひどい目に遭ったことを思い出し、足がすくみます……。
仕方なく、坊やだけをひとりで町まで行かせることになります。
そして、お母さんは坊やの片方の手を、可愛い人間の手にします。
お母さんは坊やに、手袋の買い方、人間の怖さを教え、お金を与えます。
坊やは、街の灯を目当てに、野原を歩きます。
やがて町に入り、坊やは帽子屋を見つけます。
坊やは戸を叩き、戸が開くとまばゆい光が差し込みます。
そのせいで、坊やは間違った方の手を隙間から差し込んでしまいます……。
帽子屋さんはきつねの手だと気付き、先に代金を請求しますが、坊やがちゃんとお金を払ったので、子供用の手袋を坊やに持たせてあげます。
坊やは窓から人間の子守唄を聞き、うっとりします。
坊やは人間親子の会話を聞いて、急にお母さんが恋しくなり、お母さんの待つ場所へ向かいます。
お母さんは坊やを心配していたので、坊やを抱きしめ、泣きたいほど喜びます。
帰り道、坊やは人間は怖くなかったと言います。
お母さんは呆れながらも、人間はいいものかしらとつぶやくのでした……。
この絵本では、捨てたもんじゃないなと思わせる人間社会が、きつね親子の視点から描かれています。
お母さんも、人間のことを100パーセント信頼したわけではないけれど、人間の優しさも感じたのだと思います。
坊やも、人間の優しさを、町に行ったことにより、身近に感じたことでしょう。
殺伐とした世の中にも、優しさは見いだせる、そんな希望が見えてくる物語です。
 

印象的なことば

ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら。
最後のページにある、お母さんの言葉です。
戸惑い、少し信頼したい気持ちが混ざり合った、素直な気持ちだと思います。
お母さんの気持ちがよく表れた言葉です。
 

感想

言わずと知れた名作絵本です。
私が小学生の頃にも、教科書に載っていたと思います。
淡いイラストが印象的で、
文章も詩的で自然の描写も美しく、
内容もテーマが明確で、
まさに名作と呼ばれるにふさわしい絵本です。
小学生の頃に読んでから、ずっと印象に残ってました。
100パーセント人間を信用したわけではないけど、人間社会も捨てたもんじゃないなと思える、人間の優しさも描かれていて、希望を感じます。
大人になってから読み返すと、お母さんの目線で読む方も多いかなと思いました。
人生で一度は読みたい絵本です。
 

 

手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)

手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)

 

 

 

 

 

 

 

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