死ぬまでに読みたい絵本

「日常に絵本を」をテーマに、大人も楽しめる絵本をご紹介するブログです。

リサ ひこうきにのる

『リサ ひこうきにのる』を読みました。

 

リサひこうきにのる

リサひこうきにのる

 

 

あらすじ

 

リサは、はじめてひとりでニューヨーク行きの飛行機に乗ります。

 

快適な機内で楽しく過ごすリサ。

 

しかし、ひょんなことから、びしょびしょのべとべとになってしまいます……。

 

ひとりで飛行機に乗ったリサの冒険が描かれた絵本です。

 

ポイント

 

今回の見どころは、リサが体験する飛行機での楽しい出来事です。

 

リサは、今回初めてひとりで飛行機に乗ります。

 

そのため、最初はドキドキしていますが、段々とリラックスしてきます。

 

最初に隣に座っていた女性が席を移動したので、リサはひとりでふたり分の席を使い、寝転びます。

 

また、おいしそうな機内食を夢中で食べます。

 

さらに、スクリーンで映画を見ようとしますが、体が小さいため、スクリーンが見えません。

 

そこで、リサがとった行動はというと……なんと、前の席のシートによじ登ります!

 

最初は、いいアイディアを思いついて悦に入っていたリサですが、段々と危ないことがわかり、焦りだします。

 

その時、リサはシートから滑り落ち、オレンジジュースをこぼしてしまいます!

 

リサは、オレンジジュースでびしょびしょになってしまいます。

 

しかし、CAのお姉さんがすぐに来てくれて、リサはお湯で洗ってもらいます。

 

さらに、飛行機のコックピットにまで連れて行ってもらいます。

 

すっかりいい思いをしたリサが席に戻ると、窓からニューヨークの摩天楼が見えてきます。

 

そして、リサは空港に着き、おじさんに迎え入れられます。

 

この絵本を読んでいると、飛行機に乗る楽しさが伝わってきます。

 

印象的な言葉

 

でも ニューヨークは もっともっと ずーっと たのしいと おもうわ!

 

リサの言葉です。

 

飛行機でたくさんの楽しい体験をしたリサですが、これから行くニューヨークはもっとずっと楽しいところだという期待が込められた言葉です。

 

旅へのワクワクする気持ちが伝わってきます。

 

感想

 

フランス発の人気絵本「リサとガスパール」のシリーズです。

 

犬でもウサギでもない架空の生き物、リサとガスパールが人間の社会で暮らす生活模様が描かれた作品です。

 

この絵本では、リサが初めてひとりで飛行機に乗る姿が描かれています。

 

本書が出版された約1年後の2001年9月11に、アメリカ同時多発テロ事件が起こりました。

 

この事件によって、たくさんの人の命が奪われてしまいました。

 

この事件をきっかけに、飛行機は怖いものだと思うようになってしまった人も多いと思います。

 

しかし、本来飛行機は怖いものではなく、飛行機に乗っている時間も含め、目的地に向かうまでの楽しい旅なはずです。

 

この絵本は、そんな飛行機に乗ることの楽しさを思い出させてくれる絵本です。

 

リサのように、目的地に向かうまでの時間も、楽しく過ごせたらいいですね。

 

 

リサひこうきにのる

リサひこうきにのる

 

 

 

ぼくのいぬがまいごです!

『ぼくのいぬがまいごです!』を読みました。

 

ぼくのいぬがまいごです!

ぼくのいぬがまいごです!

 

 

あらすじ

 

ホワニートは、プエルトリコからニューヨークへやってきたばかりで、言葉はわからないし、友達もいません。

 

おまけに可愛がっていた犬がいなくなってしまいました。

 

ホワニートは、犬を探しに出かけます。

 

そこに、次々と子どもたちが現れますが……。

 

大都会ニューヨークを舞台に、子どもたちのたくましく生きる姿が描かれています。

 

ポイント

 

今回のポイントは、大都会で迷子の犬を探しまわる子どもたちのたくましさです。

 

主人公のホワニートは、2日前にニューヨークへ引っ越してきたばかりの、プエルトリコ出身の男の子です。

 

ホワニートは、スペイン語しか話せないので、新しい友達ができるかどうか不安です。

 

さらに、飼っていた犬がいなくなり、ホワニートは不安が募ります。

 

言葉もわからず、友達もおらず、さらに飼い犬までもいなくなり、ホワニートはさぞかし心細いでしょう。

 

そんな中、ホワニートは犬を探しに街へ出かけます。

 

しかし、どこを探しても犬は見当たりません。

 

そんな時、ホワニートスペイン語にも対応している銀行を見つけます。

 

銀行の窓口で、エルナンデスさんに「ぼくのいぬがまいごです」と紙に書いてもらいます。

 

ホワニートは知らない街にひとりぼっちで不安になりますが、書いてもらった紙を握りしめ、また犬を探し始めます。

 

その後、中国人街にやって来たホワニートは、リリーとキムに出会います。

 

ホワニートは、言葉はわからないながらも、書いてもらった紙と身振り手振りやスペイン語で、ふたりと意思の疎通をはかります。

 

努力の甲斐あって、意味が通じ、ふたりはホワニートに協力することになります。

 

そして、ホワニートは様々な人種の子どもたちと出会い、味方を増やしていきます。

 

しかし、犬は一向に見つかりません……。

 

するとその時、お巡りさんが通りかかり、ようやくホワニートと犬は再会を果たします。

 

子どもたちはふたりの再会に大喜びし、犬を連れてみんなで家に帰ります。

 

最初は、言葉もわからず、友達もいなかったホワニートですが、最後は立派に友達ができています。

 

言葉はわからなくても、友達をつくることは可能ということを、ホワニート自身が証明しています。

 

これは、言葉がわからなくて不安だったにもかかわらず、ホワニートが勇気を出して街へ飛び込んだ結果の出来事です。

 

ホワニートが怖がって家から出なかったら、犬は見つからなかったことでしょう。

 

このことから、勇気を出して外の世界へ飛び込めば、助けてくれる人が必ずいるということがわかります。

 

まずは自分を信じること、そして人を信じることが大切だということを、この絵本が教えてくれています。

 

人を信じる気持ちが、心の奥から湧いてくる絵本です。

 

印象的な言葉

 

だいじょうぶ。みんなで さがせば きっと みつかるさ

 

涙するホワニートに、ビリーがかけた言葉です。

 

ホワニートは、ビリーの言葉はわからないかもしれませんが、きっと気持ちは伝わったはずです。

 

ひとりではなく、みんながいるということが、ホワニートの救いになったことでしょう。

 

感想

 

絵本作家キーツが贈る赤と黒の二色が印象的な絵本です。

 

大都会でひとりぼっちの少年が、勇気を出したことによって、ペットの犬が見つかり、気がつけば友達までできていたというお話です。

 

勇気を出して人を信じることができれば、世界が変わるというメッセージをこの絵本から感じました。

 

無理やり流暢に外国語を喋ろうとするよりも、拙くてもコミュニケーションを取ろうとする勇気や努力が大事なのだと思います。

 

言葉を伝えようとすれば、言語は異なっても、案外通じるものです。

 

子どもたちに教わることが多い絵本です。

 

 

ぼくのいぬがまいごです!

ぼくのいぬがまいごです!

 

 

私、ジョージア

『私、ジョージア』を読みました。

 

私、ジョージア (詩人が贈る絵本 II)

私、ジョージア (詩人が贈る絵本 II)

 

 

あらすじ

 

ジョージア・オキーフは、1887年にウィスコンシン州の農場に生まれます。

 

ジョージアは、12歳のときにはすでに芸術家になるのだと心に決めます。

 

その後、ジョージアは美術学校に入り、絵を描き続けます。

 

そして、美術学校を出たジョージアは、自分の描きたい絵を描くために、広い世界へ踏み出します……。

 

画家のジョージア・オキーフの生涯が描かれた絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、ジョージア・オキーフのやりたいことをやり抜く芯の強さです。

 

ジョージアは、12歳の頃には自分は芸術家になるのだと心に決めます。

 

彼女は、自分が何をしたいのか知っているので、ひとりぼっちで遊ぶことも平気です。

 

そんな彼女は、毎週土曜日に絵の先生に模写を教わり、家では窓の外の風景を絵に描きます。

 

その後、彼女は美術学校に入り、絵を描き続けます。

 

そして、美術学校を出た彼女は、自分の描きたい絵を描くために、テキサスの大平原へ向かいます。

 

そこで見た風景を、彼女は毎日描き続けます。

 

そうして描いた絵を携え、彼女はニューヨークへ向かいます。

 

そして、彼女は都会にある庭を題材にして、花を描きます。

 

その後、彼女は空に導かれ、ニューメキシコの砂漠へ向かいます。

 

そこで、彼女は自然を描き続け、生涯をずっと砂漠で過ごします。

 

ジョージアは、98歳まで生きました。

 

その間、彼女はずっと絵を描き続けました。

 

12歳のときに芸術家になると決めてから、彼女はずっと描き続けたのです。

 

これは、他の人ではなかなか続けられることではありません。

 

ジョージアだからこそ、成し遂げられた偉業です。

 

誰もが自分のやりたいことを仕事にして、それをずっと続けたいと願います。

 

しかし、それを実現するのは簡単なことではありません。

 

夢を実現するためには、「自分のやりたいことをやり遂げるんだ」という強い意志と行動力が必要です。

 

ジョージアは、孤独に耐え、自分の好きなことを継続してきたからこそ、強い意志と行動力も兼ね揃えるようになったのだと思います。

 

彼女の芯の強さに、心が揺さぶられる1冊となっています。

 

印象的なことば

 

わたしがしたことは、人のしないことだった

 

ジョージア・オキーフの言葉です。

 

みんながやっていることをしても、それは真似にすぎません。

 

人がしないことをしたからこそ、彼女は独自の絵画を描くことができたのでしょう。

 

感想

 

ジョージア・オキーフの人生が描かれた絵本です。

 

幼少期から生涯を閉じるまでの彼女の全てを知ることができる、とても興味深い1冊です。

 

彼女の絵画を見たことがない人でも、彼女がどういった絵を描いてきたのかがよくわかります。

 

彼女の生涯を通じて徹底した、やりたいことをやり抜く芯の強さに感動します。

 

一体これほどの意志の強さは、どこからくるのでしょうか。

 

それほどまでに、彼女の意志の強さや夢を実現する力は、素晴らしいものです。

 

彼女の絵だけでなく、人間性に触れることができる、貴重な絵本です。

 

 

私、ジョージア (詩人が贈る絵本 II)

私、ジョージア (詩人が贈る絵本 II)

 

 

くれよんのくろくん

『くれよんのくろくん』を読みました。

 

くれよんのくろくん (絵本・こどものひろば)

くれよんのくろくん (絵本・こどものひろば)

 

 

あらすじ

 

ある日、新品クレヨンのきいろくんが「ずっと新品のままなんていやだ」と言い出し、クレヨン箱を飛び出します。

 

そして、きいろくんは真っ白な画用紙を見つけ、画用紙に蝶々を描きます。

 

きいろくんは大喜びし、他の色のクレヨンも呼び、みんなで画用紙に絵を描きます。

 

そんな中、そこにくろくんがやってきますが、みんなはくろくんを仲間に入れてくれません。

 

くろくんが落ち込んでいると、そこにシャープペンのお兄さんがやってきて……。

 

クレヨンたちが、お互いの個性を認め合うことの大切さを教えてくれる絵本です。

 

見どころ

 

この絵本の見どころは、クレヨンたちがお互いの個性を尊重し合う姿です。

 

クレヨンたちは、大喜びで画用紙に絵を描きます。

 

しかし、くろんくんがその中に入ろうとすると、それを拒否します。

 

落ち込むくろくんのもとに、シャープペンのお兄さんがやってきて、くろくんをなぐさめます。

 

一方の、クレヨンたちは、書くことに夢中になりすぎて、絵がめちゃくちゃになってしまいます。

 

そこで、シャープペンのお兄さんが、くろくんに何かを伝えます。

 

そして、くろくんはみんなの絵を真っ黒に塗ります。

 

みんなは、くろくんを攻めます。

 

そこで、シャープペンのお兄さんが、体をすべらせ、くろくんが描いた黒を削っていくと……。

 

なんと、あっという間に大きな花火が出来上がります。

 

クレヨンたちは、シャープペンのお兄さんにお礼を言います。

 

しかし、シャープペンのお兄さんは、「お礼ならくろくんに言ってくれよ」と言います。

 

みんなは、くろくんを囲んで、お礼を言います。

 

長所がないと思っていたくろくんも、シャープペンのお兄さんの計らいで、短所を長所に変え、個性を最大限に発揮します。

 

そして、みんなの個性が重なり合って、素敵な花火ができあがります。

 

みんなのいいところを、くろくんが引き出したのです。

 

くろくんが個性を発揮できたのは、シャープペンのお兄さんが、くろくんの個性を見つけてくれたからです。

 

クレヨンのように、人の個性もまた十人十色です。

 

短所を指摘し合うのではなく、その人のいいところを見つけて、個性を尊重することが大切です。

 

印象的なことば

 

くろって、すごいね

 

クレヨンの仲間が、くろくんに言った言葉です。

 

簡潔ながらも、くろくんの個性を認め、くろくんに対するお礼にもなっている言葉です。

 

普段は目立たない色の黒ですが、本当はみんなを引き立てることのできるすごい色なのです。

 

感想

 

個性を認め合うことの大切さが描かれた1冊です。

 

クレヨンのお話ですが、これはそのまま人間社会に当てはめることのできる作品です。

 

普段は目立たない人でも、その人なりの長所は探せば必ずあるはずです。

 

みんなが個性を尊重し合うことで、チームはひとつになり、成果を出すことができるでしょう。

 

わかりやすいストーリーで、若い読者にも理解しやすい内容になっています。

 

この絵本を多くの人が読んで、いじめや仲間はずれが少なくなることを切に願います。

 

 

くれよんのくろくん (絵本・こどものひろば)

くれよんのくろくん (絵本・こどものひろば)

 

 

 

きみをみつけた

『きみをみつけた』を読みました。

 

きみをみつけた (世界の絵本(新))

きみをみつけた (世界の絵本(新))

 

 

あらすじ

 

ぼくは、望遠鏡を持って丘の上へ走り、そして夜空を見上げます。

 

そこで、ダンスを踊るきみを見つけて、ぼくは大喜びします。

 

ぼくがきみに花束を贈ると、きみは贈り主のぼくのところへやってきて……。

 

星を探すぼくと、夜空に輝く星のきみの交流が描かれた絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、ぼくときみのピュアな恋愛模様です。

 

主人公のぼくは、きみを見つけたくて、望遠鏡を用意して夜空を見上げます。

 

そして、夜空で踊るきみを見つけます。

 

ぼくは、きみに花束を贈ります。

 

花束はきみにちゃんと届いたのか、きみは喜んでくれたのか、ぼくは思いを巡らせます。

 

その時、なんときみがぼくのもとにやってきます。

 

きみは、花束の贈り主に会いたいと思ってくれたのです。

 

ぼくときみは、ふたりきりでダンスを踊ります。

 

そんな楽しい時間を過ごしたふたりですが、別れの時間がやってきます。

 

ぼくは、きみに別れの言葉をかけます。

 

そして、きみは素敵な言葉を残し、空に帰っていきます。

 

なんともロマンチックな1冊です。

 

ふたりはずっと一緒にいられるわけではありませんが、限られた時間の中でふたりは素敵な時間を過ごします。

 

むしろ限られた時間だったからこそ、素敵な思い出が、夜空に輝く星のようにいつまでも輝き続けることでしょう。

 

また、最後のきみとぼくのやりとりが、とても魅力的です。

 

ぼくは別れるのが寂しいはずですが、きみに「もう かえった ほうが いいよ。きみの ひかりは、ぼくの こころに しっかり のこったから」と言います。

 

それに対して、きみは「わたしの こころには あなたの はなね」と答えます。

 

お互いのことをしっかり心に刻んだふたりは、お別れします。

 

ずっと一緒にいることはできなくても、ふたりの思い出はずっと心に残り続けます。

 

離れていても、心はひとつということですね。

 

美しくてピュアなラブストーリーに、心が洗われます。

 

印象的なことば

 

きみの ひかりは、ぼくの こころに しっかり のこったから。

 

ぼくがきみに言った言葉です。

 

「離れても、きみのことは忘れないよ」というメッセージが読み取れます。

 

素敵な言葉ですね。

 

感想

 

夜空の青と星の黄色が印象的な、美しい1冊です。

 

ぼくときみの恋模様が描かれていますが、これを「友情」に置き換えて読んでみても面白いと思います。

 

やがてはお互いの元いた場所に帰らなければならないので、ほんの一瞬の出来事なのですが、最後のやりとりでそんな寂しさが和らぎます。

 

離れてもお互いの心にお互いの存在が、星のように輝いているのでしょう。

 

それなら、離れても寂しくありませんね。

 

まるで、遠距離恋愛中の恋人たちのようです。

 

特に恋をしている人に読んでほしい絵本です。

 

 

きみをみつけた (世界の絵本(新))

きみをみつけた (世界の絵本(新))

 

 

たいせつなこと

『たいせつなこと』を読みました。

 

たいせつなこと (ほんやく絵本)

たいせつなこと (ほんやく絵本)

 

 

あらすじ

 

スプーンは、食べるときに使うもの。

 

でも、スプーンにとって大切なのは、それを使うと上手に食べられるということ。

 

ひなぎくは、白い。

 

でも、ひなぎくにとって大切なのは、白くあること。

 

そして、あなたにとって大切なのは……。

 

本当に大切なことは何かを教えてくれる絵本です。

 

 

見どころ

 

今回の見どころは、自分が自分らしくあることの大切さです。

 

この絵本では、様々なものが登場し、それぞれのものに大切なことが書かれています。

 

登場するのは、日用品や自然、食べものなどです。

 

普段はあまり意識しないようなことが書かれていて、読んでいるとハッとさせられるような新たな発見があります。

 

ものには、それぞれ目的や役割があります。

 

例えば、雨にとって大切なのは、みずみずしく潤すということです。

 

では、あなたにとって大切なのは、なんでしょう。

 

答えは、「あなたがあなたであること」です。

 

あなたはあなたであること、つまり自分らしくいることが大切なのです。

 

あなたは自分らしくいるだけで、十分に存在価値があるのです。

 

無理に、何者かになる必要はないのです。

 

このことに気付いている人は、実は多くはないのではないでしょうか。

 

この一節を読むだけで、今までとは世界が変わって見えてくる人もいるでしょう。

 

また、改めて「自分は自分でいいんだ」と確信する人もいるでしょう。

 

どんな人にでも、自分が自分らしくあることの大切さがわかる、素晴らしい絵本です。

 

印象的なことば

 

あなたがあなたであること

 

シンプルながらも、胸を打つ言葉です。

 

自分らしくいることの大切さが伝わる、まさに名言ですね。

 

感想

 

タイトルの通り、大切なことが描かれた絵本です。

 

本書は、1949年に最初に出版されて以来、多くの人に読み継がれてきました。

 

そして、半世紀以上ものときを経て、日本では2001年に初めて出版されました。

 

それまで出版されなかったのが不思議なくらいの名作です。

 

レナード・ワイスガードの絵と、マーガレット・ワイズ・ブラウンの詩的な文章が重なり合って、読者に優しく語りかけるような1冊になっています。

 

普段は何も考えずに使っているものや見つめている自然にも、実はそのものにしか果たせない、大切な役割があるのです。

 

この絵本を読んだ後に、改めて日常の風景を見渡してみると、普段何気なく見ていたものが、それぞれ大切な役割を持っていることに気が付きます。

 

きっとこの絵本を読んだら、今までよりも自然や日用品を大事にしたくなると思います。

 

そして、それと同じように、自分を大切にしたくなるはずです。

 

そんな風に、ものや人に接する人が増えたらいいなと感じます。

 

日常の風景が今までとは少し違って見える、そんな絵本です。

 

 

たいせつなこと (ほんやく絵本)

たいせつなこと (ほんやく絵本)

 

 

ありがとう、フォルカーせんせい

『ありがとう、フォルカーせんせい』を読みました。

 

ありがとう、フォルカーせんせい (海外秀作絵本)

ありがとう、フォルカーせんせい (海外秀作絵本)

 

 

あらすじ

 

トリシャは、絵を描くことが大好きな女の子です。

 

しかし、おしゃべりはできるのに、学校へ行くようになってからも文字や数字が読めません。

 

そして、トリシャが5年生になった時、新しい先生がやってきて……。

 

トリシャとフォルカー先生の心の交流が描かれた、作者の自伝的な絵本です。

 

見どころ

 

今回の見どころは、人との出会いと、個性を尊重することです。

 

トリシャは、絵を描くことが大好きな女の子です。

 

しかし、絵を描くことは得意でも、文字や数字を読むことはできません。

 

そのため、同級生からいじめられてしまいます。

 

そんな中、5年生になったトリシャのクラスに、新しい先生がやってきます。

 

それが、トリシャとフォルカー先生の出会いでした。

 

フォルカー先生は、よくトリシャの絵を褒めてくれます。

 

先生のおかげで、トリシャをからかう生徒は減りました。

 

しかし、同級生のエリックだけは別です。

 

エリックは、トリシャをいじめ続けます。

 

そんなある日、トリシャはフォルカー先生とゲームをします。

 

そこで、初めてフォルカー先生は、トリシャが本当に文字を読めないことに気付きます。

 

フォルカー先生は、トリシャの今までの頑張りを褒め、トリシャが字を読めるようになるまで特訓すると約束します。

 

それから、放課後の特訓が始まります。

 

何ヶ月も経った後、見たことのない本をトリシャに持ってきます。

 

そして、先生が指差した部分をトリシャが読むと……。

 

なんと、トリシャは文字が読めるようになっていたのです!

 

トリシャは家に帰り、嬉しさのあまりひとり泣きます。

 

その後、30年経ったある結婚式で、トリシャとフォルカー先生は再会します。

 

トリシャは、なんと作家になっていました。

 

それも、フォルカー先生との出会いがあったからです。

 

トリシャは、LD(学習障害)です。

 

LDとは、知的発達に目立った遅れはないのに、学習面で特異なつまづきや習得の困難さを示す子どもに対して使われる教育用語です。

 

今でこそ、学習障害という言葉は世間に徐々に浸透していますが、以前は聞き慣れない言葉だったことでしょう。

  

当時学校に通っていたトリシャは、さぞかし辛い思いをしただろうと推測することができます。

 

しかし、トリシャはフォルカー先生の個性を尊重した教育のおかげで、文字が読めるようになり、学校が大好きになります。

 

トリシャはおばあさんやフォルカー先生を通じて、個性を大事にすることを教わります。

 

また、トリシャは、人との交流を通じて段々と成長していきます。

 

人との出会いや個性を大事にすることの大切さが描かれた1冊です。

 

印象的なことば

 

みんなと ちがうってことは、いちばん すてきなことじゃないか。

 

おばあさんのトリシャに対する言葉です。

 

個性を大事にすることは、成長する上で大事なことです。

 

こんな言葉をかけてくれるおばあさんがいて、トリシャはさぞかし救われたでしょう。

 

感想

 

学習障害を題材に扱った絵本です。

 

名作と呼ばれる絵本はたくさんありますが、この絵本もまたそんな名作のひとつと言えるでしょう。

 

この絵本には、印象的な言葉がたくさん出てきます。

 

まさに、名言の嵐です。

 

それは、学習障害ではない人の心にも響く普遍的な言葉です。

 

この絵本のメッセージは、押し付けのようなものではなく、人の心に自然と入り込んでくるようなものです。

 

人は、自分と違う人間を、排除しようとしたりすることがあります。

 

そういった気持ちは誰にでもあるものですが、それが行き過ぎるといじめに繋がります。

 

フォルカー先生のように、ひとりひとりの個性を大事にする人が増えれば、もっと生きやすい世の中になるはずです。

 

この絵本を、ひとりでも多くの人に読んでもらいたいです。

 

 

ありがとう、フォルカーせんせい (海外秀作絵本)

ありがとう、フォルカーせんせい (海外秀作絵本)