死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

パセリともみの木

『パセリともみの木』を読みました。

 

パセリともみの木

パセリともみの木

 

 

あらすじ

 

深い緑の森の外れに、1本の古いもみの木がありました。

 

もみの木は、切り立った崖を見下ろすように立っていました。

 

その昔、もみの木は、黄緑の柔らかな腕をいっぱいに広げながら育ちました。

 

しかし、やがてもみの木は、厳しい環境に適応するために、崖の淵を這うように大きくなっていきました。

 

ますます大きくなったもみの木に、やがてシカが住み着いて……。

 

シカともみの木がお互いを大事にしながら暮らす姿が描かれた絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、動物と植物の共生です。

 

深い森の外れに、1本の古いもみの木がありました。

 

もみの木は、切り立った崖を見下ろすように立っていました。

 

その昔、もみの木は、黄緑の柔らかな腕をいっぱいに広げながら、育ちました。

 

しかし、もみの木は、やがて気が付きます。

 

崖から吹き付ける風や雪のため、ここで生きていくのなら、厳しい自然と闘わなければならないのです。

 

もみの若木は、岩にしっかりとしがみつき、奥へと根を張りながら、ゆっくり大きくなりました。

 

一方で、森の木々は、まっすぐに伸びていきます。

 

やがて、まっすぐな木は、人間に切り倒されました。

 

何代にも渡って、それが繰り返されていくのを、もみの木はずっと見守っていました。

 

人間は、ふもとの村へ切った木を運び、板にしました。

 

そして、家具やおもちゃ、馬車や船などを作りました。

 

切られても、切られても、まっすぐな木は、すぐにまた伸びていきました。

 

一方、崖に立つねじ曲がったもみの木を欲しがる人は、いませんでした。

 

もみの木は、さらに大きくなり、みどりのテントのようになりました。

 

やがて、そこにシカが住み着きました。

 

シカはそこで子どもを育て、シカともみの木は互いに助け合い、仲良く歳をとっていきました。

 

シカは、パセリが大好きで、毎日たくさん食べていました。

 

そのおかげで、シカは歳を取っても、たいへん元気でした。

 

老いたシカは、孫たちや他の動物にも、パセリを食べるように言いました。

 

そして、いつかシカは、パセリと呼ばれるようになりました。

 

もみの木が年老いて、その下で暮らすことができなくなっても、パセリは毎日もみの木に会いにいきました。

 

そして、幹に体を寄せ、深い谷を見下ろしました。

 

もしも、猟師がやってきたら、すぐに森で遊ぶ孫たちに教えてやるためです。

 

そんな朝、ふもとの村では、猟師がよく見える双眼鏡で、シカを見つけてしまいました。

 

猟師は、そっと岩に登り、切り立った崖の上に辿り着きました。

 

何も知らないシカは、静かに草を食べています。

 

猟師は、もみの木に寄りかかり、鉄砲をまっすぐに構えました。

 

そして、引き金に指をかけた瞬間、もみの木は小さな声で、パセリに危険を知らせました。

 

突然強い風が吹き、もみの枝がねじれて跳ね返り、猟師の肩を打ちました。

 

よろけた拍子に、猟師は根に足を取られ、勢い良くひっくり返り、そのまま谷底に落ちていきました。

 

後には、双眼鏡がもみの枝に揺れていました。

 

猟師の肩から、もみの木が素早く抜き取ったのです。

 

パセリは、もみの木に何度もお礼を言いました。

 

それから、パセリは双眼鏡を覗いて、谷を見張りました。

 

おかげで、猟師たちは、動物たちに近づくことはできませんでした。

 

そうして、パセリともみの木は、仲間とともに、幸せに暮らしました。

 

この絵本では、自然の中で、動物と植物がともに暮らしていく姿が描かれています。

 

シカともみの木は、生きていくために、自然に適応しながら、協力して暮らしていきます。

 

絵本の中では、シカともみの木が、お互いに支え合いながら、友情を育み、ともに暮らしています

 

その姿は、人間が足を踏み入れることのできない、崇高なもののようです。

 

シカともみの木がともに暮らす様子は、感動的です。

 

自然を大切にしようと、心から思える一冊です。

 

印象的なことば

 

ありがとう ともよ、 ほんとうに ありがとう!

 

パセリの言葉です。

 

もみの木に命を助けてもらい、パセリがもみの木にこう言います。

 

ふたりの信頼関係や強い絆が、感じられます。

 

感想

 

シカともみの木がともに暮らす様子が描かれた絵本です。

 

この絵本の作者のベーメルマンスは、マドレーヌシリーズの作者としても有名な作家です。

 

 

マドレーヌのクリスマス

マドレーヌのクリスマス

 

 

 

私も小さな頃に、マドレーヌを見て育ったので、マドレーヌが大好きなのですが、ベーメルマンスの他の作品は、今回が初めてでした。

 

今回読んだこの絵本は、この作品単独でも素晴らしいものです。

 

マドレーヌシリーズを読んだことのある人も、ない人も、どちらにもオススメです。

 

クリスマスに読みたい一冊です。

 

 

パセリともみの木

パセリともみの木

 

 

 

 

 

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くものすおやぶんとりものちょう

『くものすおやぶんとりものちょう』を読みました。

 

 

くものすおやぶん とりものちょう (こどものとも傑作集)

くものすおやぶん とりものちょう (こどものとも傑作集)

 

 

あらすじ

 

虫の街は、春爛漫で賑わっています。

 

くものすおやぶんは、はえとりのぴょんきちを連れ、街の見回りをします。

 

明日は、虫の街で春祭りが開催されます。

 

お菓子屋さんのありがたやの前を通ると、店員がおやぶんのもとへ駆け寄ってきて……。

 

くものすおやぶんが街の平和のために大活躍する絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、くものすおやぶんの活躍です。

 

春爛漫の虫の街では、桜の花が咲き乱れ、街は賑わっています。

 

そんな中、くものすおやぶんは、はえとりのぴょんきちを連れ、街の見回りをしています。

 

明日は、虫の街で春祭りが行われます。

 

お菓子屋さんのありがたやの前を通りかかると、店員がおやぶんのもとへ駆け寄ってきます。

 

店員は、盗人から手紙が届いたので、助けて欲しいと言います。

 

店の奥の座敷で、おやぶんが盗人からの手紙を見てみると、それは盗みの予告状でした。

 

蔵の中には、春祭りのために用意されたお菓子がたくさん入っているため、それを盗みにくるようです。

 

そして、おやぶんはへそから糸を繰り出して、蔵にぐるぐるとくもの巣をはり、盗人が蔵に入れないようにします。

 

夜になると、おやぶんとぴょんきちは、庭の桜の木に登り、盗人を待ちます。

 

そこに、真っ白い雲のようなものがやってきて、蔵の扉に体当たりし、蔵の中へと入っていきます。

 

真っ白い雲は、盗人のかくればねだったのです。

 

おやぶんとぴょんきちが、蔵の中へ入ると、お菓子が宙を舞っています。

 

そして、お菓子を入れたまゆの袋が動き出すと、思わずぴょんきちが袋に飛びつきます。

 

ぴょんきちは、袋をつかみ大暴れします。

 

すると、まゆの袋は家の中に突っ込みます。

 

おやぶんが駆けつけると、かくればね三兄弟が逃げ出します。

 

おやぶんとぴょんきちは、それを追いかけます。

 

おやぶんが外に出ると、風もないのにやけに桜が散ることに気付きます。

 

そこで、おやぶんが桜の木に向かって糸を繰り出すと、見事にかくればね三兄弟を捕らえます。

 

三兄弟も、「参りました」と頭を下げます。

 

夜が明け、春祭りが開催されます。

 

おやぶんに引き連れられてやってきたかくればねたちは、お菓子を詰めたまゆを運んでお詫びの奉公をします。

 

その後、かくればねたちは、盗人から足を洗い、街の運送屋として働いています。

 

おやぶんは、一件落着とにっこり微笑みます。

 

この絵本では、くものすおやぶんとぴょんきちが、街の安全のために、活躍する姿が描かれています。

 

おやぶんは、明晰な頭脳と糸の技で、盗人を捕まえます。

 

そんなおやぶんは、街の頼れるヒーローです。

 

おやぶんのかっこいい姿が描かれている、子どもも大人も必見の一冊です。

 

印象的なことば

 

これで いっけんらくちゃくだ

 

くものすおやぶんの言葉です。

 

問題を解決したおやぶんは、にっこりと微笑みます。

 

感想

 

くものすおやぶんが大活躍する絵本です。

 

虫の街の風景が、細かく描かれていて、見ていて飽きません。

 

文章のリズムも良く、楽しんで読める絵本です。

 

くものすおやぶんもかっこいいのですが、子分のぴょんきちがすごく可愛いです。

 

ついつい、ぴょんきちを目で追ってしまいます。

 

また、お菓子がカラフルで、見た目も可愛くて、美味しそうです。

 

虫というと、苦手な方も多いと思いますし、実際私も苦手です。

 

しかし、この絵本は、そんな虫嫌いな方でも、楽しめる作品だと思います。

 

虫のキャラクターたちは可愛くて、風景も綺麗で、ストーリーも面白いので、誰もが楽しめる作品になっています。

 

大人が楽しむのもいいですし、子どもに読んであげるのもいいと思います。

 

家族で楽しめる一冊です。

 

 

くものすおやぶん とりものちょう (こどものとも傑作集)

くものすおやぶん とりものちょう (こどものとも傑作集)

 

 

 

 

 

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どんなかんじかなぁ

『どんなかんじかなぁ』を読みました。

 

どんなかんじかなあ

どんなかんじかなあ

 

 

あらすじ

 

友達のまりちゃんは、目が見えません。

 

ひろくんは、見えないってどんな感じかなと思い、考えを巡らせます。

 

ひろくんは、目をつぶってみることにします。

 

すると、色々な音が聞こえてきて……。

 

ひろくんが友達の立場になって考えを巡らせ、様々なことに気付くお話です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、相手の身になって考えることです。

 

ひろくんの友達のまりちゃんは、目が見えません。

 

ひろくんは、目が見えないってどんな感じかなぁと思い、しばらく目をつぶってみます。

 

すると、色々な音が聞こえてきます。

 

ひろくんは、驚いて目を開けます。

 

そして、まりちゃんに会った時に、「見えないってすごいんだね」と、体験したことを語ります。

 

まりちゃんは笑って、「ひろくんって、変わってる」と言います。

 

もうひとりの友達、さのくんは、耳が聞こえません。

 

ひろくんは、聞こえないってどんな感じかなぁと思い、しばらく耳をふさいでみます。

 

すると、ひろくんは、お母さんの顔のほくろの数を初めて知ります。

 

そして、さのくんに会った時、「聞こえないってすごいんだね」と、体験したことを語ります。

 

さのくんは、「ひろくん、考えすぎー」とふきだします。

 

別の友達のきみちゃんは、お父さんもお母さんもいません。

 

ひろくんは、それがどんな感じかなぁと思い、一生懸命考えますが、わかりません。

 

そして、きみちゃんがきた時に、「きっと、すごく寂しいんだろうね」と聞いてみます。

 

きみちゃんは、ちょっと考えてから「そうでもないよ」と言います。

 

そして、次の日曜に、きみちゃんがひろくんのもとにきて、1日じっと動かないでみたと言います。

 

ひろくんは、どんな感じだったか聞きます。

 

きみちゃんは、「じっとして空を見ていたら、いつもの100倍くらい、色んなことを考えたし、わかったこともたくさんあった」と言います。

 

きみちゃんは、ひろくんのことを学者みたいだと褒めます。

 

ひろくんは、照れくさくて笑います。

 

今日もひろくんは、いつものように考えます。

 

宇宙のこと、分子のこと、古代のこと……。

 

それから、動けるってどんな感じかなぁとも。

 

この絵本では、ひろくんが障害のある友達の立場になって考えることで、物語が展開していきます。

 

ひろくんは、目の見えない友達や耳が聞こえない友達、さらには両親を災害で亡くした友達の立場になって、その友達がどういう風に感じているかを考えます。

 

そして、色々なことを感じ、感じたことを友達に話します。

 

さらに、物語が進んでいくと、ひろくん自身も障害を持っていることがわかります。

 

ひろくんは、車椅子に乗っています。

 

そして、友達のきみちゃんが、ひろくんの立場になり、1日動かないでみたと話しかけてきます。

 

きみちゃんは、動かないでいたことによって体験したことを、ひろくんに伝えます。

 

みんなが友達の立場になって考え、その友達の日常を想像することで、友達のすごさに気付きます。

 

相手の身になって考えることは、大事なことだと知りながら、なかなか実行することは難しいものです。

 

しかし、この絵本に登場するひろくんたちは、実際に相手の立場になって考えます。

 

そして、色々なことに気付きます。

 

相手になることはできませんが、相手の立場になって考えることはできるのです。

 

そこには、思いやりと想像力があります。

 

大事なことに気付かされる、そんな絵本です。

 

印象的なことば

 

うごけないって、すごいことなのかもしれないね。

ぼくって、すごいのかもしれないね。

 

 

ひろくんの言葉です。

 

きみちゃんの言葉を受けて、ひろくんはこう感じます。

 

他人に言われて、初めて気付くことってありますよね。

 

ひろくんの自信に満ちた表情が、ページいっぱいに描かれています。

 

感想

 

ひろくんが友達の立場になって、考えを巡らす絵本です。

 

シンプルなストーリーの中に、普段私たちが見落としがちな、大切なことが詰まっています。

 

相手の立場になって考えようと、学生時代に教えられた経験がある人も多いでしょう。

 

しかし、大人になって、それを実行できている人は、多くはないと思います。

 

相手の立場になって物事を考えるのは、なかなか大変なことです。

 

完全に相手の立場になることは無理でも、相手の気持ちを考えられる想像力のある人になりたいなと、改めてこの絵本を読んで思いました。

 

子どもはもちろんのこと、大人にも読んで欲しい絵本です。

 

 

どんなかんじかなあ

どんなかんじかなあ

 

 

 

 

 

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ぼうし

『ぼうし』を読みました。

 

ぼうし

ぼうし

 

 

あらすじ

 

冬がやってきます。

 

リサは冬物を出し、外に運びます。

 

冬物を物干しに吊るして、風に当てると、靴下が片方吹き飛ばされてしまいます。

 

そこに、はりねずみのハリーがやってきて、靴下を見つけますが……。

 

動物たちが繰り広げる、ぼうしにまつわる楽しい絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、動物たちのぼうしです。

 

冬がくる頃、リサは冬物を出し、外に運びます。

 

リサが物干しに冬物を吊るすと、靴下が片方吹き飛ばされてしまいます。

 

そして、はりねずみのハリーが靴下を見つけます。

 

ハリーが靴下を鼻につっこむと、はりが刺さって抜けなくなってしまいます。

 

そこに、雌鶏のお母さんとひよこがやってきます。

 

雌鶏のお母さんが、ハリーに何をかぶっているのか聞くと、ハリーは「新しいぼうし」と答えます。

 

雌鶏が何か言いたげに首をかしげると、走っていきます。

 

その後も、ガチョウやねこ、犬や豚が、ハリーのぼうしをからかいます。

 

そして、子馬がハリーのぼうしをからかうと、ついにハリーの堪忍袋の緒が切れます。

 

ハリーは、子馬にガミガミと怒鳴ります。

 

子馬は、驚いて走っていきます。

 

ハリーは、みんなに笑われてうんざりし、ひとりになりたかったのです。

 

そこに、もう片方の靴下を手に、リサが走ってきます。

 

ハリーは笑われるのが嫌で、とっさに逃げ出します。

 

リサはハリーに追いつき、靴下を外します。

 

ハリーは巣穴に戻り、リサは物干し場に向かいますが……。

 

綱からは、冬物が全部消えています。

 

そして、リサはびっくりするような光景を目にします。

 

なんと、動物たちが冬物をぼうしにして、走り回っているのです。

 

リサは、動物たちを追いかけ、ハリーがそれを巣穴の前で眺めます。

 

この絵本では、はりねずみのハリーをはじめ、たくさんの動物が登場します。

 

最初は、好奇心から靴下に近づいたハリーですが、とんだ災難に巻き込まれてしまいます。

 

はりが刺さって、靴下が取れなくなってしまったのです。

 

その姿が滑稽で、動物たちはハリーを笑い者にします。

 

しかし、ハリーをからかっていた動物たちも、本当はぼうしが欲しくてたまらなかったのです。

 

最後には、動物たちみんなが、リサの冬物を盗んで、それをぼうしにしてしまいます。

 

動物たちのぼうしをかぶった姿が、面白おかしく、なんとも微笑ましい光景です。

 

冬になったら家族で読みたい、そんな絵本です。

 

印象的なことば

 

ぼくも わたしも これで すてきな ぼうしもち!

 

動物たちの言葉です。

 

動物たちは、リサの冬物をぼうしにして、喜んで駆け回ります。

 

動物たちの楽しい気持ちが伝わってきます。

 

感想

 

ぼうしをめぐる、動物たちの物語です。

 

可愛い動物たちの姿に、心が癒されます。

 

特に、はりねずみのハリーの可愛さは、ずば抜けています。

 

イラストが細部までしっかりと描かれていて、子どもから大人まで楽しめます。

 

作者のジャン・ブレットは、実際にバフィーというはりねずみを飼っているそうで、バフィーはこの絵本のモデルだそうです。

 

だから、ハリーの描写がリアルなのですね。

 

ジャンは旅行が好きで、家族と一緒に世界中を旅しているそうです。

 

ある時、デンマークのフュン島を訪れ、そこで散歩とスケッチをして過ごした経験が、この絵本に生かされているそうです。

 

デンマークのフュン島は、作家のアンデルセンが生まれた美しい島だそうです。

 

冬になったら、大人から子どもに読み聞かせてあげたい一冊です。

 

 

ぼうし

ぼうし

 

 

 

 

 

 

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終わらない夜

『終わらない夜』を読みました。

 

終わらない夜

終わらない夜

 

 

あらすじ

 

想像してごらん……。

 

夜に、かたく冷たい雪のシーツから、「ついてきて」と誰かが囁きます。

 

夜、眠れないときに、飛び上がり、舞い上がると……。

 

終わらない夜の旅が描かれた不思議な絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、想像力を掻き立てられる夜の世界です。

 

この絵本では、カナダの画家のロブ・ゴンサルヴェスの絵に、セーラ・L・トムソンが詩を添えています。

 

そこには明確なストーリーはなく、代わりに読者が想像力を掻き立てられる世界へ引き込まれるようになっています。

 

舞台は夜の世界で、1ページごとに絵と文章が現れます。

 

静寂な世界が広がっていて、なんとも不思議な魅力に溢れています。

 

読者は、美しくてどこか不気味な世界に、足を踏み入れることになります。

 

ページをめくるたびに、その世界観に引き込まれます。

 

まるで、不思議な夢を見ているかのような感覚に陥ります。

 

まさにタイトルのように、終わらない夜の世界が広がっています。

 

あなたも、終わらない夜の世界を旅してみませんか?

 

不思議な夜の世界を冒険できる、魅力的な一冊です。

 

印象的なことば

 

夜、ろうそくの火が またたいて さびしい星に ウィンクする。

 

今回は、ストーリーの言葉ではなく、作家のセーラ・L・トムソンの詩が絵本の全編に添えられているため、どの言葉を選ぼうか悩みましたが、絵本の中で一番ロマンチックな言葉を選びました。

 

個人的には、この言葉が載っているページが、絵本の中で一番絵と文章がぴったり合っていると思いました。

 

ちなみに、このページの絵は「落ちてきた星」というそうです。

 

素敵な言葉と美しい絵が融合しています。

 

感想

 

終わらない夜の世界が描かれた絵本です。

 

以前から気になっていた絵本だったのですが、今回初めて読みました。

 

美しく詩的な世界が広がっていて、思わず引き込まれてしまいます。

 

まるで、美術館で絵を鑑賞しているかのような感覚になります。

 

最後の方のページに、絵の一覧が載っています。

 

絵には、それぞれのタイトルが付いています。

 

画家の絵に、想像力を刺激された作家が詩を書いたそうです。

 

確かに、人々の想像力を掻き立てる、素晴らしい絵だと思います。

 

特に大人にじっくりと、その世界観を味わってほしい一冊です。

 

 

終わらない夜

終わらない夜

 

 

 

 

 

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綱渡りの男

『綱渡りの男』を読みました。

 

綱渡りの男 (FOR YOU 絵本コレクション「Y.A.」)

綱渡りの男 (FOR YOU 絵本コレクション「Y.A.」)

 

 

あらすじ

 

むかし、ニューヨークにふたつのタワーが並んで立っていました。

 

大道芸人フィリップ・プティは、そのタワーに惹かれました。

 

そして、そのふたつのタワーの間で綱渡りをすることを思いつきます。

 

そこでフィリップは、ひそかに計画を練りはじめて……。

 

ニューヨークのツイン・タワーで実際に綱渡りをした大道芸人の物語です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、綱渡りの光景です。

 

むかし、ニューヨークにはふたつのタワーが並んで立っていました。

 

そんなタワーに、ひとりの青年が惹かれました。

 

彼の名は、フィリップ・プティ

 

フランス人の大道芸人です。

 

フィリップは、ふたつのタワーの間を綱渡りすることを思いつきます。

 

彼は計画を練り、友人たちと一緒に計画を実行します。

 

なんと、彼は本当にタワーの間で綱渡りをします!

 

その後、フィリップはタワーの屋上で待ち受けていた警官に逮捕されます。

 

そして、フィリップは裁判所に連れて行かれ、判決を言い渡されます。

 

裁判官は、街の子どもたちのために、公園で綱渡りをするように言います。

 

フィリップは、喜んでそうします。

 

ふたつのタワーはもうありませんが、人々の記憶の中には、タワーや彼の綱渡りの思い出が残っています。

 

この絵本では、大道芸人フィリップ・プティが、ニューヨークで当時建設中だったふたつのタワーの間を綱渡りします。

 

ニューヨークにあるふたつのタワーとは、今はなきニューヨークの世界貿易センターのツイン・タワーのことです。

 

フィリップは、1974年8月7日に、そこで友人たちの協力のもと、綱渡りを披露します。

 

普通ならば、人々は見上げないと、その大道芸人の綱渡りを見ることができません。

 

しかし、この絵本では、上空から綱渡りの光景を見ることができます。

 

まるで、綱渡りを体験しているような感覚になれるほど、臨場感があります。

 

残念ながら、ニューヨーク世界貿易センターのツイン・タワーは、今はもうありません。

 

しかし、人々の心の中には、タワーやフィリップの綱渡りの光景が今でも残っています。

 

そして、この絵本でも、その素晴らしいタワーと綱渡りの光景を、心に刻むことができます。

 

印象的なことば

 

でも、ちっともこわくない。

ここには、ぼくひとり。なんて幸せで、自由なんだろう。

 

 

フィリップの言葉です。

 

ツイン・タワーで綱渡りをしている最中の、フィリップの気持ちが表現されています。

 

普通の人であれば恐怖感でいっぱいでしょうが、大道芸人のフィリップは幸せな気持ちを感じていたのです。

 

感想

 

フランス出身の大道芸人フィリップ・プティが披露した、ツイン・タワーでの綱渡りが描かれた絵本です。

 

この絵本は実話をもとに作られているので、絵本に描かれていることは本当にあった出来事です。

 

特に若い読者は、信じられないかもしれません。

 

しかし、この絵本を読めば、フィリップ・プティやツイン・タワーを知らない人でも、感動を覚え、綱渡りの光景が心に刻まれることでしょう。

 

私自身は、9.11の時は小学生だったので、ツイン・タワーは知っていたのですが、大道芸人フィリップ・プティのことは、この絵本で初めて知りました。

 

1974年の出来事だと知り、自分が生まれる前に、こんなことがあったのだと衝撃を受けました。

 

また、絵本の文章とイラストで、実際に綱渡りのパフォーマンスを見たような気持ちになり、感動しました。

 

普段は体験できない景色や感情が、この絵本では経験することができます。

 

特に若い読者に読んでほしい、後世に残したい絵本です。

 

 

綱渡りの男 (FOR YOU 絵本コレクション「Y.A.」)

綱渡りの男 (FOR YOU 絵本コレクション「Y.A.」)

 

 

 

 

 

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おじいちゃんがおばけになったわけ

『おじいちゃんがおばけになったわけ』を読みました。

 

おじいちゃんがおばけになったわけ

おじいちゃんがおばけになったわけ

 

 

あらすじ

 

ある夜、亡くなったおじいちゃんがおばけになって、エリックのもとにやってきます。

 

おじいちゃんは、壁を通り抜けることができます。

 

次の朝、エリックが両親にそのことを話すと、両親は心配してエリックに学校を休ませます。

 

そして、夜にはまたおじいちゃんがやってきて……。

 

エリックとおばけになったおじいちゃんの心温まる一冊です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、おじいちゃんとの思い出です。

 

エリックは、おじいちゃんが大好きでした。

 

しかし、おじいちゃんは心臓発作で亡くなってしまいました。

 

エリックは、悲しくてたくさん泣きます。

 

エリックのお母さんは、「おじいちゃんは天使になる」と言い、お父さんは「土になる」と言います。

 

しかし、そのどちらもエリックにはピンときません。

 

その夜、死んだはずのおじいちゃんが、エリックの部屋へやってきます。

 

なんと、おじいちゃんは、おばけになっていました。

 

おじいちゃんは、壁を通り抜けることができます。

 

朝ごはんの席で、エリックはおじいちゃんのことを両親に話しますが、両親は心配そうに、今日は学校を休んだほうがいいと言います。

 

そして、また夜になると、エリックのもとにおじいちゃんがやってきます。

 

おじいちゃんは、いつまでもおばけのままでいるわけにもいかないと言い、エリックが持っていたおばけの本を熱心に読みます。

 

本には、この世に忘れ物があると、人はおばけになると書いてあります。

 

エリックとおじいちゃんは、忘れ物を探しに、おじいちゃんの家へ行きます。

 

おじいちゃんは、家にある写真を眺めながら、思い出を辿ります。

 

次の朝、エリックはとても眠そうで、また学校を休むことになります。

 

夜になると、忘れ物を探しに、エリックはおじいちゃんと街に繰り出します。

 

おじいちゃんは、様々なことを思い出しますが、決定的なものは見つかりません。

 

次の朝、エリックは椅子に座ったまま眠りかけ、両親は心配して、また学校を休ませます。

 

その夜、エリックのもとにおじいちゃんがなかなかきません。

 

エリックは外でおじいちゃんを探しますが、なかなか見つかりません。

 

エリックが諦めて部屋に戻ると、そこにおじいちゃんがいます。

 

おじいちゃんはにこにこしていて、エリックに「お前とわしでしたことを、思い出してごらん」と言います。

 

エリックは、おじいちゃんと一緒にしたことを思い出します。

 

おじいちゃんは、忘れ物を思い出したと言います。

 

おじいちゃんは、エリックに「さよなら」を言うのを忘れていたのです。

 

エリックとおじいちゃんは、最後の会話をします。

 

そして、おじいちゃんは外に出て、エリックは窓から手を振り、お別れをします。

 

そして、エリックはベッドに潜り込み、「明日は学校へ行くよ」と言います。

 

この絵本では、亡くなったおじいちゃんがおばけになって、エリックのもとへやってきます。

 

おじいちゃんは、この世に忘れ物があるため、おばけになりました。

 

エリックとおじいちゃんは、その忘れ物を一緒に探します。

 

その過程で、おじいちゃんは様々な出来事を思い出します。

 

エリックとおじいちゃんの思い出も、よみがえります。

 

エリックとおじいちゃんは仲良しで、色々なことを共有してきました。

 

そんなふたりの思い出が、イラストで鮮やかに表現されています。

 

そして、ついにおじいちゃんは、忘れ物を思い出します。

 

それは、1番大事な孫のエリックに、「さよなら」を言うことでした。

 

エリックとおじいちゃんは、最後のお別れをします。

 

たとえ、おじいちゃんがいなくなっても、ふたりの思い出は色褪せません。

 

ふたりの大切な思い出は、読者の心にも響きます。

 

孫とおじいちゃんの仲の良さが伝わってくる、素敵な絵本です。

 

印象的なことば

 

わしは、おまえに、さよならをいうのを、わすれていたんだ。

いちばんだいじな、まごのエリックにね

 

 

おじいちゃんの言葉です。

 

おじいちゃんは忘れ物を思い出して、エリックにこう言います。

 

おじいちゃんが、どれほどエリックを愛していたのかがわかる言葉です。

 

感想

 

亡くなったはずのおじいちゃんが、おばけになって孫のエリックのもとへやってくる物語です。

 

孫がおじいちゃんを好きなのは、世界共通のようです。

 

おじいちゃんもまた、孫のことが大好きです。

 

そんな仲のいいふたりが繰り広げる物語は、多くの人が感情移入できるものとなっています。

 

読んでいるうちに、自分のおじいちゃんのことをつい思い出してしまいます。

 

自分のおじいちゃんと絵本のおじいちゃんを重ね合わせて読むのもいいと思います。

 

人が亡くなっても、思い出は永遠に生き続ける。

 

そんな気持ちが湧いてくる絵本です。

 

 

おじいちゃんがおばけになったわけ

おじいちゃんがおばけになったわけ

 

 

 

 

 

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