『ぎゅうぎゅうかぞく』を読みました。
あらすじ
としおくんと一緒に遊ぶため、ぼくはとしおくんの家の前に行きます。
そこで、としおくんのお母さんがぼくに声をかけます。
さらに、としおくんのおじさんがキャベツをなげ、としおくんのお父さんがそれを受け取り、お店に並べ……。
活気溢れる八百屋の大家族を描いた絵本です。
見どころ
この絵本の見どころは、大家族の暖かさです。
ぼくがとしおくんの家の前に行くと、としおくんの家族が勢揃いしています。
そこには、としおくんのお母さんから、としおくんのおばさんの赤ちゃんまで実にたくさんの人がいます。
残念ながら今はこういった光景が見られなくなりつつありますが、今でも少数ながらとしおくんの八百屋のように、家族で経営している活気溢れる商店街のお店は存在します。
としおくんの家は、商品や人が溢れていて、寂しい思いなんて全くしないような場所です。
まさに「ぎゅうぎゅう」で少々狭いかもしれませんが、そこには人と人との触れ合いがあり、大家族の暖かさに溢れています。
みんなで一緒に生きることは、不便さもあるけれど、お金では買えない楽しさや温もりがあります。
今の世の中に足りないものが、この絵本にある気がします。
みんながひとつの場所に集まって、同じ方向を向いている。
以前は当たり前のことが、当たり前ではなくなってきています。
よく「核家族」という言葉を耳にしますが、大家族は今の世の中ではあまり見られなくなってきています。
そんな中でも、この絵本のように、みんなが集まって、同じ方向を向いている家族が少しでも増えたらいいなと思います。
この絵本を読んでいると、としおくんの家族の体温が伝わってくるような臨場感があります。
大家族の暖かさが心に沁みる1冊です。
印象的なことば
としおくんちって いっぱい ぎゅうぎゅうかぞくで いいなあと おもったら
ぼくの言葉です。
としおくんの家を的確な言葉で捉えていますね。
きっとこの言葉の通り、誰の目にもとしおくんの家族は魅力的に映るはずです。
感想
大家族の暖かさに触れることの出来る1冊です。
今は数が少なくなってしまった、昔ながらの商店街の八百屋の風景が、魅力的な登場人物と共に描かれています。
大家族の人は共感出来る内容で、そうでない人は「大家族っていいな」と思わず羨ましくなるような内容です。
この絵本の作者であるねじめ正一さんは、実家が乾物屋さんを営んでいたそうです。
まさに、としおくんの家族のような日常だったのかもしれませんね。
作者の実体験があるからこそ、こんなにも暖かい絵本に仕上がっているのだと思います。
大家族の温もりが伝わってくる絵本です。